クロロゲン酸類の肌への効果

(1)クロロゲン酸類の皮膚表面形状及び血流調節機能への効果

クロロゲン酸類をヒトが継続摂取した場合の皮膚表面形状、及び血流調節機能*1 への効果を検証するため、ランダム化二重盲検並行群間試験を行いました*2 。試験では、顔の肌に乾燥悩みを持ち、明瞭な鱗屑を有する25-35歳の健常女性31名を2群に分け、「クロロゲン酸群(n=16)」は298㎎のクロロゲン酸類を含む飲料、「プラセボ群(n=15)」はクロロゲン酸類を含まない飲料を1日1回、4週間継続摂取しました。皮膚の性状への効果は、頬および口元を対象とし、Visioscanを用いて得た画像から算出した*3 鱗屑指標(SESC)、滑らかさ指標(SESM)、及びVAS法を用いた「肌の滑らかさ」を評価しました。血流調節機能への効果は、手を15℃の冷水に1分間浸漬させ、引き上げた後の皮膚温の回復率* を指標に評価しました。各測定は、摂取開始直前(0週目)、1週目、2週目(アンケートのみ実施)、4週目の4回行いました。
結果、4週間の連用により、クロロゲン酸群は、プラセボ群と比べ、頬及び口元のSESCが摂取1週目より有意に改善し、その差は4週目まで維持されました。SESMは頬において4週目に有意な改善効果が認められました。また、VASを用いた「肌の滑らかさ」の評価においてもクロロゲン酸群はプラセボ群と比べ、改善傾向が認められました。
更に、皮膚温回復率は、被験者全員を対象とした2群間の比較では有意な差は認められなかったものの、0週目の皮膚温回復率が低い被験者** においては、皮膚温回復率の上昇とともに、SESCやSESM、「肌の滑らかさ」の改善も認められました(図1(a)~(d))。以上の結果から、この肌状態の改善は実感を伴っていることがわかりました。

* 皮膚温回復率は以下の式にて算出。
皮膚温回復率(%)=(T10-T0)/(TbI-T0)×100
TbI;冷水負荷直前の皮膚温、T0;冷水負荷直後の皮膚温、T10;冷水負荷後10分の皮膚温

** 皮膚温摂取直前(0週目)の全被験者の皮膚温回復率のMedian値90.48%以下の方。クロロゲン酸群7名、プラセボ群8名。

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(2)クロロゲン酸類の角層機能及びストレス症状への効果

クロロゲン酸類をヒトが継続摂取した場合の角層機能及びストレス症状への効果を検証するため、軽度ストレスを感じ、頬、口元、下腿伸側の角層水分量が少ない25-59歳の健常女性104名を対象にランダム化二重盲検並行群間試験を行いました*4。試験では、被験者を「クロロゲン酸群(n=50)」(300㎎のクロロゲン酸類を含む飲料を摂取する群)と「プラセボ群(n=54)」(クロロゲン酸類を含まない飲料を摂取する群)の2群に分け、それぞれの飲料を1日1本、8週間継続摂取させました。角層機能の評価は、頬、口元、下腿伸側の角層水分量をcorneometerにて評価しました。ストレス症状への効果は、Stress check list30(SCL30)を用いて評価しました。
結果、クロロゲン酸群では、頬、口元、下腿伸側のいずれにおいても角層水分量の有意な増加が認められ、プラセボ群との群間比較においても有意な差が認められました。また、クロロゲン酸群における角層水分量の増加は、測定した部位間で相関があったことから、全身の角層水分量の改善効果が示唆されました。また、別の試験では頬、手背の角層水分量の増加に加え、皮膚表面pHの低下や角層中の乳酸量の増加が認められたことから*5、クロロゲン酸の継続摂取は角層機能の改善に有用であると考えられました。
一方、ストレス症状については、0週目にSCL30でストレス症状を有すると判定された被験者の割合が両群で同等でしたが、摂取8週目にストレス症状が改善した被験者は、クロロゲン酸群で52.0%、プラセボ群で40.8%であり、クロロゲン酸類の摂取によるストレス症状の緩和が示唆されました。さらに、クロロゲン酸群のうち、特にストレス症状が改善した被験者において、角層水分量の増加が顕著でした。

以上より、クロロゲン酸類の継続摂取により肌状態が改善されることが明らかとなりました。

参考文献

  • * 1 A.Y.Yoshida et al., Int.J.Dermatol., 56(2)176-183(2017)
  • * 2 S.Ueda et al., J.Nutr.Sci.Vitaminol., 63(5), 291-297(2017)
  • * 3 J.Kottner et al., Skin Res.Technol., 19(2), 84-90(2013)
  • * 4 上田早智江 他, 皮膚の科学, 16(5), 347-355(2017)
  • * 5 S.Fukagawa et al., Biosci.Biotechol.Bioche., 81(9), 1814-1822(2017)
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