クロロゲン酸類の血圧改善効果

自然発症高血圧ラットの血圧低下効果

クロロゲン酸類(コーヒーポリフェノール)の単回摂取による血圧低下効果を動物試験で検証しました。自然発症高血圧ラット(SHR)を、生理食塩水のみの「コントロール群」、クロロゲン酸類が豊富に含まれ、かつ酸化成分であるヒドロキシヒドロキノン(HHQ)も含まれる「焙煎コーヒー豆抽出液群」、クロロゲン酸類が豊富でHHQを含まない「生コーヒー豆抽出液群」に分けて、収縮期血圧を測定しました。
その結果、「コントロール群」と比べて「生コーヒー豆抽出液群」では著しい収縮期血圧の低下効果が観察されました。しかし、生コーヒー豆抽出液と同等のクロロゲン酸類を摂取したにもかかわらず、「焙煎コーヒー豆抽出液群」の血圧低下効果はほとんど認められませんでした*1 (図1)。

図1 ラットの血圧に対するクロロゲン酸の単回摂取効果を示す折れ線グラフ。生コーヒー豆抽出液群では収縮期血圧の低下効果が観察された。一方で、同等のクロロゲン酸を含む焙煎コーヒー豆抽出液群では血圧低下効果はほとんど認められなかった。

図1 収縮期血圧の変化率

また、焙煎コーヒー豆抽出液からHHQの除去処理を行った「HHQフリー焙煎コーヒー群」には血圧低下効果が観察されましたが、HHQを添加することにより、血圧低下効果は有意に抑制されました(図2)。このことからクロロゲン酸類には血圧低下効果はあるものの、焙煎によるHHQの生成によって血圧低下効果が阻害されることが示唆されました*1

図2 ラットの血圧に対するクロロゲン酸、および、酸化成分ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)の影響を評価した棒グラフ。焙煎コーヒー豆抽出液からHHQを除去したHHQフリー焙煎コーヒー群では血圧低下効果が観察されたが、HHQ添加によりその効果は有意に抑制された。

図2 摂取12時間後の収縮期血圧変化率(HHQの影響)

ヒトに対する血圧低下作用

正常高値以上の血圧(収縮期血圧130-159mmHg、拡張期血圧85-99mmHg)の男女の被験者100名に対して各試験飲料を毎日1本(184mL)12週間継続飲用してもらい、血圧の測定を行いました。1本あたりクロロゲン酸類0mg、HHQ 0.02mgの飲料を摂取する群をコントロール群(51名)、1本当たりクロロゲン酸類299mg、HHQ 0.05mgを含む飲料を摂取する群をクロロゲン酸群(49名)としました。
その結果、12週間の継続飲用によりクロロゲン酸群はコントロール群に比べて有意に血圧が低下することが明らかになりました*2 (図3)。

図3 ヒトの血圧に対するクロロゲン酸類の影響を示した折れ線グラフ。クロロゲン酸類を含まない飲料を摂取したコントロール群に比べ、クロロゲン酸を含む飲料を摂取したクロロゲン酸類群では、12週間の継続飲用により有意に血圧が低下した。

図3 試験飲料摂取期間中の血圧変化

引用文献

  • * 1 Suzuki A et al., FEBS Letters, 580, 2317-2322, 2006
  • * 2 Chikama A et al., Prog Med, 26, 1723-1736, 2006
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