ESG経営

花王のESG経営の特長

1. 生活者の目線に立ったESG経営

花王では創業当初より、事業活動を通じて社会の繁栄に貢献することを使命としてきました。1990年代から、環境に配慮した包装容器の開発や、触っただけでシャンプーとリンスを区別できるように「きざみ」をつけた容器に代表されるような、すべての人にとって使いやすい製品を届けるユニバーサルデザインなどの取り組みを始めました。2009年には「環境宣言」を発表し、製品のライフサイクル全体を通じて、ステークホルダーの皆さまと協働しながら、環境に配慮する取り組みを推進してきました。
グローバルで深刻な問題となっている気候変動、高齢化社会、資源枯渇、プラスチックごみ問題などの課題は、私たちにとって他人事ではありません。また、世界中の生活者の意識も大きく変化しており、商品を購入する際、環境や人権に配慮しているかを判断材料にするエシカル消費が広まっており、より一層取り組みを強化しなければ私たちの商品が選ばれなくなるという危機感も抱いています。
そこで、2019年にESG(環境・社会・ガバナンス)戦略「Kirei Lifestyle Plan」を発表し、ESGを根幹に据えた経営に大きく舵を切ることを宣言しました。ESGという概念は花王にとって新しいものではありませんが、これまで以上に高いレベルでグローバルに社会的課題を解決したい、技術貢献したいという思いから新たな戦略を掲げました。
「Kirei Lifestyle Plan」の一番の特徴は、生活者を主役に据えているところです。生活者が求めるサステナブルな暮らしを「Kirei Lifestyle」とし、「自分らしくサステナブルなライフスタイルを送りたい」という生活者の思いや行動を実現できるよう策定しました。企業の役割は生活者の皆さまがそれぞれに合った選択ができるように選択肢を提供することと捉えており、生活者一人ひとりの価値観の実現に寄り添っていきたいと考えています。

2. さまざまなステークホルダーとの連携

グローバルな環境・社会課題の解決は困難で、1社では取り組めません。地域社会、行政・自治体、NGO・NPO、アカデミア、業界団体、他企業など多様なパートナーとの連携・協働が必要になります。
たとえば、プラスチック包装容器の資源循環の実現に向けては、ライオン株式会社とフィルム容器のリサイクルに協働して取り組んでいます。また、持続可能なサプライチェーン構築をめざし、インドネシアの小規模パーム農園の生産性向上、持続可能なパーム油に対する認証の取得を支援するプログラムを、パーム油製造・販売会社のアピカルグループと農園会社のアジアンアグリと取り組んでいます。いずれも、お互いの知見やノウハウを持ち寄り、1社だけでは成し得ない課題解決に取り組んでいます。

インドネシアの小規模パーム農園の様子

イトーヨーカドー曳舟店の使用済み
つめかえパック回収ボックス(赤枠部分)

3. ESG活動への展開

このESGガバナンスが対象とするテーマは基本的にESG全般ですが、主にKLPテーマに注力することで戦略的にESGを推進しています。各KLPテーマについて策定された全社目標とKPIは各部門の活動に落とし込まれ、活動とKPIの進捗は集約されて、ESG推進会議でモニタリングされています。
各部門におけるESGの運営については、各部門が管理責任を持ち、組織上のレポーティングラインに基づき展開し、ESGを部門方針、目標、計画に組み込むことで、実効性のあるガバナンスを構築しています。グローバルのグループ会社に対しても各部門が運営し、活動の内容に応じて適宜グループ会社単位で運営しています。
このようにESGコミッティとESG推進会議及びESGステアリングコミッティの連動、19の重点取り組みテーマの主管部門と各部門の連携、各部門内のグローバル運営を含めたESG活動の組み込みを進めています。
社員一人ひとり、組織として、ESGの取り組みを活性化するため、人事評価制度ではESGを組み込んでいます。2021年より開始したOKR制度と呼んでいる人事評価制度では、役員を含む全社員が目標の一部としてESG目標を設定し、取り組み内容がチャレンジの観点で評価されます。このしくみにより、全社員が一丸となってESGに挑戦し、活動を活性化していきます。

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