一日の終わりに、入浴による血行促進で、毎日を快適に乗り切りましょう。
ヨーロッパでは古い地層から炭酸ガスを多量に含んだ温泉が多数湧出すことから、古くから入浴に用いられてきました。ドイツでは19世紀頃から心臓疾患に有効であることが注目され、「心臓の湯」として知られるようになりました1)。一大温泉リゾート地として世界的に有名なバーデン・バーデンやバートナウハイムは、温泉療法による循環器疾患の治療や健康づくりの拠点としても機能しています。これらの自然の炭酸泉は入浴剤とは炭酸の濃度なども異なることから、入浴剤で同様の効能を実現できるわけではありません。しかしご家庭で使用できる、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムが配合された医薬部外品の入浴剤には、さまざまな効能が認められています。【効能:疲労回復、肩のこり、腰痛、冷え性、神経痛、リウマチ、痔、あせも、しもやけ、荒れ性、ひび、あかぎれ、しっしん、にきび、うちみ、くじき、産前産後の冷え性】
炭酸泉につかると、皮膚から吸収された炭酸ガスが皮膚血管を拡張し、全身の皮膚血流を促進させることができます。体温より高いお湯につかるとお湯の熱が身体に伝わり、体温を効果的に上げることができます2)し、反対に体温より低いお湯の場合は、皮膚の表面に流れている血液の温度が下がるため体温が低下し、涼感が得られます3)。
ぬるめのお湯でも全身の血行をよくする特徴があるため、暑さの厳しい夏の季節でも入浴効果を高めて、だるさを感じる疲れに効果をもたらします。炭酸泉は一年を通じて、このような体の不調に効果があります。
夏に疲労・冷え症状を訴える方を対象に行った、炭酸入浴剤を2週間使用した試験では、冷えや疲労の症状に改善が認められています4)。また、普段主にシャワー浴を行い、疲労・だるさを感じている女性95名を被験者として4週間の炭酸入浴を行った試験では、シャワー浴やさら湯浴(入浴剤を使用しない入浴)を行った群と比較して、疲れや、冷えに関する不調の訴えの頻度が減少しました。
時間のない時や暑い季節でも、シャワー浴だけで済ませず、湯舟入浴がおすすめです。入浴そのもので血流がよくなり、疲れがとれ、眠りの質が高くなることも言われています。また疲労回復のため、炭酸入浴剤等の入浴剤を使用し、温かなお湯にゆったり浸かることも効果的です。