論文リスト

1.クロロゲン酸類の有効性に関する論文

論文タイトル Short-Term Intake of Chlorogenic Acids Improves Psychomotor Speed and Motor Speed in Adults: A Randomized Crossover Trial
掲載誌 Brain Sci;12(3):370.2022
著者名 Chika Suzukamo, Ryuji Ochiai, Yuki Mitsui, Noriko Osaki, Takahiro Ono
抄録 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35326326/
論文タイトル Beneficial effects of oral supplementation with ferulic acid, a plant phenolic compound, on the human skin barrier in healthy men
掲載誌 Int J Vitam Nutr Res;Online ahead of print, 2021
著者名 Atsushi Suzuki, Tomoko Nomura, Hiroko Jokura, Naoya Kitamura, Akihiko Fujii, Tadashi Hase
抄録 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33973806/
論文タイトル 生コーヒー豆由来クロロゲン酸の単回摂取が顔面皮膚性状に及ぼす影響
掲載誌 日本食品科学工学会誌 68(3), 124-132, 2021
著者名 野村知子, 風間治仁, 直江綾乃, 内藤智, 高妻和哉, 田村亮, 棚橋昌則, 須摩茜, 樋口和彦, 杉山義宣
要旨 コーヒー豆由来クロロゲン酸の単回摂取がヒトの顔の皮膚性状に及ぼす影響を検討した。健常成人女性20名を被験者とし、プラセボ対照ランダム化クロスオーバー比較試験を実施した。試験飲料は、コーヒー豆由来クロロゲン酸270mgを含むクロロゲン酸飲料とコーヒー豆由来クロロゲン酸を含まないプラセボ飲料とし、それぞれの試験飲料の摂取の間には1週間のウォッシュアウト期間を設けた。試験飲料摂取前、摂取60分後、摂取120分後に頬の角層水分量、経皮水分蒸散量(TEWL)、皮膚血流量をそれぞれ測定した。クロロゲン酸飲料摂取後の頬の角層水分量、TEWL、皮膚血流量は、プラセボ飲料摂取後と比較して、いずれも有意に高く推移した。これらの結果は、クロロゲン酸飲料の単回摂取によって、角層水分量、TEWL、皮膚血流量が即時的に上昇することを示唆している。
論文タイトル コーヒー豆由来クロロゲン酸の単回摂取が健常男性の冷えに及ぼす影響 -プラセボ対照ランダム化二重盲検クロスオーバー群間比較試験-
掲載誌 薬理と治療 48(4), 625-632, 2020
著者名 中島幸範, 野村知子, 高妻和哉, 須磨茜, 樋口和彦, 杉山義宣, 西村直記
要旨 クロロゲン酸の単回摂取が、健常男性の冷水負荷後の皮膚温に及ぼす効果を検討した。試験飲料(クロロゲン酸270mgまたは、135mg含有)、プラセボ飲料を用いたランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験を実施した。飲料摂取後に、33℃の水浴に30分間、続いて15℃の水浴に5分間、両手を手関節部まで浸漬させる冷水負荷試験を実施し、指先の皮膚温変化を観察した。クロロゲン酸270mg摂取時の冷水負荷後の皮膚温の回復は、プラセボ摂取時と比較して有意に改善した。また、プラセボ摂取時の皮膚温の回復が遅い者では、クロロゲン酸270mg、135mgどちらを摂取しても、皮膚温の回復はプラセボ摂取時に比べ有意に改善した。以上の結果より、健常男性において、クロロゲン酸270mgの摂取は冷水負荷後の皮膚温の回復を早め、皮膚温の回復の遅い者では、クロロゲン酸135mgの摂取から効果があることが示唆された。
論文タイトル Effects of Chlorogenic Acids on Menopausal Symptoms in Healthy Women: A Randomized, Placebo-Controlled, Double-Blind, Parallel-Group Trial
掲載誌 Nutrients 12(12), 3757, 2020
著者名 Yuka Enokuchi, Atsushi Suzuki, Tohru Yamaguchi, Ryuji Ochiai, Masakazu Terauchi, Kiyoshi Kataoka
要旨 クロロゲン酸の継続摂取が更年期症状、特にホットフラッシュに及ぼす影響について検討した。健常な40~59歳女性82名を対象に、クロロゲン酸タブレット(クロロゲン酸270mg含有)あるいはプラセボタブレット(クロロゲン酸0mg)を4週間継続摂取するランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間試験を実施した。その結果、プラセボタブレットを摂取した群に比較し、クロロゲン酸を含むタブレットを摂取した群では、ホットフラッシュの回数、睡眠中のホットフラッシュの重症度、および、日中の発汗の重症度が有意に低下した。また、更年期障害の重症度は、クロロゲン酸摂取2週間後に、プラセボ群に対して有意に改善された。以上の結果から、クロロゲン酸の継続的な摂取は、健康な女性の更年期症状、とくにホットフラッシュを軽減する可能性があることが示唆された。
抄録 https://doi.org/10.3390/nu12123757
論文タイトル Effect of Chlorogenic Acids on Cognitive Function in Mild Cognitive Impairment: A Randomized Controlled Crossover Trial
掲載誌 J Alzheimers Dis 72(4), 1209-1216, 2019
著者名 Ochiai R, Saitou K, Suzukamo C, Osaki N, Asada T
要旨 コーヒー豆の主要なポリフェノールであるクロロゲン酸の軽度認知障害者(MCI)への認知機能、特に注意力に及ぼす効果を調べた。MCIと診断された患者34名を対象にCGAs飲料(クロロゲン酸類 1107.2mg)若しくはプラセボ飲料(クロロゲン酸類 0mg)を毎日12週間飲用するクロスオーバー試験を実施した。評価項目は、認知機能としてMMSE 、ADAS-cog, Trail Making Test (TMT)、安全性として血液を比較した。その結果、12週間の試験飲料の継続的な摂取により、CGAs飲料群のTMT-Bのエラー数はプラセボ飲料群に比し有意に減少した(p <0.05)。他のMMSEやADAS-cog、そしてTMTの作業達成時間は群間に有意な差は認められなかった。
以上からクロロゲン酸類の継続的な摂取は、MCI患者の認知機能の注意力および実行機能を改善すると示唆された。
抄録 https://doi.org/10.3233/JAD-190757
論文タイトル Chlorogenic acid-enriched green coffee bean extract affects arterial stiffness assessed by the cardio-ankle vascular index in healthy men: a pilot study
掲載誌 Int J Food Sci Nutr 70(7), 901-908, 2019
著者名 Suzuki A, Nomura T, Jokura H, Kitamura N, Saiki A, Fujii A
要旨 動脈硬化度を予測するための評価指標として近年注目されている心臓足首血管指数(CAVI)を用い、健常な日本人男性におけるクロロゲン酸摂取によるCAVIへの影響を検討した。被験者を2群(n=8)に分け、プラセボ飲料及びクロロゲン酸類 300mgを含むテスト飲料をそれぞれ2週間摂取した。試験開始時及び2週間後にCAVIを計測し、摂取前後の変化量を2群間で比較したところ、クロロゲン酸類群におけるCAVIの低下はプラセボ群に比べて有意に大きいことが明らかとなった。以上の結果は、クロロゲン酸類の摂取がCAVIで計測した動脈硬化指標において予防的な作用を有する可能性を示唆している。
抄録 https://doi.org/10.1080/09637486.2019.1585763
論文タイトル クロロゲン酸類を含有する酸化成分低減コーヒーによる精神作業負荷に伴う疲労及びストレスに及ぼす影響 -無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー群間比較試験-
掲載誌 Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)47(2), 287-293, 2019
著者名 鈴木淳, 藤井明彦, 渡邉勇, 我部有, 山本尚基, 渡辺卓也, 藤原利男
要旨 一時的な精神作業負荷によるストレスと疲労に及ぼす酸化成分(ヒドロキシヒドロキノン, HHQ)低減コーヒー飲用の影響を検討した。30~40歳代の健常男性15名が、酸化成分低減コーヒー(高クロロゲン酸低HHQコーヒー)またはプラセボコーヒー(低クロロゲン酸低HHQコーヒー)を4週間飲用した。試験飲料飲用前と4週間飲用後の試験日に、1時間の計算作業及びパソコン作業によるストレス・疲労負荷を実施し、その前後での疲労度の評価を行った。酸化成分低減コーヒーを4週間摂取した結果、作業負荷後の全体的疲労感、身体的疲労感、自覚的ストレス、イライラ感が有意に低下するとともに、計算作業によって評価した精神作業能力の有意な向上が認められた。以上より、酸化成分低減コーヒーの摂取により、一時的な精神作業負荷に伴うストレス及び疲労感を軽減する可能性が示唆された。
抄録 http://www.pieronline.jp/content/article/0386-3603/47020/287
論文タイトル Coffee Abundant in Chlorogenic Acids Reduces Abdominal Fat in Overweight Adults: A Randomized, Double-Blind, Controlled Trial
掲載誌 Nutrients 11(7), pii: 1617, 2019
著者名 Watanabe T, Kobayashi S, Yamaguchi T, Hibi M, Fukuhara I, Osaki N
要旨 150名(試験食品摂取者142名、試験完遂者142名、解析対象者142名)の肥満1度の日本人成人男女に、コーヒー豆由来クロロゲン酸類(319mg/日)含有インスタントコーヒー(n=72)又は、対照(コントロール:n=70)としてコーヒー豆由来クロロゲン酸類の少ない(30mg/日)のインスタントコーヒーを12週間摂取させ、腹部脂肪面積を比較した。腹部脂肪面積のうち、内臓脂肪面積(VFA)と腹部総脂肪面積(TFA)は、コーヒー豆由来クロロゲン酸類群で対照群と比較して有意に低減していた(VFA:p<0.001、TFA: p<0.001)。腹部皮下脂肪面積(SFA)の介入終了時の平均値は、コーヒー豆由来クロロゲン酸類群が対照群より小さかったが(214.5cm2 vs 222.1cm2)、群間の有意差は認められなかった。
抄録 https://doi.org/10.3390/nu11071617
論文タイトル コーヒー豆由来クロロゲン酸摂取が冷水負荷後の末梢部皮膚温および皮膚血流に及ぼす効果 -プラセボ対照ランダム化二重盲検クロスオーバー群間比較試験-
掲載誌 Jpn J Biometeor(日本生気象学会雑誌)56(2), 89-99, 2019
著者名 野村知子, 天野(吉田)恭子, 中島幸範, 高妻和哉, 須摩茜, 樋口和彦, 杉山義宣, 西村直記
要旨 クロロゲン酸飲料の単回摂取が冷水負荷後の末梢部皮膚温および皮膚血流に及ぼす効果について検討した。健常女性24名を被験者とし、クロロゲン酸飲料(クロロゲン酸 270mg含有)あるいはプラセボ飲料を用いたランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験を実施した。試験飲料摂取50分後に水温15℃の水浴に1分間両手を手関節部まで浸漬する冷水負荷試験を実施した際の指先の皮膚温と皮膚血流の変化を観察した。試験完遂者は21名であった。クロロゲン酸飲料摂取時の冷水負荷後の皮膚温の回復はプラセボ飲料摂取時と比較して有意に高く、同様に皮膚血流の回復もクロロゲン酸飲料摂取時に有意に高かった。以上の結果より、クロロゲン酸飲料摂取は冷水負荷により低下した皮膚温および皮膚血流の回復を早める効果があることが示唆された。
抄録 https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikisho/56/2/56_89/_article/-char/ja/
論文タイトル Effect of Chlorogenic Acid Intake on Cognitive Function in the Elderly: A Pilot Study
掲載誌 Evid Based Complement Alternat Med 8608497, 2018
著者名 Kato M, Ochiai R, Kozuma K, Sato H, Katsuragi Y
要旨 コーヒー豆の主要なポリフェノールであるクロロゲン酸の認知機能に及ぼす効果を調べた。記憶機能に不安を有する健常な高齢者8名にCGAs飲料(クロロゲン酸類330mg)を毎日6ヶ月飲用する単群試験を実施した。評価項目は、CogstateおよびCNS Vital Signs testとした。その結果、6ヶ月のCGAs飲料の摂取により摂取前と比し、Cogstateの作業記憶のOne back test、CNS Vital Signs testの指たたき、図形記憶、注意力および実行機能が有意に向上した。
以上からクロロゲン酸類の継続的な摂取は、記憶機能に不安を有する高齢者の注意力、記憶機能および実行機能を改善することが示唆された。
抄録 https://doi.org/10.1155/2018/8608497
論文タイトル Effect of Chlorogenic Acids on Cognitive Function: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial
掲載誌 Nutrients 10(10), pii: 1337, 2018
著者名 Saitou K, Ochiai R, Kozuma K, Sato H, Koikeda T, Osaki N, Katsuragi Y
要旨 クロロゲン酸類の認知機能改善効果を、ランダム化二重盲検並行群間比較試験により検討した。38名の健康な成人男女を、CGA飲料群(クロロゲン酸類:300mg)とプラセボ飲料群(クロロゲン酸類:0mg)とに割り付け、16週間の継続摂取試験を実施した。認知機能はCognitraxにより評価した。CGA飲料群では、プラセボ飲料群と比較して、注意シフトテストのスコアが改善し、運動速度、認知機能速度および実行機能の領域スコアが有意に上昇した。また血液分析では、CGA飲料群で、認知機能と関連があるタンパク質(アポリポ蛋白A-1およびトランスサイレチン)の血中レベルが上昇した。以上の結果より、クロロゲン酸類の継続的な摂取は、認知機能を改善することが示唆された。
抄録 https://doi.org/10.3390/nu10101337
論文タイトル Effect of chlorogenic acids on fatigue and sleep in healthy males: A randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover study
掲載誌 Food Sci Nutr 10(10), pii: 1337, 2018
著者名 Ochiai R, Tomonobu K, Ikushima I
要旨 コーヒー豆の主要なポリフェノールであるクロロゲン酸の疲労および睡眠に及ぼす効果を調べた。週後半に起床時の疲労感が残存する土日が休日の会社員で健常な成人男性16名を対象にCGAs飲料(クロロゲン酸類300mg)若しくはプラセボ飲料(クロロゲン酸類0mg)を毎日約2週間飲用するクロスオーバー試験を実施した。評価項目は、疲労感や睡眠感のVAS評価、リストタイプのウエラブルセンサーによる睡眠関連指標および血液・尿とした。その結果、VAS評価において2週目の後半、CGAs飲料群はプラセボ飲料群に比し起床時の疲労感および熟眠感が有意に良好となった。また、睡眠関連指標においてもCGAs飲料群は2週目後半の睡眠効率および中途覚醒時間が有意に改善した。
以上から、クロロゲン酸含有飲料は継続摂取により起床時の疲労感および睡眠の質を改善させる機能を有することが見出された。
抄録 https://doi.org/10.1002/fsn3.861
論文タイトル Effects of Chlorogenic Acid-Enriched and Hydroxyhydroquinone-Reduced Coffee on Postprandial Fat Oxidation and Antioxidative Capacity in Healthy Men: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Crossover Trial
掲載誌 Nutrients 10(4), pii: 525, 2018
著者名 Katada S, Watanabe T, Mizuno T, Kobayashi S, Takeshita M, Osaki N, Kobayashi S, Katsuragi Y
要旨 コーヒー中に含まれる酸化成分ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)がクロロゲン酸類の有する脂質代謝亢進効果に及ぼす影響を検証した。健常男性15名を被験者とし、クロロゲン酸類含量が同一でありHHQ含量が異なる2種類のコーヒー飲料(HHQ(+)又はHHQ(-))を用い、ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験を行った。被験者はコーヒー飲料を1日1本4週間継続摂取した。呼気分析により食後脂質代謝および酸化ストレス指標を比較した。その結果、HHQ(+)と比較しHHQ(-)飲料摂取において有意な食後脂質代謝亢進及びBAP/d-ROMs比の上昇が観察された。これらの結果からHHQの低減はコーヒー中クロロゲン酸類の食後脂質代謝亢進効果を促進する可能性が示唆された。
抄録 https://doi.org/10.3390/nu10040525
論文タイトル コーヒー豆由来クロロゲン酸の正常高値血圧者とI度高血圧者の日本人成人に対する血圧への効果 -ランダム化比較試験のIndividual Participant Dataメタアナリシス-
掲載誌 薬理と治療 46(7), 1157-1166, 2018
著者名 高妻和哉, 渡辺卓也, 日比壮信
要旨 コーヒー豆由来クロロゲン酸の血圧改善効果を、正常高値血圧者とⅠ度高血圧者の日本人成人を対象とした、ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験の個人レベルデータ(individual participant data, IPD)を用いたメタアナリシス(IPDメタアナリシス)で検証した。
IPDメタアナリシスの対象は、Medline(PubMed)とJDreamⅢ、University hospital Medical Information Network Clinical Trials Registryを検索し(2018年5月検索)、3研究(対象者数450名)を採用し、IPDの得られた432名のデータをIPDメタアナリシスで解析した。
IPDメタアナリシスの結果、コーヒー豆由来クロロゲン酸の摂取は、収縮期血圧(SBP)を-7.3mmHg[95%信頼区間 -8.3~-6.3]、拡張期血圧(DBP)を-4.2mmHg[95%信頼区間 -5.2~-3.2]を低下させることが示された。正常高値血圧者のサブグループ解析では、SBPを-6.7mmHg [95%信頼区間 -7.8~-5.6]、DBPを-4.3mmHg[95%信頼区間 -5.6~-3.0]低下させ、Ⅰ度高血圧者のサブグループ解析では、SBPを-8.6mmHg[95%信頼区間 -10.3~-6.8]、DBPを-4.8mmHg[95%信頼区間 -6.3~-3.3]低下させることが示された。なお、コーヒー豆由来クロロゲン酸の摂取による有害事象は認められなかった。
本研究から、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の摂取は、日本人成人の正常高値血圧者とⅠ度高血圧者の血圧を低下させることが示された。
論文タイトル Ingestion of coffee polyphenols suppresses deterioration of skin barrier function after barrier disruption, concomitant with the modulation of autonomic nervous system activity in healthy subjects.
掲載誌 Biosci Biotechnol Biochem. 82(5), 879-884, 2018
著者名 Kagawa D, Fujii A, Ohtsuka M, Murase T.
要旨 クロロゲン酸類を主成分とするコーヒーポリフェノール(CPPs)を含む飲料の摂取が、皮膚バリア機能や自律神経機能に及ぼす影響を明らかにするために、活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)で生じさせた肌荒れに対する4週間の継続摂取試験を実施した。その結果、プラセボ飲料を摂取した方に比較し、CPPsを含む飲料を摂取した方の活性剤処理による皮膚バリア機能の指標(経皮水分蒸散量、皮膚水分量)の低下は抑制されていた。さらに、心拍変動解析から、CPPs飲料を摂取した方の副交感神経活動は亢進し、交感神経活動は抑制されていた。以上の結果から、CPPs飲料は自律神経調節を介して皮膚バリア機能の低下を軽減させる可能性が示唆された。
抄録 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29513088
論文タイトル Effects of subacute ingestion of chlorogenic acids on sleep architecture and energy metabolism through activity of the autonomic nervous system: a randomised, placebo-controlled, double-blinded cross-over trial
掲載誌 Br J Nutr 117(7), 979-984, 2017
著者名 Park I, Ochiai R, Ogata H, Kayaba M, Hari S, Hibi M, Katsuragi Y, Satoh M, Tokuyama K
要旨 コーヒー豆の主要なポリフェノールであるクロロゲン酸の睡眠、エネルギー代謝および自律神経に及ぼす効果を調べた。健常な成人男女9名を対象にCGA飲料(クロロゲン酸類600mg)若しくはプラセボ飲料(クロロゲン酸類 0mg)を毎日5日間飲用するクロスオーバー試験を実施した。評価は、日々の生活記録、主観的調査および活動量、そして5日目の夕方メタボリックチャンバーに入室し翌日午前中まで、心電図、脳波およびエネルギー消費量を測定した。その結果、CGA飲料摂取群は、プラセボ飲料摂取群に比して、睡眠中の脂質代謝が有意に亢進、睡眠潜時が有意に短縮し睡眠中の副交感神経活動が有意に増大した。
以上から、クロロゲン酸含有飲料の継続摂取は、体脂肪の低減と睡眠の質の改善が示唆された。
抄録 https://doi.org/10.1017/S0007114517000587
論文タイトル コーヒーポリフェノールの摂取による乾燥肌及びストレス症状への効果 -ランダム化二重盲検比較試験-
掲載誌 皮膚の科学 2017年10月号 第16巻
著者名 上田早智江, 須摩茜, 田村亮, 片岡潔, 杉山義宣, 水谷仁, 高木豊
要旨 コーヒーポリフェノール(Coffee Polyphenols, CPPs)の継続経口摂取による顔面、下肢皮膚の角層機能、及びストレス症状への影響について、健常成人女性108名を対象とし、CPPs配合飲料(クロロゲン酸300mg/100ml/day)の効果をCPPs無配合(プラセボ)飲料を対照として8週間継続摂取するランダム化二重盲検並行群間比較試験により検討した。皮膚性状、血流調節機能の計測、及び主観評価に基づく皮膚性状の変化・ストレス症状の評価を行った。その結果、8週間の摂取試験後、CPPs配合飲料摂取群では、プラセボ飲料摂取群と比べ、顔面及び下肢の角層水分量の増加、テープ剥離後の水分蒸散量増加の抑制が認められ、ストレス症状の改善も認められた。これらの結果から、CPPsの継続摂取による全身の皮膚の乾燥改善が期待されると共に、ストレス症状の低減が示唆された。
抄録 https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch/16/5/16_347/_article/-char/ja/
論文タイトル Ingestion of coffee polyphenols improves a scaly skin surface and cutaneous vascular function: A randomized, controlled trial.
掲載誌 J Nutr Sci Vitaminol. 2017; 63(5): 291-297
著者名 Sachie Ueda, Masanori Tanahashi, Yuko Higaki, Kayoko Iwata and Yoshinori Sugiyama
要旨 鱗屑のある人を対象として、コーヒーポリフェノール(CPPs)を297.8mg配合した飲料を摂取することによる乾燥肌及び血流調節機能への効果を4週間の継続摂取試験を実施することで調べた。乾燥肌への効果は、Visioscanの指標であるSESC (skin evaluation of scaliness)とSESM (skin evaluation of smoothness)を用いた客観評価とVASを用いた主観評価より確認した。血流調節機能への効果は、冷水負荷後の皮膚温回復率(RR)より評価した。その結果、CPPs配合飲料摂取群はCPPs無配合飲料摂取群と比べ、頬のSESCとSESMが有意に改善した。更に、初期RRが低値の被験者において、頬及び口元のSESCとSESM、VASを用いた「肌の滑らかさ」、RRが改善が認められた。これらの結果から、CPPsが鱗屑及び血流調節機能の改善に有用であることが示唆された。
抄録 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29225313
論文タイトル Coffee polyphenols extracted from green coffee beans improve skin properties and microcirculatory function.
掲載誌 Biosci Biotechnol Biochem. 2017 Sep; 81(9): 1814-1822.
著者名 Fukagawa S, Haramizu S, Sasaoka S, Yasuda Y, Tsujimura H, Murase T.
要旨 クロロゲン酸を含むコーヒーポリフェノール(CPP)の皮膚バリア機能、水分保持能および皮膚微小循環への作用を明らかとすることを目的に、ダブルブラインド、プラセボ-コントロール、ランダム化試験を実施した。軽度の乾燥肌を有する健常女性49名を2群に分け、コーヒー生豆より抽出したCPPを含む飲料(CPP:270mg/100mL)あるいはプラセボ飲料を1日1本8週間摂取させた。8週間のCPP摂取により、頬下部の皮膚で有意な鱗屑スコアの低下、皮膚バリア機能の指標である経皮水分蒸散量(transepidermal water loss; TEWL)の低下、角層水分量の上昇、表面pHの低下が認められた。さらに、CPP摂取群では角層中の乳酸および遊離脂肪酸が有意に増加した。血管応答性(温熱刺激時の血流変化)は、CPP摂取8週後、有意に向上し、特に摂取前の応答性が低いグループでは、CPP摂取により応答性の向上とともにTEWLの低下が認められた。本研究から、CPPの連続摂取は皮膚バリア機能および水分保持能を改善し、乾燥肌の改善に有効であることが明らかとなった。CPPによる角層中の遊離脂肪酸および乳酸の増加が、表皮pHを低下させるとともに、皮膚性状改善に寄与していると推察された。さらに、CPPは微小循環を改善させ、微小循環機能が低下しているヒトで、より有効性を示すことが明らかとなった。
抄録 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28675091
論文タイトル Impact of chlorogenic acids from coffee on urine metabolome in healthy human subjects
掲載誌 Food Research International 89(3), 1064-1070, 2016
著者名 Francisco Madrid-Gambin, Mar Garcia-Aloy, Rosa Vázquez-Fresno, Esteban Vegas-Lozano, M. Carmen Ruiz de Villa Jubany, Koichi Misawa, Tadashi Hase, Akira Shimotoyodome, Cristina Andres-Lacueva
要旨 プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)を用いて、コーヒーに含まれるクロロゲン酸類がヒトの尿中代謝物に及ぼす影響についてメタボローム解析を行った。男性被験者10名に対し、無作為化プラセボ対照比較試験を行った。クロロゲン酸類を豊富に含む(223mg/100ml)コーヒー飲料又は対照飲料を28日間摂取してもらい、試験初日と最終日に空腹時の尿を採取した。それぞれの尿サンプルに対し、1H-NMRを用いて尿中代謝物のノンターゲット分析を行った。試験の結果、クロロゲン酸類を単回摂取すると2-フロイルグリシン等が多く排泄され、継続摂取すると尿中にヒプリ酸などの微生物由来の化合物が増加した。さらに、単回及び継続摂取後の尿中にトリゴネリンが検出されたことから、トリゴネリンはコーヒー摂取のバイオマーカーとして有用であると考えられた。
抄録 https://doi.org/10.1016/j.foodres.2016.03.038
論文タイトル Coffee bean polyphenols ameliorate postprandial endothelial dysfunction in healthy male adults
掲載誌 Int J Food Sci Nutr 66(3), 350-354, 2015
著者名 Ochiai R, Sugiura Y, Otsuka K, Katsuragi Y, Hashiguchi T
要旨 クロロゲン酸類を主成分とするコーヒーポリフェノール(CPP)の食事摂取後の血管内皮機能に及ぼす効果を調べた。健常な成人男性13名にCPP飲料(クロロゲン酸600mg)若しくはプラセボ飲料(クロロゲン酸0mg)を飲用後、試験食(554kcal)を摂取させた。その後の上腕動脈のflow-mediated dilation (FMD)を経時的に測定するクロスオーバー試験を実施した。
その結果、CPP飲料摂取群は、プラセボ飲料群と比し試験食摂取後のFMD低下が有意に抑制された。さらに、CPP飲料摂取群は試験食摂取2時間後の血中の酸化窒素代謝物が有意に上昇し、6時間後の尿中の酸化ストレスマーカーが有意に減少した。以上の結果からクロロゲン酸飲料の摂取は、食後の血管内皮機能を改善することが示唆された。
抄録 https://doi.org/10.3109/09637486.2015.1007453
論文タイトル Coffee polyphenols improve peripheral endothelial function after glucose loading in healthy male
掲載誌 Nutr Res, 34(2), 155-159, 2014
著者名 Ochiai R, Sugiura Y, Shioya Y, Otsuka K, Katsuragi Y, Hashiguchi T
要旨 クロロゲン酸類を主成分とするコーヒーポリフェノール(CPP)の食後高血糖時の末梢血管内皮機能(RHI)に及ぼす効果を調べた。健康な成人男性15名にCPP飲料(クロロゲン酸600mg)若しくはプラセボ飲料(クロロゲン酸0mg)とグルコース75g(トレーランG)を一緒に摂取させるクロスオーバー試験を実施した。その結果、CPP飲料、プラセボ飲料共に血中のグルコースおよびインスリンは共に増加し両群で差は認められなかった。また、プラセボ飲料群はグルコースの摂取によりRHIが低下するのに対し、CPP飲料摂取群では、RHIが有意に上昇しプラセボ飲料群に対し有意な差が認められた。以上から、クロロゲン酸飲料の摂取は、食後高血糖時の末梢血管内皮機能を亢進させることが示唆された。
抄録 https://doi.org/10.1016/j.nutres.2013.11.001
論文タイトル Consumer health benefits of habitual consumption of chlorogenic acid-enriched coffee: a large single-arm study
掲載誌 Nutrafoods 13(3), 103-111, 2014
著者名 Kanae Watanabe, Tohru F. Yamaguchi, Tatsuya Kusaura, Hiroshi Hashimoto, Yuichi Iwano, Mitsuhiro Katashima, Yuji Furui
要旨 クロロゲン酸を強化したコーヒーの抗肥満機能は、いくつかの臨床試験で既に実証されているが、日常生活におけるコーヒーの有効性は不明である。この論文では、クロロゲン酸強化コーヒーの受け入れ性と、減量の有効性に関する大規模なシングルアーム試験について述べた。参加者は、クロロゲン酸強化コーヒーを毎日1缶摂取し、体重とコーヒーの摂取量をWebページ上に記録するよう勧められた。その結果、12週目の体重変化は、平均-1.06kg(95% 信頼区間:-0.96、-1.16)であり、体重の変化は有意な用量-反応関係を示した(p<0.001、n=1659)。従って、クロロゲン酸を強化したコーヒーを習慣的に摂取し、体重記録システムを使用することは、日常生活の中で減量するのに有効であった。コーヒーはあらゆる年齢層で日常的に飲用されており、この結果は潜在的に大きなインパクトがあることを示唆している。
抄録 https://doi.org/10.1007/s13749-014-0032-3
論文タイトル Stimulation of postprandial fat utilization in healthy humans by daily consumption of chlorogenic acids
掲載誌 Biosci Biotechnol Biochem 77(8), 1633-1636, 2013
著者名 Soga S, Ota N, Shimotoyodome A
要旨 コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)の摂取が、ヒトのエネルギー代謝に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。健常男性18名を対象とし、クロロゲン酸含有コーヒー飲料またはクロロゲン酸を含まないプラセボ飲料のいずれかを4週間摂取、食後安静時のエネルギー代謝を呼気分析法により解析した。その結果、クロロゲン酸含有コーヒー飲料摂取群は、プラセボ飲料摂取群に比べて食後のエネルギー消費量および脂質燃焼量が高かった。本結果より、クロロゲン酸の継続摂取は食後の脂質利用性を高めることが示された。
抄録 https://doi.org/10.1271/bbb.130147
論文タイトル Coffee polyphenols modulate whole-body substrate oxidation and suppress postprandial hyperglycaemia, hyperinsulinaemia and hyperlipidaemia
掲載誌 Br J Nutr 107(12), 1757-1765, 2012
著者名 Murase T, Yokoi Y, Misawa K, Ominami H, Suzuki Y, Shibuya Y, Hase T
要旨 クロロゲン酸類を主成分とするコーヒーポリフェノール製剤(CPP)投与が食後の炭水化物および脂質の代謝に及ぼす影響を8~9週齢C57BL/6J雄マウスで調べた。8時間絶食後CPPまたは水を投与後、脂質-炭水化物混合エマルジョンを投与し、間接熱量計で3時間測定した結果、エネルギー消費量(VO2)に差はなく、呼吸商はCPP群の方が有意に低かった。よってCPPは食後エネルギー分配を調節することが示唆された。さらにCPP群では食後の血糖値、血漿インスリン、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドおよびトリグリセリド濃度の上昇が抑制された。消化酵素阻害試験では、CPPはマルターゼ、スクラーゼ、すい臓リパーゼを濃度依存的に阻害し、これにより食後高血糖などが抑制されることがわかった。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22017960
論文タイトル コーヒー飲料の継続摂取による肥満者の内臓脂肪低減効果
掲載誌 Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療) 37(4), 333-344, 2009
著者名 長尾知紀, 落合龍史, 渡辺卓也, 片岡潔, 小御門雅典, 時光一郎, 土田隆
要旨 コーヒー飲料の内臓脂肪低減効果の有効性を検証するため、肥満者を対象にプラセボ飲料を対照とした12週間継続摂取による多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施した。試験飲料摂取期間中、被験者は本品(コーヒー飲料)またはプラセボ飲料のいずれかを1日1本摂取した。プラセボ飲料は、クロロゲン酸類を含まないコーヒー飲料とした。事前観察期間中に腹部脂肪面積の変化が少なかった被験者(本品摂取群53名、プラセボ摂取群56名)の内臓脂肪面積、皮下脂肪面積、ウエスト周囲長、体重等において、本品摂取群はプラセボ摂取群と比較して有意に減少していた。また、本品の関与成分クロロゲン酸類の摂取が原因と疑われる重篤な有害事象は認められなかった。以上の結果から、本品による内臓脂肪を含む体脂肪の低減効果と安全性が確認された。
抄録 http://www.lifescience.co.jp/yk/yk09/ykj0904.html
論文タイトル Effects of hydroxyhydroquinone-reduced coffee on vasoreactivity and blood pressure
掲載誌 Hypertens Res 32(11), 969-974, 2009
著者名 Ochiai R, Chikama A, Kataoka K, Tokimitsu I, Maekawa Y, Ohishi M, Rakugi H, Mikami H
要旨 近年の研究報告によるとコーヒー中のポリフェノールの主要な成分であるクロロゲン酸類が降圧効果を示すこと、コーヒー豆の焙煎により生じるヒドロキシヒドロキノン(HHQ)がコーヒー中のクロロゲン酸類の降圧効果を抑制することが示唆されている。本研究では軽度高血圧者においてHHQを低減させたコーヒーの血管反応性および降圧効果を二重盲検無作為化プラセボ対照試験により検討した。HHQを低減したクロロゲン酸類300mg含有するコーヒーを摂取したグループでは血管内皮依存性の血管拡張を改善し、さらに収縮期血圧を有意に低下させた。また、尿中イソプロスタン濃度を有意に低下させた。これらの結果は、HHQを低減しクロロゲン酸類を含有するコーヒーは軽度高血圧者に対する降圧効果を有することを示している。この降圧効果は血管内皮機能の改善と関連していると推察された。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19713967
論文タイトル Effects of Hydroxyhydroquinone-reduced Coffee on Blood Pressure in High-normotensives and Mild Hypertensives
掲載誌 J Health Sci 54(2), 162-173, 2008
著者名 Chikama A, Yamaguchi T, OchiaiI R, Kataoka K, Tokimitsu I
要旨 正常高値血圧並びに軽症高血圧の成人男女に対するダブルブラインドランダム化プラセボ対照試験により、コーヒー中のクロロゲン酸類の降圧効果とヒドロキシヒドロキノン(HHQ)が及ぼす影響について評価した。被験者をアクティブグループ(クロロゲン酸類を含むHHQ低減コーヒーを摂取)と対照グループ(HHQとクロロゲン酸類を含むコーヒーを摂取)にランダムに分けた。各被験者は、試験飲料を毎日1缶、12週間継続摂取した。その結果、摂取期間における収縮期血圧(SBP)が対照グループ(n=47)よりもアクティブグループ(n=51)で有意に低いことを示した。層別解析では降圧効果が正常高値血圧よりも軽症高血圧グループの方で高いことが示唆された。これら結果は、クロロゲン酸類を含むHHQ低減コーヒーが血圧改善のために有効であることを示唆する結果である。
抄録 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006649666
論文タイトル Hydroxyhydroquinone-free coffee: A double-blind, randomized controlled dose-response study of blood pressure
掲載誌 Nutr Metab Cardiovasc Dis 18(6), 408-414, 2008
著者名 Yamaguchi T, Chikama A, Mori K, Watanabe T, Shioya Y, Katsuragi Y, Tokimitsu I
要旨 本試験は軽症高血圧者183名を対象に、ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)を除去したコーヒーに含まれるクロロゲン酸類の血圧に対する用量-反応性を検証した。被験者は、HHQを除去した、1本(184mL)あたりのクロロゲン酸類0mg(Zero-dose群)、クロロゲン酸類82mg(Low-dose群)、クロロゲン酸類172mg(Middle-dose群)、クロロゲン酸類299mg(High-dose群)、あるいはクロロゲン酸類299mgかつHHQを除去していないコントロール群のいずれかを摂取する群(計5群)にランダムに割り付けられ、その後4週間、1日1本を継続摂取した。その結果、HHQを除去したクロロゲン酸類を含有するコーヒーの摂取は、クロロゲン酸類の用量依存的な降圧効果を示し、降圧効果の関与成分はクロロゲン酸類であることが明らかとなった。またクロロゲン酸類の摂取により、十分な降圧効果を示すためには、クロロゲン酸類濃度として、299mg/184mL程度かそれ以上であることが望ましいと考えられた。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17951035
論文タイトル Hydroxyhydroquinone-Reduced Milk Coffee Decreases Blood Pressure in Individuals with Mild Hypertension and High-Normal Blood Pressure
掲載誌 Prog Med 27(11), 2649-2664, 2007
著者名 Nagao T, Ochiai R, Katsuragi Y, Hayakawa Y, kataoka K, Komikado M, Tokimitsu I, Tsuchida T
要旨 軽症高血圧者及び正常高値血圧者を対象としてヒドロキシヒドロキノンを低減したクロロゲン酸類含有ミルクコーヒーの降圧効果を評価した。対象者を2群にわけて、プラセボ群(107名)とクロロゲン酸類含有ミルクコーヒー群(108名)とし、12週間継続摂取させ、降圧効果を評価した。軽症高血圧者の収縮期血圧の初期値に対する変化においては、摂取12週間後にプラセボ群が-2±1mmHgであったのに対して、クロロゲン酸類含有ミルクコーヒー群では-10±1mmHgと有意な降圧効果を示した。正常高値血圧者の収縮期血圧の初期値に対する変化においても、プラセボ群に対してクロロゲン酸類含有ミルクコーヒー群では、有意な降圧効果を示した。
論文タイトル 正常高値血圧者を対象としたヒドロキシヒドロキノン低減コーヒーの降圧効果
掲載誌 Prog Med 27(3), 683-694, 2007
著者名 山口亨, 千竃映郎, 稲葉三紗子, 落合龍史, 桂木能久, 時光一郎, 土田隆, 齊藤郁夫
要旨 ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)を低減し、クロロゲン酸類を含むコーヒーの継続摂取による正常高値血圧者への血圧改善効果を検証した。試験飲料は、一般のコーヒーから吸着処理によりHHQを低減し、容量184mL当たりクロロゲン酸類を300mgに調製したコーヒーをアクティブ飲料とし、クロロゲン酸類とHHQともに低減したコーヒーをプラセボ飲料とした。被験者は無作為に2群(アクティブ群、プラセボ群)に割り付け、アクティブ飲料またはプラセボ飲料のいずれかを1日1本(184mL)、12週間摂取した。124名が無作為割り付けされたが、ベースラインの血圧において、88名が正常高値血圧と判断された。よって、本被験者を主解析対象集団とした。ベースラインの血圧値を基準とした各測定時点への変化量で解析した結果、収縮期血圧は4wk以降の各測定時点において、アクティブ群はプラセボ群に対し有意な降圧効果(p<0.05)を示した。
論文タイトル The Blood Pressure-Lowering Effect and Safety of Chlorogenic Acid from Green Coffee Bean Extract in Essential Hypertension
掲載誌 Clin Exp Hypertens 28(5), 439-449, 2006
著者名 Watanabe T, Arai Y, Mitsui Y, Kusaura T, Okawa W, Kajihara Y, Saito I
要旨 軽症高血圧者を対象としてクロロゲン酸類として140mg配合飲料の12週間継続摂取による有効性・安全性を検討した。対象者を2群に分け、試験飲料摂取群とプラセボ飲料摂取群とした。試験飲料は、生コーヒー豆抽出物を配合したクロロゲン酸類を140mg含有する飲料(内容量125mL/本)とした。プラセボ飲料は、生コーヒー豆抽出物未配合飲料(他の成分等は試験飲料と同一)とした。試験群において摂取2週間後から血圧低下が見られ、摂取4~6週間後までに収縮期血圧で約8~10mmHg、拡張期血圧で約5~7mmHgの降圧が認められた。その後は、摂取を続けることにより降圧が維持され、摂取期間終了時(12週間後)まで持続した。摂取終了後には、穏やかな血圧値の上昇が認められた。また本試験の全被験者に対して安全性上問題となる結果は得られなかった。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16820341
論文タイトル Antihypertensive Effect of Green Coffee Bean Extract on Mildly Hypertensive Subjects
掲載誌 Hypertens Res 28(9), 711-718, 2005
著者名 Kozuma K, Tsuchiya S, Kohori J, Hase T, Tokimitsu I.
要旨 クロロゲン酸類を主成分とする生コーヒー豆抽出物(GCE)は自然発生高血圧ラットおよびヒトにおいて降圧効果を示す。多施設無作為二重盲検プラセボ対照平行群間比較試験により、GCEの用量相関性の関係を軽症高血圧者117人を対象に検討した。対象者を4群:プラセボ群、46mg群、93mg群および185mg群に群分けした。摂取28日後、プラセボ群、46mg群、93mg群および185mg群の収縮期血圧は、それぞれベースラインより-1.3±3.0、-3.2±4.6、-4.7±4.5および-5.6±4.2mmHg低下していた。以上の結果から、GCEは軽症高血圧者において血圧低下作用を示すことが示唆された。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16419643
論文タイトル Green Coffee Bean Extract Improves Human Vasoreactivity
掲載誌 Hypertens Res 27(10), 731-737, 2004
著者名 Ochiai R, Jokura H, Suzuki A, Tokimitsu I, Ohishi M, Komai N, Rakugi H, Ogihara T
要旨 クロロゲン酸類を主成分とする生コーヒー豆抽出物(GCE)による高血圧ラットを用いた評価で血管機能改善に基づく降圧効果が確認されている。そこで本評価では、健常男性20人を対象にして、GCEを含む飲料を摂取した試験群とプラセボ飲料を摂取した対照群との2群に分けた。これらの2群に対して、ストレインゲージプレチスモグラフィー(SPG)、脈波伝播速度(PWV)、血漿生化学パラメーター及び加速度脈波(APG)を測定した。GCE摂取群では1か月後から反応性充血比(RHR)が上昇し始め、3か月後と4か月後にはRHRはプラセボ群と比較して、有意に高かった。さらにGCE摂取群では4か月後に摂取前に比べ、血漿中の総血中システイン濃度が有意に減少していた。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15785008
論文タイトル Green Coffee Bean Extract and Its Metabolites Have a Hypotensive Effect in Spontaneously Hypertensive Rats
掲載誌 Hypertens Res 25(1), 99-107, 2002
著者名 Suzuki A, Kagawa D, Ochiai R, Tokimitsu I, Saito I
要旨 生コーヒー豆抽出物(GCE)の血圧に及ぼす影響に関して、自然発症高血圧ラット(SHR)を用いた検討を行った。その結果、単回摂取及び長期経口摂取試験においてSHRの血圧を改善した。GCEの主要成分であるクロロゲン酸類(5-カフェオイルキナ酸(5-CQA))の降圧作用をSHRを用いて検討した結果、単回経口摂取により著明な降圧作用が確認された。この結果、GCEで観察された降圧作用に5-CQAが関与する可能性が示唆された。さらにSHRに5-CQAを経口投与した結果、血漿中にカフェ酸とフェルラ酸の出現を確認した。さらに、これらを麻酔下のSHRに直接静脈内投与して、頚動脈圧変化を計測したところ、カフェ酸、フェルラ酸のうち、フェルラ酸に強い血圧降下作用を認めた。また、SHRにおいてアトロピンの前処理は、フェルラ酸の血圧低下作用を減弱させたことから、フェルラ酸の降圧作用はmuscarinic acetylcholine receptorを経由する可能性が示唆された。以上の結果より、GCE及びこれに含まれる5-CQAの経口摂取はSHRの血圧を低下させ、これらの経口摂取後に、血中に出現するフェルラ酸が降圧成分の一候補である可能性が示唆された。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11924733
論文タイトル 生コーヒー豆抽出物配合飲料のヒト血圧に及ぼす影響
掲載誌 医学と薬学 47(1), 67-74, 2002
著者名 齊藤郁夫, 土田隆, 渡辺卓也, 新井陽一, 三井友毅, 大川渡, 梶原泰
要旨 軽症及び中等症高血圧者を対象に、クロロゲン酸類を主成分とする生コーヒー豆抽出物の降圧作用確認試験(4週間摂取)を実施し、血圧への影響、安全性について検討を行った。対象者を4群に分け、試験飲料摂取群(3群)及びプラセボ飲料摂取群とした。試験飲料摂取群は生コーヒー豆抽出物をクロロゲン酸類として70mg、140mg、280mg配合した飲料をそれぞれ摂取させた。プラセボ飲料摂取群は、生コーヒー豆抽出物未配合飲料(他の成分等は試験飲料と同一)を摂取させた。事前観察期間(2週間)後に、各群1日1本4週間摂取し、摂取終了後、事後観察期間(2週間)を設けた。初期値に対して、試験飲料摂取群はいずれも有意な降圧が認められ、収縮期血圧/拡張期血圧が10-12mmHg/6-7mmHg低下し、摂取終了後緩やかに上昇した。初期値に対する摂取4週時の試験飲料摂取群のクロロゲン酸配合量別の血圧変化は、70mg、140mg、280mg群で、いずれも有意な降圧作用が認められた。プラセボ飲料摂取群に対する収縮期血圧の群間比較では、70mg、140mg、280mg群は、いずれも有意な(p<0.05、p<0.01、p<0.01)降圧作用が認められた。血圧値以外の安全性に関する項目を検討した結果、副作用と思われる結果は認められなかった。

2.クロロゲン酸類のメカニズムに関する論文

論文タイトル Coffee Polyphenol, Chlorogenic Acid, Suppresses Brain Aging and Its Effects Are Enhanced by Milk Fat Globule Membrane Components
掲載誌 Int J Mol Sci;23(10):5832.2022
著者名 Keiko Unno, Kyoko Taguchi, Tadashi Hase, Shinichi Meguro, Yoriyuki Nakamura
抄録 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35628642/
論文タイトル Reduction in hydroxyhydroquinone from coffee increases postprandial fat utilization in healthy humans: a randomized double-blind, cross-over trial
掲載誌 Biosci Biotechnol Biochem 81(7), 1433-1435, 2017
著者名 Soga S, Ota N, Shimotoyodome A
要旨 焙煎コーヒー飲料からのhydroxyhydroquinone(HHQ)除去が、ヒトのエネルギー代謝に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。健常男性10名を対象とし、HHQ含有コーヒー飲料またはHHQ除去コーヒー飲料のいずれかを1週間摂取、食後安静時のエネルギー代謝を呼気分析法により解析した。その結果、HHQ除去コーヒー飲料摂取群は、HHQ含有コーヒー飲料摂取群に比べて食後の脂質燃焼量が高かった。本結果より、コーヒー飲料からのHHQ除去が、食後の脂質利用性を高めることが示された。
抄録 https://doi.org/10.1080/09168451.2017.1301802
論文タイトル Coffee polyphenols exert hypocholesterolemic effects in zebrafish fed a high-cholesterol diet
掲載誌 Nutr Metab (Lond), 10(1), 61.2013
著者名 Meguro S, Hasumura T, Hase T
要旨 コーヒーポリフェノール(CPP)の血中及び肝臓中コレステロール濃度や血管コレステロール沈着への影響を、食餌性高コレステロール誘導ゼブラフィッシュを用いて検討した。CPPは、血中及び肝臓中コレステロール上昇を顕著に抑制し、その作用機序として肝臓でのコレステロールやVLDL合成抑制及びコレステロール異化促進等の関与が示唆された。また、CPPは動脈へのコレステロール沈着予防・改善作用を有する可能性も示唆された。以上から、食餌性高コレステロール誘導ゼブラフィッシュは、食品素材の応答性を検討できる有用な研究モデルであると考えられた。また、CPPは脂質異常症(高コレステロール血症)を予防・改善する作用や血管保護作用を有する可能性が示唆された。
抄録 https://doi.org/10.1186/1743-7075-10-61
論文タイトル Coffee polyphenols suppress diet-induced body fat accumulation by downregulating SREBP-1c and related molecules in C57BL/6J mice
掲載誌 Am J Physiol Endocrinol Metab 300, E122-E133, 2011
著者名 Murase T, Misawa K, Minegishi Y, Aoki M, Ominami H, Suzuki Y, Shibuya Y, Hase T
要旨 クロロゲン酸類を主成分とするコーヒーポリフェノール製剤(CPP)の継続摂取が肥満に与える影響、及びその機序を明らかにするため、食餌依存性肥満モデルマウス、及びHepa1-6細胞を用いて検討した。CPPを含む飼料を継続摂取した場合、高脂肪食摂取によるマウスの体重増加、体脂肪(内臓脂肪・肝臓脂肪)の蓄積が抑制された。また呼気分析の結果、CPPを継続摂取した場合、マウスのエネルギー消費量が増加した。さらに、CPPを継続摂取したマウスでは、肝臓や脂肪組織において転写因子SREBP-1cの発現や、その関連分子であるACC-1、及びACC-2の遺伝子発現が減少しており、肝臓ではACCの酵素活性や、その反応生成物であるマロニルCoAの量が少なかった。加えてHepa1-6細胞をCPP処理することにより、ACCの遺伝子発現や酵素活性、反応生成物マロニルCoA量が低減した。このことから、CPPは脂肪組織や、特に肝臓において、SREBP-1cやその関連分子であるACCを抑制することにより、脂質の消費を亢進、合成を抑制すると考えられ、このことがCPPの継続摂取により体脂肪の蓄積が低減する機序の1つと考察された。
抄録 http://ajpendo.physiology.org/content/300/1/E122.long
論文タイトル Consumption of Coffee Polyphenols Increases Fat Utilization in Humans
掲載誌 J Health Sci 56(6), 745-751, 2010
著者名 Ota N, Soga S, Murase T, Shimotoyodome A, Hase T
要旨 クロロゲン酸類(コーヒーポリフェノール)を含むコーヒー飲料の摂取が、ヒトのエネルギー代謝に与える影響について明らかにするため、健常成人男性7名に対して、プラセボ飲料を対照としたクロスオーバー比較試験を実施した。クロロゲン酸類を含む、又は含まないコーヒー飲料を1週間飲用し、食後の安静時、及び運動時のエネルギー代謝を呼気分析法により評価した。 その結果、クロロゲン酸類含有コーヒー飲料摂取時(1週間飲用後)では、クロロゲン酸類を含まないコーヒー飲料摂取時に比べて、安静時における酸素消費量と脂質燃焼量が高かった。また、運動時においては、酸素消費量と嫌気性代謝閾値が高かった。このことから、クロロゲン酸類含有コーヒー飲料の摂取により、ヒトのエネルギー消費、特に脂質燃焼が増加することが示され、このことが当該飲料の継続飲用により体脂肪が低減する機序の1つと考察された。
抄録 http://ci.nii.ac.jp/naid/130000425116
論文タイトル Hydroxyhydroquinone Interferes With the Chlorogenic Acid-induced Restoration of Endothelial Function in Spontaneously Hypertensive Rats
掲載誌 Am J Hypertens 21(1), 23-27, 2008
著者名 Suzuki A, Fujii A, Jokura H, Tokimitsu I, Hase T, Saito I
要旨 5-カフェオイルキナ酸(5-CQA)を8週間、自然発症高血圧ラット(SHR)に自由摂取させて血圧を測定した結果、血圧の上昇を有意に抑制した。8週間後に採取した尿において、一酸化窒素(NO)代謝物濃度が増加していた。8週間後の5-CQA摂取群の大動脈において、内皮依存性の血管拡張反応が有意に改善し、NADPH依存的な活性酸素の発生量が低下した。5-CQAとヒドロキシヒドロキノン(HHQ)を同時に摂取した群においては、5-CQAによる上記の改善作用がHHQによって阻害された。また、HHQ単独摂取は本試験系においては何ら影響を及ぼさなかった。以上の結果は、5-CQA摂取によって生体の酸化ストレスが低下し、NOの作用が改善したことにより、血管内皮機能の改善、さらには血圧の低下作用が引き起こされた可能性を示唆し、さらにこれらがHHQによって阻害されることを示唆している。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18091740
論文タイトル 高速液体クロマトグラフ法によるコーヒー中の微量ヒドロキシヒドロキノンの定量
掲載誌 分析化学 57(1), 23-30, 2008
著者名 小崎一, 直江綾乃, 辻村久, 草浦達也, 穂積耕樹, 近藤直樹, 増川克典
要旨 クロロゲン酸類の降圧効果を阻害する、コーヒー中の微量のヒドロキシヒドロキノン(HHQ)を定量するために、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を開発した。逆相でのHPLC/紫外検出(UVD)を用いたHHQの測定において、試料調製溶液及び移動相に0.1% wt リン酸 0.1 mmol/L 1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)5% メタノール溶液(v/v)(pH 2.1)を用いることにより、標準のHHQを試料調製後の時間依存的な変化なしに安定に測定することが可能となった。コーヒー試料にて安定に測定するためには、陽イオン交換型の固相抽出を用いた前処理が有効であった。HHQの高感度検出にはHPLC/電気化学検出(ECD)を確立した。これらHPLC/UVD及びHPLC/ECDにおいて、コーヒー中のHHQは共存成分の妨害を受けず、繰り返し分析の再現性や検量線の直線性は受け入れられるものであった。比較的高濃度のHHQを含む市販缶コーヒーにHPLC/UVDを適用したところ、6.03±0.31μg/gと定量され、添加回収率は99.0±2.5%であった。また、缶コーヒー中の微量HHQを分析したところ、0.28±0.01μg/gであり、回収率は101.2±0.3%であった。本法は、コーヒー中のHHQを精確に定量する上で有用である。
抄録 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006548902
論文タイトル Ferulic Acid Restores Endothelium-Dependent Vasodilation in Aortas of Spontaneously Hypertensive Rats
掲載誌 Am J Hypertens 20(5), 508-513, 2007
著者名 Suzuki A, Yamamoto M, Jokura H, Fujii A, Tokimitsu I, Hase T, Saito I
要旨 自然発生高血圧症ラット(SHR)の胸部大動脈標本を作成し、フェニレフリンを添加して収縮させた後、フェルラ酸を添加した。さらに、物理的に内皮を除去、あるいは一酸化窒素(NO)合成酵素阻害剤を前処理し、フェルラ酸による血管拡張反応への影響を調べた。また、フェルラ酸とヒドロキシヒドロキノン(HHQ)処理後のアセチルコリンによる内皮依存性血管拡張反応に及ぼす影響を調べた。その結果、フェニレフリン収縮大動脈リング標本において、フェルラ酸は濃度依存的に拡張反応を示した。この作用は、内皮除去あるいはNO合成酵素処理血管においては減少した。一方で、シクロオキシゲナーゼ阻害剤処理による影響を認めなかった。以上の結果は、フェルラ酸の血管拡張反応は内皮におけるNOを介する可能性を示唆した。また、HHQはフェルラ酸による内皮依存性の血管拡張反応を阻害し、スーパーオキシドディスムターゼ処理によって回復することが示された。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17485012
論文タイトル Ferulic Acidによる高血圧自然発症ラットの血管拡張反応
掲載誌 Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療) 35(2), 137-141, 2007
著者名 鈴木淳, 安田俊一, 山本征輝, 時光一郎, 長谷正, 齊藤郁夫
要旨 フェルラ酸(FA)による自然発症高血圧ラット(SHR)の血管反応性への影響を明らかにする目的で、SHRの摘出胸部大動脈標本を用い、血管反応性に及ぼすFAの影響を検討した。FAは、内皮保持標本のノルエピネフリン収縮に対して用量依存的な拡張反応を示した。一方、内皮の除去処理あるいはL-NAMEの前処理によって、FAによる血管拡張反応が有意に低下した。アセチルコリンによる内皮依存性の血管拡張反応に及ぼすFA処理の影響を検討したところ、FAはSHR大動脈の内皮依存性血管拡張反応を有意に増強させた。以上より、FAは血管内皮由来の一酸化窒素を介して血管を拡張させること、さらに生理的濃度のFAは内皮依存性血管拡張反応を増強することが示された。
抄録 http://www.lifescience.co.jp/yk/yk07/ykj0702.html
論文タイトル Liquid chromatography-electrospray ionization-tandem mass spectrometry for simultaneous analysis of chlorogenic acids and their metabolites in human plasma
掲載誌 J Chromatogr B 858, 96-105, 2007
著者名 Matsui Y, Nakamura S, Kondou N, Takasu Y, Ochiai R, Masukawa Y
要旨 ヒト血漿中のクロロゲン酸類(CGAs)9種、ならびにそれらの代謝産物2種、すなわちカフェ酸(CA)およびフェルラ酸(FA)を同時に分析するため、液体クロマトグラフィー-エレクトロスプレイイオン化-タンデム質量分析(LC-ESI-MS/MS)を用いる方法を開発した。定量分析において、各11分子に対し生成物イオン3種の内の1種を選択した。ブランクのヒト血漿中にスパイクした標準物質11種の分析に、同時LC-ESI-MS/MS MRM測定を適用し、その結果から、生成物イオンを干渉なしに検出できること、および本法の直線性および回収率は良好であることがわかった。クロロゲン酸を主成分とする生コーヒー豆抽出物(300mg CGAs)を含む飲料250mLを経口摂取した後、血漿中のこれらの分子11種の分析に本法を用い、11分子全てを同定し、またCQAs、FQAsおよびFAを定量することができた。本法は、ヒト高血圧の改善など、CGAsの生物学的および薬学的作用を理解するのに有効である。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17766198
論文タイトル Chlorogenic acid attenuates hypertension and improves endothelial function in spontaneously hypertensive rats
掲載誌 J Hypertens 24(6), 1065-1073, 2006
著者名 Suzuki A, Yamamoto N, Jokura H, Yamamoto M, Fujii A, Tokimitsu I, Saito I
要旨 5-カフェオイルキナ酸(5-CQA)を8週間、自然発生高血圧症ラット(SHR)に自由摂取させて血圧を測定した結果、血圧の上昇を有意に抑制した。8週間後に採取した尿において、酸化ストレスの指標である過酸化水素濃度が低下し、かつ一酸化窒素(NO)代謝物濃度が増加していた。8週間後の5-CQA摂取群の大動脈において、内皮依存性の血管拡張反応が有意に改善し、NADPH依存的な活性酸素の発生量が低下した。また、NOと活性酸素との反応によって生成するニトロチロシンの大動脈内皮への沈着量が減少した。さらに、大動脈の活性酸素産生酵素の遺伝子発現量が低下していた。以上の結果は、5-CQAによって生体の酸化ストレスが低下し、NOの作用が改善した結果、血管内皮機能の改善、さらには血圧の低下作用が引き起こされた可能性を示唆している。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16685206
論文タイトル Improvement of hypertension and vascular dysfunction by hydroxyhydroquinone-free coffee in a genetic model of hypertension
掲載誌 FEBS Letters 580(9), 2317-2322, 2006
著者名 Suzuki A, Fujii A, Yamamoto N, Yamamoto M, Ohminami H, Kameyama A, Shibuya Y, Nishizawa Y, Tokimitsu I, Saito I
要旨 クロロゲン酸類はコーヒー中に見られるポリフェノールで降圧作用を示す。しかし血圧へのコーヒーの効果に関する疫学的データは明確な結論が出されていない。クロロゲン酸類の降圧効果を阻害するコーヒー成分、またその成分以外のコーヒーの効果を示す生理的機構を調べた。その中の1つの成分であるヒドロキシヒドロキノン(HHQ)が自然発生高血圧症ラット(SHR)のクロロゲン酸類の降圧効果を阻害した。HHQ除去コーヒーによる降圧効果は一酸化窒素、NAD(P)HオキシダーゼのmRNA発現の抑制、及び大動脈内皮依存性血管拡張の改善と関連していた。よってHHQ除去コーヒーは、SHRの一酸化窒素のバイオアベイラビリティの改善により血管緊張を制御すると推察した。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16579992
論文タイトル コーヒーの経口摂取に伴ってヒト血漿に吸収されるクロロゲン酸類および代謝物の動態
掲載誌 Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療) 34(11), 1239-1246, 2006
著者名 中村俊, 松井祐司, 渡辺卓也, 近藤直樹, 増川克典
要旨 ヒトがコーヒー飲料(ブラック無糖コーヒー、加糖ミルクコーヒー)を摂取した時の、血中のクロロゲン酸類およびその代謝物を測定することにより、血中動態を調べた。ヒトに対してクロロゲン酸類を含有するヒドロキシヒドロキノン低減コーヒー(ブラック無糖コーヒー、加糖ミルクコーヒー)を経口摂取させ、30分、1、2、3、6時間後に採血して、血中のクロロゲン酸類およびその代謝物濃度をLC-MS/MSにて解析した。コーヒー飲料(ブラック無糖コーヒー)経口摂取時のヒトにおけるクロロゲン酸類およびその代謝物の血漿中濃度を測定した結果、クロロゲン酸類およびその代謝物が検出された。同様に加糖ミルクコーヒー飲料摂取時のクロロゲン酸類および代謝物の血漿中濃度を測定した結果、クロロゲン酸類とその代謝物が検出された。両飲料摂取時のクロロゲン酸類とその代謝物のAUC及び血中の存在割合に有意な差は認められなかった。
抄録 http://www.lifescience.co.jp/yk/yk06/ykj0611.html
論文タイトル Short- and Long-Term Effects of Ferulic Acid on Blood Pressure in Spontaneously Hypertensive Rats
掲載誌 Am J Hypertens 15(4 Pt 1), 351-357, 2002
著者名 Suzuki A, Kagawa D, Fujii A, Ochiai R, Tokimitsu I, Saito I
要旨 フェルラ酸による自然発症高血圧ラット(SHR)の血圧に対する影響を検討した。SHRにフェルラ酸を経口投与し、収縮期血圧を測定した結果、用量に依存した血圧低下作用が観察された。SHRに対してフェルラ酸50mg/kgを経口投与した結果、1時間後に最低値を示し、6時間後に初期値まで回復した。また、SHR血漿中のフェルラ酸濃度と尾動脈収縮期血圧の低下率には有意な相関を認め、吸収されたフェルラ酸が血圧低下に関与する可能性を示唆した。7週齢のSHRにフェルラ酸を10、50mg/kg/dayで6週間自由摂取させたところ、対照食に比較して、濃度依存的な血圧上昇抑制作用を観察した。麻酔下のSHRにフェルラ酸を静注し、頸動脈圧を観血的に測定したところ、SHRにおいて用量依存的な血圧降下作用を観察した。さらにSHRにおいて、静注したフェルラ酸(1mg/kg)による血圧低下作用に対するNG-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME; 3mg/kg)の前処理の影響を検討した結果、フェルラ酸の降圧作用が減弱した。以上の結果より、フェルラ酸の降圧作用に一酸化窒素(NO)が関与する可能性が示唆された。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11991222

3.クロロゲン酸類の安全性に関する論文

論文タイトル 内臓脂肪低減効果を有するコーヒーの過剰摂取時の安全性
掲載誌 Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療) 38(9), 825-832, 2010
著者名 千竈映郎, 長尾知紀, 渡辺卓也, 落合龍史, 片嶋充弘, 津田晴子
要旨 酸化成分を低減した缶コーヒー(クロロゲン酸類297mg/本)を毎日過剰摂取した場合の安全性を検証した。肥満度1度以下の健常成人男女35名を対象に、無作為割り付け二重盲検並行群間比較による1日摂取目安量の3倍量、4週間連続摂取試験を市販品相当の缶コーヒーを対照として実施した。理学的検査項目において、収縮期血圧で有意な変動が認められたが、それ以外は正常域の範囲内であった。血液検査項目において、一部の項目で有意な変動が認められたが、それらの変化は軽微な変化であった。副作用として両群ともに、軽微で一過性の消化器系、もしくは腎・泌尿器系に関する症状が認められたが、最終的に試験責任医師は、試験飲料の過剰摂取は対照飲料以上の安全上問題となる事象は認められなかったと評価した。
抄録 http://www.lifescience.co.jp/yk/yk10/ykj1009.html
論文タイトル Effects of Hydroxyhydroquinone-reduced Coffee in Patients with Essential Hypertension
掲載誌 J Health Sci 54(3), 302-309, 2008
著者名 Ochiai R, Nagao T, Katsuragi Y, Tokimitsu I, Funatsu K, Nakamura H
要旨 近年の研究報告によるとコーヒー中のポリフェノールの主要な成分であるクロロゲン酸類が降圧効果を示すこと、コーヒー豆の焙煎により生じるヒドロキシヒドロキノン(HHQ)がコーヒー中のクロロゲン酸類の降圧効果を抑制することが示唆されている。降圧剤を服用している本態性血圧患者がHHQ低減コーヒーを4週間継続摂取した場合の効果を調べた。血圧と脈拍数は週1回測定した。血液の生化学的及び血液学的検査を飲料摂取の前後に実施した。その結果、収縮期(SBP)及び拡張期血圧(DBP)に関しては、有意な変化は認められなかった。また両群ともに、飲料摂取期間に脈拍数及び体重の有意な変化は認められず、臨床的に問題となる結果は報告されなかった。これらの知見から、HHQを低減したコーヒークロロゲン酸類を含有するコーヒーを4週間摂取摂取した場合、本態性高血圧患者における降圧剤服用に影響しないと考えられた。
抄録 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006684378
論文タイトル 血圧改善ミルクコーヒーの過剰摂取時の安全性
掲載誌 Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療) 36(9), 825-833, 2008
著者名 播さや香, 千竃映郎, 渡辺卓也, 落合龍史, 片岡潔, 目黒真一, 時光一郎
要旨 血圧改善ミルクコーヒーを過剰摂取した場合の安全性を検討するため、高血圧治療ガイドライン2004の基準で、至適から正常血圧者、および正常高値から軽症高血圧者37名を対象に、無作為化割付単盲検並行群間比較による、1日摂取目安量の3倍量、4週間継続摂取試験を実施した。その結果、過剰量の被験飲料摂取または対照飲料摂取ににおいて下痢や胸やけなどの消化器症状が複数名にみられたが、症状は一過性の軽微なものであった。症状別の発症者数に群間差はなかった。また、血圧や血液検査項目などに臨床上問題となる所見は認められなかった。以上の結果から、血圧改善ミルクコーヒーは市販のミルクコーヒーと同様に安全な飲料であると考えられた。
抄録 http://www.lifescience.co.jp/yk/yk08/ykj0809.html
論文タイトル Effects of chlorogenic acids in hydroxyhydroquinone-reduced coffee on blood pressure and vascular endothelial function in humans
掲載誌 Prog Med 26(7), 1723-1736, 2006
著者名 Chikama A, Yamaguchi T, Watanabe T, Mori K, Katsuragi Y, Tokimitsu I, Kajimoto O, Kitakaze M
要旨 正常高値血圧者及び軽症高血圧者を対象としてクロロゲン酸類を含有し、ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)を除去したコーヒー(本品)の12週間摂取による有効性・安全性を検討した。本品摂取群の収縮期血圧(SBP)で、摂取4週間後から有意な降圧(SBP:初期値140.4mmHg、4週目135.5mmHg、8週目135.6mmHg、10週目135.9mmHg、12週目135.6mmHg)が認められ、プラセボ摂取群と比較して有意な群間差が認められた。血管内皮機能についても本品摂取群のFBFが569.7%から830.7%へ有意に上昇し、血管内皮機能の改善を示唆した。安全性に関しては、本品が原因と考えられる有害な副作用は、すべての対象者について認められなかった。また血圧値、その他の臨床検査値における個人の変動において、臨床上問題となる変化は認められなかった。
論文タイトル クロロゲン酸類を含有するヒドロキシヒドロキノン低減コーヒーにおける過剰摂取時の安全性
掲載誌 Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療) 34(11), 1231-1237, 2006
著者名 渡辺卓也, 塩屋靖, 小御門雅典, 時光一郎
要旨 降圧剤を服用していない正常高値血圧者及び、低リスク・中等リスク軽症高血圧者の男女12名を対象に、試験食品(クロロゲン酸類を含有するヒドロキシヒドロキノン低減コーヒー)を1日当たり3缶摂取する3倍量の過剰摂取試験を実施した。試験食品の摂取期間は、4週間とした。その結果、被験者の体調変化や自覚症状等に関する日誌及び試験期間中の血液学・血液生化学検査値に関して、臨床上問題となる結果は、認められなかった。以上のデータをもとに試験責任医師による判定を行った結果、「試験食品の過剰摂取により臨床上問題となる影響なし」との判定を得た。
抄録 http://www.lifescience.co.jp/yk/yk06/ykj0611.html

4.クロロゲン酸類に関する総説

論文タイトル クロロゲン酸類による血管内皮と体脂肪に対する効果
掲載誌 Medical Science Digest 39(3), 43-47, 2013
著者名 森建太, 長谷正, 桂木能久
論文タイトル 茶カテキンの持久力向上作用及びコーヒーポリフェノールの抗肥満作用
掲載誌 日本ポリフェノール学会雑誌 1(2), 19-25, 2012
著者名 村瀬孝利
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