クロロゲン酸類は、コーヒーに多く含まれていますが、野菜類(ナス、ブロッコリー、ジャガイモ、ニンジン、レタス、トマト、ハクサイ、キャベツ)、果実類(プラム、チェリー、モモ、リンゴ、ナシ)にも存在し、古来から人類が摂取してきた食品に幅広く含まれており、十分な食経験がある成分です*1 。
社団法人 全日本コーヒー協会『コーヒーの需要動向に関する基本調査』における2010年時の日本のコーヒーの飲用状況によると、1人1週間当たりの飲用杯数は、10.93杯/週であり、その内訳は、インスタント4.69杯/週、レギュラー3.27杯/週、リキッド1.09杯/週、缶1.87杯/週です。また、年齢、男女別での1人1週間当たりの飲用杯数は、中高生の男性2.09杯/週、女性1.70杯/週、18~24歳の男性7.29杯/週、女性4.75杯/週、25~39歳の男性12.93杯/週、女性10.29杯/週、40~59歳の男性14.59杯/週、女性14.62杯/週、60歳以上の男性11.36杯/週、8.99杯/週と報告されています。
日本においてコーヒーは、男女問わず、幅広い年代の人々に飲用実績があります。
コーヒーの食経験は1,000年以上の歴史があり、イスラム世界で10世紀頃、生豆を煮出した液を薬用として摂取していました。その後、数世紀の間、生豆煮出し液の摂取が行われていましたが、13世紀半ば頃に生豆を炒って煮出すようになり、焙煎豆の摂取が始まりました。その後17世紀にコーヒーはヨーロッパ各地に広がり、日本では明治以降に摂取されるようになりました*2 。
クロロゲン酸類を主成分とする生コーヒー豆抽出物を用いた安全性評価試験を外部専門機関において実施しております。以下に評価結果の概要を示しました。いずれの試験においても、問題のないことが確認されております。
①変異原性試験
生コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸類含量:31.3%)は、代謝活性化の有無にかかわらず、試験した5菌株(Salmonella typhimurium)、4菌株(TA98、TA100、TA1535、TA1537)、およびEscherichia coli 1菌株(WP2uvrA)、いずれの菌株に対しても復帰変異コロニー数を陰性対照の2倍以上増加させませんでした。以上より変異原性試験は陰性でした。
②単回投与毒性試験
生コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸類含量:31.3%)を2,000mg/kg(クロロゲン酸類として626mg/kg)の用量でCrj:CD(SD)IGSラットに1回経口投与した時の毒性を検討しました。15日間の観察期間中に死亡例は認められず、一般状態、体重、摂餌量および剖検結果において異常は認められませんでした。よって、生コーヒー豆抽出物の最小致死量は2,000mg/kg(クロロゲン酸類として626mg/kg)以上でした。
③反復投与毒性試験
生コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸類含量:29.9%)を100、300、1,000mg/kgの用量でCrj:CD(SD)IGSラットに28日間経口投与した際の毒性を検討しました。その結果、最高用量の1,000mg/kg(クロロゲン酸類として299mg/kg)まで投与しても毒性学的な意義のある変化は雌雄ともみられなかったことから、生コーヒー豆抽出物の無毒性量は雌雄とも1,000mg/kg/day(クロロゲン酸類として299mg/kg/day)と推察されました。
④催奇形性試験
生コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸類含量:29.9%)を100、300、1,000mg/kgの用量でCrj:CD(SD)IGS妊娠ラットに妊娠6日から19日まで経口投与した際の母動物および胎仔に対する影響を検討しました。その結果、300mg/kg以上で母動物の体重増加抑制がみられ、胎仔においては、1,000mg/kgで軽度な骨化遅延がみられたことから、生コーヒー豆抽出物の母動物の無毒性量は100mg/kg/day (クロロゲン酸類として29.9mg/kg/day)、胎仔の無毒性量は300mg/kg/day (クロロゲン酸類として89.7mg/kg/day)と推察され、催奇形性は認められませんでした。
①過剰摂取試験
クロロゲン酸類を含有するコーヒーを用いて、過剰摂取時(1日摂取目安量の3倍量)の安全性を検証するため、成人男女35名を対象に市販品相当のコーヒーを対照飲料とした4週間継続摂取によるダブルブラインド並行群間試験を実施しました。その結果、過剰摂取時において、安全性上の問題は認められませんでした*3 。
②長期摂取試験
クロロゲン酸類を含有するコーヒーを用いて、長期摂取時の安全性を検証するため、成人男女109名を対象にクロロゲン酸類を含まないコーヒーを対照飲料とした12週間継続摂取によるダブルブラインド並行群間試験を実施しました。評価内容は、血液検査、尿検査、および問診としました。その結果、長期摂取時において、安全性上の問題は認められませんでした*4 。
クロロゲン酸類を関与成分とするリズムライフコーヒー* は、内閣府食品安全委員会より特定保健用食品評価書*5 を取得しており、安全性に問題ないとされています。