唾液の力のヒミツ

風邪の多くは、鼻からのどの細胞にウイルスが付着して発症します。予防にはワクチン接種の他、手洗い、規則正しい生活を送るなど自分で健康維持に心がける事が重要です。それでは、その他に日常でできる事にどのような事があるのでしょうか。

唾液のヒミツ

風邪や特定のウイルス性疾患に“かかりにくい人”と“かかりやすい人”を調べる研究を行いました。その結果、“かかりにくい人”は、安静時の唾液分泌量が多いことが分かりました1)。また、唾液には特定のウイルスの影響を抑制する効果があり、唾液に含まれる“結合型シアル酸”という成分が重要であることを突き止めています。

唾液の分泌をうながす研究

花王における、唾液の分泌をうながす研究の結果から、クエン酸や炭酸を摂取している最中に唾液の分泌量が多くなり2)(図1)、さらには、口の中に「炭酸の泡」を与えることで、“結合型シアル酸”が豊富な唾液の分泌が、より高まることが分かりました3)(図2)。

図1 クエン酸や炭酸による唾液分泌量

図1 クエン酸や炭酸摂取による唾液分泌量の実験結果のグラフ。 クエン酸摂取時、炭酸摂取時、どちらも摂取なしの3つの結果を比較。 クエン酸や炭酸を摂取した群は、どちらも摂取しない群と比較して、唾液の分泌量が多い。

Mean±SD(n=6)
Wilcoxon signed-rank test, vs 安静時

【実験条件】
クエン酸および炭酸刺激は、タブレットとして口腔内に適用。タブレットを適用した際に分泌される唾液分泌量を計測。

図2 結合型シアル酸を含む唾液分泌量

図2 分泌された唾液における、結合型シアル酸を含む舌顎下腺唾液の分泌量を計測した結果を示すグラフ。 タブレット型で、クエン酸摂取時、炭酸摂取時、の2つの結果を比較。 炭酸タブレットを摂取したほうが、舌顎下腺唾液の分泌量が多い結果。

Mean±SD(n=12)
Wilcoxon signed-rank test

【実験条件】
耳下腺および舌顎下腺開口部に角綿を設置し、各タブレットを舌上に静置。角綿の重量変化を測定することで、各唾液腺からの唾液分泌量を算出。

Journal of Functional Foods 74 (2020) 104173 の図より改変して使用)

日常の中で

唾液の分泌を促すラムネ、タブレットやガム・飴などをなめて唾液を積極的に分泌することも、日常の中で取り入れることができる方法の一つと考えています。

  • 非エンベロープタイプでの効果は確認されておりません。
  • すべてのウイルスに効果があるわけではありません。

参考(引用)文献

  • 1)
    花王株式会社 第78回 日本公衆衛生学会総会 P-0103-8 上気道感染症の罹患歴と生活習慣・健康状態の関連解析
  • 2)
    花王株式会社 第73回 日本栄養・食糧学会 3G-07p 炭酸発泡刺激が唾液分泌および唾液抗インフルエンザウイルス活性に及ぼす影響
  • 3)
    Journal of Functional Foods 74 (2020) 104173
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