鼻や口からウイルスが体内に入り増えていく仕組みは、①のどの粘膜にウイルスが付く、②細胞の中に入ったウイルスが増える、③増えたウイルスが次々と他の細胞に侵入する、の3段階あり、「のど」は、ウイルスが体内に入る最初の関門(バリア)とも言えます。
緑茶には抗菌・抗ウイルス作用があることが知られ、うがいに使うと風邪の予防効果があるとする研究結果や1)、緑茶の飲用で風邪になりにくい研究例もあります(詳しくはこちらへ「お茶でうがい」)。最近では、緑茶成分のカテキンによるバリア機能の検証が進められており、その結果、のどにとどまるカテキン量が多いほど、肺で増えるウイルス量がおさえられることが分かりました2)。
さらに、緑茶成分は、増粘剤を加えて粘性を高めて摂取することにより、のどの粘膜に長い時間とどまりやすくなることが分かりました(図1)。このようにして、粘膜に長くとどまるように粘性を高める工夫をした緑茶を飲用することで、急性上気道炎の発症率が低下するという結果が得られています3)(図2)。
【実験条件】
モデル粘膜にそれぞれ溶液を40ml流し、水で洗浄した後に、モデル粘膜上に残っているカテキン量を測定した。
図2 粘性を高めたカテキンを
含む飲料摂取と
急性上気道炎の発症率
【実験条件】
対象:医療福祉施設従事者(20歳以上75歳未満の男女170名)
(カテキンを含まない飲料摂取群86名、カテキンを含む飲料摂取群84名)
カテキンを含まない飲料摂取群:カテキンを含まず、増粘剤を加えて粘性を高めた飲料40mlを1日1回飲用
カテキンを含む飲料摂取群:57mgのカテキンと、増粘剤を加えて粘性を高めた飲料40mlを1日3回飲用
(Nutrients 2020, 12(1), 4 の図より改変して使用)
甘酒やあんかけなど、とろっとした暖かい食べ物や飲み物は冷めにくいことがよく知られています。葛や寒天などでとろみをつけた温かい緑茶で、体をあたためながらほっと一息ついてみてはいかがでしょうか。