当社の取締役会は、執行への大幅な権限委譲を行うと共に、モニタリング機能をさらに強化することで、経営陣による適切なリスクテイクと迅速かつ果断な意思決定を促していきます。特に、人的資本を含む経営資源の配分や戦略の実行が経営陣により適切に行われていることを実効的に監督していきます。また、リスク・危機管理体制を始めとした内部統制体制の整備が取締役会の責務であることを認識し、これらの体制を適切に構築・運用していきます。
取締役会において、出席者である取締役及び監査役が、経営戦略等の大きな方向性を示し、その妥当性、実現に当たってのリスク等を客観的、多面的に審議し、執行状況を適切に監督・監査するためには、多様な知識、経験、能力等を有する社内外の者が様々な観点から意見を出し合い建設的な議論を行うことが重要であると考えています。
花王グループは、中期経営計画「K27」のビジョンとして「未来のいのちを守る」を掲げています。当社の経営陣は、その実現ために、1. 持続可能な社会に欠かせない企業になる、2. 投資して強くなる事業への変革(①既存事業の再生<Reborn Kao>、②新事業の創成<Another Kao>)、3. 社員活力の最大化を戦略として、その戦略に沿って業務執行しています。
当社の取締役会は、経営陣が上記の戦略に沿って透明・公正かつ迅速・果断に業務執行を行っていることを監督するため、社内外の取締役及び監査役がそれぞれの知識・経験・専門性を補完しあい、全体としての高い実効性を発揮しています。
2023年3月24日現在
属性 | 経験・知識・専門性 | ○を付けた 主な理由 |
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在任 年数 |
性別 | 国籍 | 経営 | 海外 | 消費財 業界 |
化学品 業界 |
人財 戦略 |
研究 | 環境 ・ 社会 |
IT ・ DX |
法務 ・ リスク マネジ メント |
財務 ・ 会計 |
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取締役 | 14年 9か月 |
男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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7年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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- | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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- | 男 | 日本 | 〇 | 〇 |
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1年 | 男 | 米国 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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5年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 |
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4年 | 女 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 |
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4年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 |
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1年 | 女 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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- | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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監査役 | - | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 |
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2年 | 男 | 日本 | 〇 |
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6年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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5年 | 男 | 日本 | 〇 |
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3年 | 男 | 日本 | 〇 |
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(水平スクロールバーですべてをご覧いただけます。)
経験・知識・専門性 | 経験・知識・専門性として選定した理由 |
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経営 | 経営陣による業務執行を実効的に監督するためには、取締役自身の経営トップとしての経験が有用です。経営トップとしての経験は、当社の経営陣による適切なリスクテイクと迅速かつ果断な意思決定を促す攻めのガバナンスの実現に必要と考えています。 |
海外 | 当社は、グローバル戦略として、競合との熾烈な争いや価格競争に巻き込まれにくいオンリーワン価値の提供をめざしていきます。また、現地での価値、コストパフォーマンス、製造を基本とした地産地消モデルへの転換を図り、グローバルでの成長を加速していきます。これらの活動に適切に助言し、執行を監督するためには海外や日系企業と異なる経営ポジションでの経験そして見識が必要と考えています。 |
消費財業界 化学品業界 |
経営陣による業務執行を実効的に監督するためには、当社の事業領域全体を俯瞰的にとらえて、一段高い視点から議論することが必要です。そのためには、当社の事業領域である消費財業界及び化学品業界における事業環境や市場特性に対する深い理解や、今後の展望への洞察が重要と考えています。 |
人財戦略 | 当社は、経営戦略に基づいた人財戦略を策定し、既存の延長線上ではなく、今後の成長に向けて必要となる役割と人財要件を定義した上で、計画的育成や外部登用等により人財を確保していくことを進めています。この人財戦略の妥当性と進捗を専門的知見や経験から監督することが必要と考えています。 |
研究 | 絶えず革新的で価値の高い商品を生み出す原動力となっているのが、当社の研究です。当社は、本質研究にこだわり、本質研究で蓄積した技術資産をもとにイノベーション創出につなげています。イノベーションを生み続ける研究体制を維持・発展し、創出された技術資産を効果的に使いながら、事業を拡大し、企業価値向上につなげることができているかを監督することが必要と考えています。 |
環境・社会 | 当社は、2019年4月にESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を発表し、ESG経営に舵を切りました。そしてパーパスである「豊かな共生世界の実現」のために、ESG戦略と融合した経営戦略のもと、社会の変化と要請を鑑みて、「Kirei Lifestyle Plan」を実行していきます。取締役会は世間の潮流を踏まえてこれらを適切に監督することが必要と考えています。 |
IT・DX | K27を実現するためには、これまでの延長線上にない、新たな事業創造やデジタルマーケティング・デジタルコミュニケーションといった、ITやデジタルトランスフォーメーションを積極的に活用した革新的な取組みが欠かせないと考えています。IT・DXに関する経験・知識・専門性については、執行役員や外部人財も活用して、取締役会による監督を補完してまいります。 |
法務・ リスクマネジメント |
日頃の企業活動において、また、新事業の創成や事業革新においてもさまざまなリスクの発生が予想されます。当社は、それらリスクを認識し、適切にマネジメントすること、また戦略的に、予防的に、事後的に法務対応することが経営上の重要な課題であると考えています。 |
財務・会計 | 投資判断に影響を与える財務報告の信頼性を確保することは当然の責務です。また、持続的な企業価値向上に向けて、全社視点での適切な資本配分に基づき、収益力の向上や資本効率を踏まえた経営を行うことが重要となります。このため、取締役会には、財務・会計にかかる経験・知識・専門性が必要と考えています。 |
知識・経験・能力だけでなく、性別、国籍、人種、年齢の面を含む取締役会の多様性から生まれる多角的な視点が事業の推進やグローバル拡大、適切な監督や監査に資するとの認識に立ち、これらの多様な人財の取締役及び監査役への登用を進めます。なお、取締役会の女性比率は2025年までに30%を目標とします。
取締役会の規模については、適正配置した執行役員への権限委譲を前提として、事業の拡大等に対応した意思決定の迅速化を図るため小規模の取締役会をめざしつつ、適切な審議や執行の監督を行うために必要な多様な人財のバランスを勘案し、適切な規模とします。また、社外取締役は、取締役会の多様性及び発言力の確保のため取締役の約半数とし、独立性も重視します。監査役会の過半数は独立基準を満たす社外監査役とします。
◎は議長、○は出席メンバーを示しています。
氏名 | 年齢 (2023年 3月24日現在) |
取締役会 | 監査役会 | 取締役・監査役 選任審査委員会 |
取締役・執行役員 報酬諮問委員会 |
監査役報酬 諮問委員会 |
出席状況(2022年度) | ||
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取締役会 | 監査役会 | ||||||||
取締役 | 67歳 | 〇 | 〇 | 14/14 | ー | ||||
62歳 | 〇 | 〇 | 〇 | 14/14 | ー | ||||
63歳 | 〇 | 〇 | ー*1 | ー | |||||
61歳 | 〇 | ー*1 | ー | ||||||
62歳 | 〇 | 11/11*2 | ー | ||||||
社外・独立
|
70歳 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 14/14 | ー | ||
社外・独立
|
70歳 | 〇 | ◎ | 〇 | 14/14 | ー | |||
社外・独立
|
65歳 | 〇 | 〇 | ◎ | 14/14 | ー | |||
社外・独立
|
62歳 | 〇 | 〇 | 〇 | 11/11*2 | ー | |||
社外・独立
|
63歳 | 〇 | 〇 | 〇 | ー*1 | ー | |||
監査役 | 63歳 | 〇 | ◎ | ー*1 | ー*1 | ||||
63歳 | 〇 | 〇 | 14/14 | 9/9 | |||||
社外・独立
|
69歳 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 14/14 | 9/9 | |
社外・独立
|
59歳 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 14/14 | 9/9 | |
社外・独立
|
64歳 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 14/14 | 9/9 |
2022年度は、取締役会、取締役・監査役選任審査委員会及び取締役・執行役員報酬諮問委員会において、以下の点について、重点的に審議を行いました。
取締役会のあり方を議論し、それを踏まえ、以下の内容についても審議しました。
取締役・監査役選任審査委員会では、社長執行役員の後継者の人財要件を確認し、その人財要件に基づき複数の候補者を選定した上で、育成計画の妥当性について審議しました。
取締役・執行役員報酬諮問委員会では、中期経営計画で掲げた目標の達成やありたい姿の実現に向け、取締役・執行役員の報酬や評価のあり方について議論を行いました。そして、2023年度より、社外取締役を除いて適用する短期インセンティブ報酬の個人評価について、よりメリハリをつけた変動幅とし、また評価プロセスにおいても評価の客観性・透明性を担保するために社外役員による評価確認プロセスを導入することを決定しました。今後の花王の変革を支える仕組みとしての役員報酬全般のあり方について、2023年度も継続して議論を行う予定です。
社員活力の最大化、人財の最大活用のための戦略・計画が適切に策定・実行されているかを確認するため、人財や組織のポートフォリオといった人的資本に関する議論を行いました。これまでの延長線上ではなく、今後の成長に向けて必要となる役割と人財要件を定義した上で、社員の計画的育成や外部登用等により戦略的に人財を確保していくべきとの指摘がなされました。これらが実践され、成果につながっていることを引き続き確認していきます。また、「社員の挑戦を促す新しい人財活性化制度OKR(Objectives and Key Results)」導入後の進捗と成果についても審議しました。グループ各所における多様な挑戦が増加、拡大すると共に、対話を通じたさらなる連携が促進されることを確認していきます。
事業環境・競合状況を踏まえた経営戦略と事業変革の方向性を示した上で、事業ポートフォリオ強化を図るためにM&Aにより獲得すべき領域と要素、想定規模等について議論しました。今後も、戦略の有効性と計画の進捗について、引き続き確認していきます。
気候変動リスクと機会(TCFD対応)・持続可能なパーム油調達(人権含む)・生物多様性等、ESGの主要課題について最新動向ならびに花王グループの取組みについて報告を受け、推進状況を確認しました。また、ESGが成長戦略や収益性にビルドインされる必要があること等が議論されました。今後も、サステナビリティの課題について、引き続き確認していきます。
毎年1回、取締役会において評価を実施し、実効性を⾼めるための改善につなげています。取締役会の役割・責務は取締役会全体で共有する必要があるという考えの下、取締役会に参加している監査役を含めたメンバー全員が⾃ら意⾒を述べ、⾃由闊達な議論を⾏うことによって評価を実施することが有効であると考えており、現時点では第三者による評価は実施せず、取締役会出席メンバー⾃⾝による⾃⼰評価により実効性の評価を⾏なっております。しかしながら、第三者の客観的な視点での評価の有⽤性も考慮し、取締役会の実効性をさらに⾼める活動に繋げるため、第三者評価の導⼊も継続的に検討していきます。
2022年度の評価では、2022年1⽉度取締役会における⾃⼰評価に先⽴ち、取締役全9名及び監査役全5名に対し以下の観点のアンケートを実施し、結果を事前にフィードバックした上で取締役会において議論・意⾒交換を⾏いました。また、合わせて取締役・監査役選任審査委員会及び取締役・執行役員報酬諮問委員会の評価も実施しました。その概要は以下のとおりです。
K25の検証や人財戦略のほか、Reborn Kao(既存事業の再生)における構造改革や新規事業やM&Aを含むAnother Kao(新事業の創成)の進捗等について優先的な議論が必要であるとの意見が出されました。
2021年度の課題 | 2022年度の取り組み | 評価 | 今後の取り組み | |
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取締役会の構成、 運営・審議状況 |
今後も取締役会での発表⽅法の | ⼯夫も含め、充実した議論がで きるようさらに改善が望まれる
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議題選定・議論 | 花王グループ中期経営計画 | 「K25」(以下K25)の達成を阻 害する課題、それを解決するた めの施策、優先すべきアクション 等についての議論を深め、K25 実現に向けたPDCAをさらに意 識して定期的に検証を行うこと も必要
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人財戦略は継続的に議論すべき | 経営上の課題であり、K25を実 現するために必要な人財配置、 そのための人財登用や育成、幹 部人財の評価等の議論をさらに 深める必要がある環境変化や経営戦略もふまえた | 人財戦略について議論(年3回)2022年度は時間をかけて人財 | 戦略の議論ができた。事業戦略 との関連性などさらなる議論が 必要人財戦略について執行での議論 | を深め、取締役会で報告、議論
なお、内部統制の継続的な検証・議論については、継続的な取り組みや改善が必要であるものの、適正に監督されているとの評価がなされました。また、K25の検証や人財戦略のほか、Reborn Kao(既存事業の再生)における構造改革や新規事業やM&Aを含むAnother Kao(新事業の創成)の進捗等について優先的な議論が必要であるとの意見が出されました。
2021年度の課題 | 2022年度の取り組み | 評価 | 今後の取り組み |
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業績連動型報酬をはじめとした役員報酬全般につ | いて今後も客観性・透明性をもって積極的に議論 すべき役員の個人評価によるメリハリのついた | 報酬体系や評価と報酬のあり方について 審議
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役員報酬全体に関するポリシーコンセプト | の議論を進め、それに基づく詳細制度設計を 議論する
2021年度の課題 | 2022年度の取り組み | 評価 | 今後の取り組み |
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