社外取締役
取締役会議長
2021年から新中期経営計画「K25」がスタートしました。Reborn Kao、Another Kao、ESGの3本柱が揺るがないように社外取締役としてしっかりと監督していきたいと思います。2022年は中でもReborn Kaoでの戦い方がポイントになります。Reborn Kaoで稼がないとAnother Kaoで大きなチャレンジができません。コンシューマープロダクツ事業は、短期的には今あるものをいかにして売るかが課題になりますが、長期的には柱となる商品・サービスをつくることが重要であり、お客さまの目線で売り方や商品の抜本的な見直しを行ない、デジタルトランスフォーメーションの活用や最適な価値伝達も組み合わせた今までの延長線上にはないマーケティング戦略が必要になります。海外戦略は、海外と一括りにせず地域ごとの特徴を捉えた展開が必要でしょうし、事業の拡大には成長戦略を踏まえたM&Aも必須です。そして、取締役会ではこれらの活動がESG視点から外れていないかのモニタリングも欠かせません。花王のESG活動は次のステップに入れる段階にあるので、ESGで稼げる商品をいち早く市場に出せるよう商品開発に努力してもらいたいと思います。
2022年3月に取締役会議長に就任しました。これまで同様に独立社外取締役の立場で花王の取り組みを客観的に評価しながら、執行側が過度に失敗を恐れることなく積極果敢にチャレンジすることを応援し、議長として取締役会の実効性を高めることで企業価値の向上に貢献できるよう努めてまいります。
社外取締役
取締役会では毎回自由闊達な議論がなされています。2021年は、PR戦略、デジタル・ライフ・プラットフォーム、人財開発部門の取り組み、そして花王のドライビングフォースである研究開発の状況など、「K25」の重要テーマについて責任者から発表され建設的な意見交換ができました。私は、執行からの提案には常に背中を押すスタンスでいますが、一方で目的に対する時間軸設計の適切さ、グローバルの社会情勢を踏まえたリスクファクター、世間の受け入れ性、表示に対する科学的根拠などの観点から、その提案の実現可能性を慎重に確認するようにしています。
花王はとても広い範囲の商品を提供しています。個々のブランドの育成と共に、「プロテクトJAPAN」や米国での「MyKirei by KAO」のように事業横断的に商品を展開し、花王の全商品を使うことで人々の生活がどうよくなるかを見せることも進めるべきです。花王にしかできない新しい切り込み方で総合力を示していくことを支援していきたいと思います。人財については、ダイバーシティが推進され、若手の登用も進んでいるのでよい方向に向かっていますが、今後は評価基準の改定によるモチベーションアップ、あるべき姿から逆算した人財戦略の議論をさらに深める必要があります。花王はとてもよい素材を持っています。これらをスピード感を持って商品化し市場に出すこと、差別化された価値を生活者にしっかりと伝えることが課題だと思いますので、社外取締役として執行の背中を押しながら、活動をしっかりとモニタリングしていきます。
社外監査役
2020年に社外監査役に就任以来、すべての取締役会および監査役会に出席しています。取締役会では、社内外や取締役・監査役の区別なく、全メンバーによる自由で活発で実質的な議論が行なわれています。中でも、執行の役割を担う社内取締役が社外取締役や社外監査役の意見に真摯に耳を傾け、議論を反映した内容を経営に織り込んでいく過程が認識でき、外部の視点を活かして経営を行なう姿勢が、花王の取締役会をうまく機能させ、ガバナンスの根底をなしていると考えています。
監査役監査の取り組みにおいて、ガバナンスの一部分である内部統制については、各往査場所での監査、第2ラインを担う部門等に対するインタビューなどにより、現状の課題、事件事故等の対応状況を聴取するなど、問題発生の芽を摘み取り、さらに実際問題が起きた場合には、ルートコーズを探り再発防止に向けた課題を吟味し、監査役としての役割である守りのガバナンスを果たしています。
2021年の取締役会は、Reborn KaoやAnother Kaoの進捗がしっかり報告されるなど、「K25」出発の年にふさわしい内容でした。2022年以降、Reborn Kao、Another Kao共に新たな花王に向かってますます変化が出てくるでしょう。守りだけでなく、攻めのガバナンスの面でも、「K25」がもたらす改革によるさまざまなリスクマネジメントや内部統制上の変化に注視していきたいと考えます。私も監査役のひとりとして、適正なガバナンスの一翼を担い、企業価値向上に向けて貢献できればと思います。