監査役会の取り組み

監査役は、株主の負託を受けた独立した立場で、取締役の職務の執行を監査することにより、当社及び当社グループが健全で持続的な成長とステークホルダーからの信頼に応えるガバナンスを確立することをめざしています。監査役会の取り組みに関して、2023年度の活動を具体的に説明することにより、監査の透明性と、ステークホルダーとの対話の実効性を高めてまいります。

監査方針

2023年度の経営環境は地政学リスクの増大等もあり、依然として不透明な状況が続く中、利益ある発展に向けた大きな変革が必要となります。経営が認識する改革の必要性と危機感を共有した上で、経営戦略の実行状況・経営環境リスクの対応状況を監査するとともに、ESG活動をはじめ、社会やステークホルダーからの要請や視点を意識した監査役活動を行うことを方針としました。

花王の監査役活動で特に重視していること

活発な意見交換

監査役は、取締役の職務に関する監査に関して、取締役会や経営会議等の重要会議に出席し、決議における意思決定のプロセスの確認を重視し、活発な意見交換を行っています。

現場との対話重視

監査役が各部門及び子会社・関連会社に直接往査及びヒアリングを実施し、現場との対話を重視することにより、経営戦略の浸透度合いや主体的な取組みの確認、現場の課題抽出を行い、役員とも適宜共有することを大切にしています。
往査・ヒアリング開始時に前回の監査結果を再確認し、終了時には、監査役のコメントを指導事項・要請事項に加え、アドバイス・優れた取り組みに分けてその場で共有し、各部門が取り組みに生かしていくという、PDCAによる実効性向上をめざしています。往査・ヒアリングの約6割には、社外監査役も1名以上参加しています。

花王ベトナム工場への往査・ヒアリング

監査役会の構成・職務執行体制

当監査役会は、監査役5名(常勤監査役2名、社外監査役3名)で構成され、社内の豊富な執行経験と多様な知見を持つ常勤監査役と、それぞれの専門性(公認会計士、弁護士)かつ他社の役員経験から豊富な知見を有する社外監査役が、監査に関連する情報を適時共有し、さまざまな視点から審議を行っています。
監査役会の直下に監査役室を設置し、監査役の職務の補助とともに、室員が子会社の監査役を兼務する体制を取っています。

監査役につきましては、以下のリンクをご覧ください。

監査役会の審議状況

開催回数:11回
出席率:全員100%
開催時間:平均1時間51分
監査役会の主な議題

  • 決議事項:26件 監査方針・分担・重点監査項目、年間計画、監査報告書、監査役会規則、内部統制関連、会計監査人関連(報酬同意・再任審議等)、監査役の選任・報酬関連等
  • 検討事項:9件 監査所見、監査役会規則の改定、内部統制に関する注視案件、代表取締役・社外取締役との意見交換、実効性評価プロセス確認等

監査役会の議題にとらわれず、中長期の課題についてもフリーディスカッション形式で、適宜意見交換を行っています。

重点監査項目・活動実績及び実効性評価

重点
監査
項目
監査方法及び取り組み 活動実績及び実効性評価 監査分担
常勤 社外
取締役の職務の執行状況 取締役会に出席して審議・決議状況を確認、必要な場合は意見を述べる 各監査役が100%出席。積極的に意見を述べた
経営会議等重要会議に出席して意思決定プロセスを確認、
必要に応じて説明を求め適時意見を述べる
100%出席。意思決定プロセスを確認、検討すべき事項について意見を述べた
役員との意見交換 花王:代表取締役(3回)、社外取締役(2回)、役付執行役員(6回)
重要子会社:代表取締役(2回)
経営課題や今後のガバナンス等に関して、率直な意見交換を実施した。
社外取締役とは、リスクや課題の優先度を確認し、その内容を代表取締役等と共有して、議論を深めた
各事業場・各部門・国内外の子会社・関連会社への往査及びヒアリング(往査・ヒアリング時に、内部統制等の重点監査項目も確認) 107回
  • 対話を重視(ヒアリング時間の半分を意見交換に充当)
  • 監査上の発見事項は、完了報告を求めて改善状況を後日確認し、現場の優れた取り組みとともに、役員と適宜共有
随時
選任審査委員会、報酬諮問委員会 7回
グループガバナンスの実効性
  • 花王グループ監査役体制の体系化
    (当社・子会社・関連会社)
  • グループ一体運営の下、各社の特性に応じた監査活動の実効性向上
  • 監査役室の室員が、子会社の監査役を兼務する体制を取っている
  • グループ監査役意見交換会(5回)
    監査上の発見事項や改善すべき事項を検討
    スキルアップ研修を実施
  • 重要な子会社で監査役実効性評価を実施
随時
  • 会計監査人と監査役及び関連部門との意見交換会
  • 会計監査人の監査に関して、取締役会で報告
意見交換(15回)、取締役会での報告(2回)
  • 監査計画、会計監査結果、監査上の主要な検討事項、非財務情報の開示、非保証業務管理、監査品質等
  • 国内外の監査人と意見交換会を実施し、各社の課題を共有
内部統制の整備並びに運用状況
  • 内部統制第二ラインの主管部門へのヒアリング
  • 内部統制委員会・傘下の主な委員会への出席又は議事録確認
  • 内部通報窓口の対応状況を確認
四半期又は半期ごとに実施
  • 自主点検やモニタリングが定着し、課題に対する改善を確認
  • 内部通報内容及び対応状況の適時報告を受け、意見を述べた。通報への環境整備が進んでいることを確認
随時
内部監査部門である経営監査室との連携
  • 定例会議(4回)、監査計画や課題を共有
  • 経営監査室長が、監査役会やグループ監査役意見交換会に適宜陪席
随時
内部統制システムの構築と運用状況のチェックリストによる評価 概ね有効
情報開示 情報開示に関する社会・ステークホルダーからの要請状況を調査し、
当社の開示状況や外部評価結果を確認
  • 要請への対応状況を確認
    推進体制並びに情報開示の状況は、概ね問題ないことを確認
  • 監査役活動に関する開示を推進

監査役会の実効性評価

毎年、重点監査項目を中心に評価項目を設定し、多角的・客観的な視点から実効性評価を行います。2023年度は、各監査役による自己評価に加え、代表取締役との意見交換や社外取締役及びその他関係者から収集した意見をまとめ、監査役会で自由闊達かつ幅広く議論した結果、全体として「有効に機能している」という評価に至りました。
経営戦略の一端である事業別ROICの活用や構造改革の浸透の度合いを現場で把握・検証し、その内容を提言にまとめて取締役に共有しました。なお、事業別ROICについては継続的に確認していきます。また、三様監査については、さらなる連携強化のために、監査計画や課題の共有が必要と認識しました。
実効性評価で抽出した課題は、実効性をより高めるために、2024年度監査活動や重点監査項目に反映させます。

監査役会実効性評価の概要は、以下のリンクをご覧ください。

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