漂白剤には、色柄が入った布製品にも使うことができ、ウイルスを除去する性能をもつものもあります。漂白剤の種類や特徴から適切に選び、布類を清潔に保ちましょう。
漂白剤はどういう働きを持っているのでしょうか。汚れの種類には、「油」や「泥」のほかに、カレーやぶどうジュースなどに含まれる「色素」もあります。しかし、衣料用洗剤は「油」や「泥」の汚れを落とすことが得意な反面、「色素」を落とすことは苦手です。漂白剤は、衣料用洗剤では落としきれない「色素」によるシミ汚れを化学反応で別のものに変え、色を消失させる働きをもっています。
漂白剤は大きく分けて、塩素系漂白剤と酸素系漂白剤に分類されます。どちらも「色素」に働きかけるのですが、その力や性質には違いがあるため、洗いたいものや洗う目的によって、適した漂白剤が異なります。適した漂白剤を選ぶためにも、漂白剤の特徴を理解することが必要です。
一般的に、塩素系漂白剤は液体タイプであり、「次亜塩素酸ナトリウム」が主成分です。漂白性能が非常に高く、衣類の生地そのものの色素まで化学反応を起こし変色することがあります。酸素系漂白剤は粉末タイプと液体タイプがあり、「過炭酸ナトリウム」や「過酸化水素」が主成分として配合されています。酸素系漂白剤はどちらのタイプであっても、化学反応を起こす作用は汚れに由来する色素が中心となるため、色柄物の衣類などを変色させる心配がありません。主成分の違いによって、塩素系は「布の色素まで作用する」、酸素系は「布の色素には作用しない」という違いが生まれるのです。
漂白剤を用いてウイルスを除去する際には塩素系漂白剤の使用が推奨されています。ただ、布の染料まで作用する力があるため、色柄ものは変色してしまう可能性があります。ここでは、布の色あいや柄を守りながらウイルスをとり除くことができる酸素系漂白剤について解説します。
酸素系漂白剤の中でも粉末タイプは、洗たく液を、汚れを落としやすい「弱アルカリ性」にできることや、タンパク質を分解する「酵素」を配合できることが特徴です。これらの総合力により高い漂白効果を発揮し、さらには菌やウイルスをとり除きやすくなるのです。花王では、粉末タイプの酸素系漂白剤においてウイルス除去効果を検討しました。漂白剤を20℃の水でつけ置き濃度に薄め、布を30分つけ置きしてすすいだ後測定すると、布に付着したウイルス※1 を99%除去していることが確認できました。
このように、風合いや色柄を保ちながらウイルスをとり除く方法があります。漂白剤を適切に使って、布類を清潔に保ちましょう。