当社の取締役会は、執行への大幅な権限委譲を行うと共に、モニタリング機能をさらに強化することで、経営陣による適切なリスクテイクと迅速かつ果断な意思決定を促していきます。特に、人的資本を含む経営資源の配分や戦略の実行が経営陣により適切に行われていることを実効的に監督していきます。また、リスク・危機管理体制を始めとした内部統制体制の整備が取締役会の責務であることを認識し、これらの体制を適切に構築・運用していきます。
取締役会(出席者は取締役及び監査役)において、取締役が、経営戦略等の大きな方向性を示し、取締役及び監査役がその妥当性、実現に当たってのリスク等を客観的、多面的に審議し、執行状況を適切に監督・監査するためには、多様な知識、経験、能力等を有する社内外の者が様々な観点から意見を出し合い建設的な議論を行うことが重要であると考えています。
花王グループは、中期経営計画「K27」のビジョンとして「未来のいのちを守る」を掲げています。当社の経営陣は、その実現のために、1. 持続可能な社会に欠かせない企業になる、2. 投資して強くなる事業への変革、3. 社員活力の最大化を戦略として、その戦略に沿って業務執行しています。
当社の取締役会は、経営陣が上記の戦略に沿って透明・公正かつ迅速・果断に業務執行を行っていることを監督するため、社内外の取締役及び監査役がそれぞれの知識・経験・専門性を補完しあい、全体としての高い実効性を発揮しています。
2024年3月22日現在
属性 | 経験・知識・専門性 | ○を付けた 主な理由 |
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在任 年数 |
性別 | 国籍 | 経営 | 海外 | 消費財 業界 |
化学品 業界 |
人財 戦略 |
研究 | 環境 ・ 社会 |
IT ・ DX |
法務 ・ リスク マネジ メント |
財務 ・ 会計 |
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取締役 | 8年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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1年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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1年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 |
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2年 | 男 | 米国 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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6年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 |
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2年 | 女 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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1年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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- | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 |
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監査役 | 1年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 |
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3年 | 男 | 日本 | 〇 |
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7年 | 男 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
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6年 | 男 | 日本 | 〇 |
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- | 女 | 日本 | 〇 | 〇 | 〇 |
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(水平スクロールバーですべてをご覧いただけます。)
経験・知識・専門性 | 経験・知識・専門性として選定した理由 |
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経営 | 経営陣による業務執行を実効的に監督するためには、取締役自身の経営トップとしての経験が有用です。経営トップとしての経験は、当社の経営陣による適切なリスクテイクと迅速かつ果断な意思決定を促す攻めのガバナンスの実現に必要と考えています。 |
海外 | 当社は、グローバル戦略として、競合との熾烈な争いや価格競争に巻き込まれにくいオンリーワン価値の提供をめざしていきます。また、現地での価値、コストパフォーマンス、製造を基本とした地産地消モデルへの転換を図り、グローバルでの成長を加速していきます。これらの活動に適切に助言し、執行を監督するためには海外や日系企業と異なる経営ポジションでの経験そして見識が必要と考えています。 |
消費財業界 化学品業界 |
経営陣による業務執行を実効的に監督するためには、当社の事業領域全体を俯瞰的に捉えて、一段高い視点から議論することが必要です。そのためには、当社の事業領域である消費財業界及び化学品業界における事業環境や市場特性に対する深い理解や、今後の展望への洞察が重要と考えています。なお、マーケティングをはじめとする事業の遂行については、専門性を有する執行役員への権限委譲を積極的に進め、迅速な意思決定と実行を図っています。 |
人財戦略 | 当社は、経営戦略に基づいた人財戦略を策定し、既存の延長線上ではなく、今後の成長に向けて必要となる役割と人財要件を定義した上で、計画的育成や外部登用等により人財を確保していくことを進めています。この人財戦略の妥当性と進捗を専門的知見や経験から監督することが必要と考えています。 |
研究 | 絶えず革新的で価値の高い商品を生み出す原動力となっているのが、当社の研究です。当社は、本質研究にこだわり、本質研究で蓄積した技術資産をもとにイノベーション創出につなげています。イノベーションを生み続ける研究体制を維持・発展し、創出された技術資産を効果的に使いながら、事業を拡大し、企業価値向上につなげることができているかを監督することが必要と考えています。 |
環境・社会 | 当社は、2019年4月にESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を発表し、ESG経営に舵を切りました。そしてパーパスである「豊かな共生世界の実現」のために、ESG戦略と融合した経営戦略のもと、社会の変化と要請を鑑みて、「Kirei Lifestyle Plan」を実行していきます。取締役会は世間の潮流を踏まえてこれらを適切に監督することが必要と考えています。 |
IT・DX | 「K27」を実現するためには、これまでの延長線上にない、新たな事業創造やデジタルマーケティング・デジタルコミュニケーションといった、ITやデジタルトランスフォーメーションを積極的に活用した革新的な取り組みが欠かせないと考えています。IT・DXに関する経験・知識・専門性については、執行役員や外部人財も活用して、取締役会による監督を補完してまいります。 |
法務・ リスクマネジメント |
日頃の企業活動において、また、新事業の創成や事業革新においてもさまざまなリスクの発生が予想されます。当社は、それらリスクを認識し、適切にマネジメントすること、また戦略的に、予防的に、事後的に法務対応することが経営上の重要な課題であると考えています。 |
財務・会計 | 投資判断に影響を与える財務報告の信頼性を確保することは当然の責務です。また、持続的な企業価値向上に向けて、全社視点での適切な資本配分に基づき、収益力の向上や資本効率を踏まえた経営を行うことが重要となります。このため、取締役会には、財務・会計にかかる経験・知識・専門性が必要と考えています。 |
知識・経験・能力だけでなく、性別、国籍、人種、年齢の面を含む取締役会の多様性から生まれる多角的な視点が事業の推進やグローバル拡大、適切な監督や監査に資するとの認識に立ち、これらの多様な人財の取締役及び監査役への登用を進めます。なお、取締役会の女性比率は2025年までに30%を目標とします。
取締役会の規模については、適正配置した執行役員への権限委譲を前提として、事業の拡大等に対応した意思決定の迅速化を図るため小規模の取締役会をめざしつつ、適切な審議や執行の監督を行うために必要な多様な人財のバランスを勘案し、適切な規模とします。また、社外取締役は、取締役会の多様性及び発言力の確保のため取締役の半数以上とし、独立性も重視します。監査役会の過半数は独立基準を満たす社外監査役とします。
◎は議長、○は出席メンバーを示しています。
氏名 | 年齢 (2024年 3月22日現在) |
取締役会 | 監査役会 | 取締役・監査役 選任審査委員会 |
取締役・執行役員 報酬諮問委員会 |
監査役報酬 諮問委員会 |
出席状況(2023年度) | ||
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取締役会 | 監査役会 | ||||||||
代表取締役 | 63歳 | 〇 | 〇 | 〇 | 15/15 | ー | |||
64歳 | 〇 | 11/11*2 | ー | ||||||
62歳 | 〇 | 11/11*2 | ー | ||||||
取締役 | 63歳 | 〇 | 15/15 | ー | |||||
社外・独立
|
71歳 | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 | 15/15 | ー | ||
社外・独立
|
63歳 | 〇 | ◎ | 〇 | 15/15 | ー | |||
社外・独立
|
64歳 | 〇 | 〇 | 〇 | 11/11*2 | ー | |||
社外・独立
|
65歳 | 〇 | 〇 | 〇 | ー*1 | ー | |||
常勤監査役 | 64歳 | 〇 | ◎ | 11/11*2 | 11/11 | ||||
64歳 | 〇 | 〇 | 15/15 | 11/11 | |||||
社外・独立
|
70歳 | 〇 | 〇 | ◎ | 15/15 | 11/11 | |||
社外・独立
|
60歳 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 15/15 | 11/11 | ||
社外・独立
|
60歳 | 〇 | 〇 | 〇 | ー*1 | ー*1 |
2023年度は、取締役会において、2022年度に確認した取締役会のあり方を念頭に以下の点について、重点的に審議を行いました。
花王の取締役会は、執行への大幅な権限委譲を行うとともに、モニタリング機能をさらに強化することで、経営陣による適切なリスクテイクと迅速かつ果断な意思決定を促していきます。特に、人的資本を含む経営資源の配分や戦略の実行が経営陣により適切に行われていることを実効的に監督していきます。また、リスク・危機管理体制を始めとした内部統制体制の整備が取締役会の責務であることを認識し、これらの体制を適切に構築・運用していきます。
事業状況を示す指標及び、花王グループ中期経営計画「K25」の進捗状況を毎月の取締役会でモニタリングするとともにK25中間総括を行い、構造改革と成長戦略について議論しました。K25の中間総括の結果、花王グループ中期経営計画「K27」を再策定し、構造改革の議論と実践が進捗しております。K27達成に向けて引き続きモニタリングすべき経営指標を進化させ、当該経営指標に対する実績を定期的に確認してまいります。
人財戦略における課題意識、そこで発見された課題への対応の方向性、を確認し、当社の成長戦略を実現するための人財戦略について議論を行いました。そこで、成長戦略を担うための人財の要件や育成・獲得についてさらに議論を深めていくことが必要であるとの指摘がなされました。議論の時間が確保され、成長戦略が実行されていくことを引き続き確認していきます。また、社員の挑戦を促す新しい人財活性化制度OKR(Objectives and Key Results)導入後の進捗と成果についても継続的に審議しています。グループ各所における多様な挑戦が増加、拡大するとともに、対話を通じたさらなる連携が促進されることを確認していきます。
グローバルのESGの潮流、「脱炭素」や「生物多様性」戦略の事業計画への組み込み等、花王グループの取り組みについて報告を受け、推進状況を確認しました。今後も、サステナビリティの課題について、引き続き確認していきます。
内部統制体制が整備され、大きな問題はなく運用されていることが確認されました。
上記のほか、毎月、執行役員を兼務する取締役から執行報告及び担当執行役員から経営会議審議事項の報告を行っています。
毎年1回、取締役会において評価を実施し、実効性を⾼めるための改善につなげています。取締役会の役割・責務は取締役会全体で共有する必要があるという考えの下、取締役会に参加している監査役を含めたメンバー全員が⾃ら意⾒を述べ、⾃由闊達な議論を⾏うことによって評価を実施することが有効であると考えております。一方で取締役会の実効性をさらに⾼める活動に繋げるため、第三者の客観的な視点での評価の有⽤性も考慮します。
2023年度の評価では、2024年1⽉度取締役会における⾃⼰評価に先⽴ち、取締役全10名及び監査役全5名に対し以下の観点のアンケートを実施し、結果を事前にフィードバックした上で取締役会において、さらなる向上の余地がある点を中心に、議論・意⾒交換を⾏いました。また、合わせて取締役・監査役選任審査委員会及び取締役・執行役員報酬諮問委員会の評価も実施しました。なお、アンケート項目の策定及び分析にあたって、客観的な視点を盛り込むべく、第三者によるアドバイスを受けました。
その概要は以下のとおりです。
全体として、取締役会の監督機能は適切に発揮されており、実効性は確保されていると評価されました。一方で、さらなる実効性向上に向けた課題の抽出と今後の取り組みについての意見がなされました。
2022年度の課題 | 2023年度の取り組み | 2023年度の評価・課題 | 今後の取り組み |
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2022年度の課題 | 2023年度の取り組み | 2023年度の評価・課題 | 今後の取り組み |
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取締役会の構成、取締役・監査役体制やCEO後継者計画について十分議論のうえ、取締役会へ答申がなされており、全体として実効性が確保されているとの評価がなされました。さらなる実効性向上に向け、今後の取り組みについての意見がなされました。
2022年度の課題 | 2023年度の取り組み | 2023年度の評価・課題 | 今後の取り組み |
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役員の報酬体系のあり方全般、報酬水準等について、十分に時間をかけ、深い議論ができており、実効性は確保できているとの評価がなされました。
2022年度の課題 | 2023年度の取り組み | 2023年度の評価・課題 | 今後の取り組み |
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