ジアシルグリセロール油の安全性の評価は、国内では特定保健用食品申請時に食品安全委員会が行っていますが、海外においても安全性の評価が行われており、それらを紹介いたします。
モノアシルグリセロールおよびジアシルグリセロールは、JECFA*1 (The Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives)およびFASEB*2 (Federation of American Societies for Experimental Biology)により、実際的な供与量において安全であると結論されています。
米国の食品安全性に関する審査制度で、食品またはその原料を販売する場合には、GRAS(Generally Recognized as Safe:一般に安全と認められる食品)であることが望ましいとされています。ジアシルグリセロール油は脂質栄養学、毒物学の研究者らによる科学的な評価により安全であることが認められ、FDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)により、GRAS(一般に安全と認められる食品)リストに登録されました*3,4 。
表1 GRAS
GRAS (米国FDA) |
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2000年 GRAS Notice No. GRN 000056として登録 |
2003年 GRAS Notice No. GRN 000115として登録 |
EFSA(European Food Safety Authority:欧州食品安全機関)は、2006年、「ジアシルグリセロール油はヒトの摂取において安全である」と結論し、Novel Food として、食用油等への使用を許可しました。
米国以外に、カナダ、EU、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランド、台湾に、ジアシルグリセロールのクッキングオイル等への食品使用を申請し、既に各国専門家による安全性と有効性についての審議を経て、30カ国以上で使用を認められています。
表2 世界各国での状況
国名 | 対象制度 | 使用用途 | 申請日 | 承認日 |
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アメリカ | GRAS | 食用油、マーガリン/スプレッド(DAG oil:0.38g/kg 体重/day) | 2000/8/11 | 2000/12/4 |
GRAS | 用途拡大:食用油、マーガリン/スプレッド、ドレッシング、マヨネーズ、ベーカリー製品、ピザ、朝食スナック/パワーバー、スープ/グレイビー、ミール リプレイスメント、冷凍食品(DAG oil:0.5g/kg 体重/day) | 2002/8/19 | 2003/2/24 | |
カナダ | Novel Food | 焼成食品、ピザ、油脂類(食用油、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング)、健康バー、ミールリプレイスメント、冷凍食品、スープ、スープミックス/グレイビー | 2002/10/29 | 2004/9/10 |
オーストラリア/ニュージーランド | Novel Food | 食用油、マーガリン、ドレッシング、マヨネーズ、焼成食品(バン、ケーキ、ペストリー、クッキー、クロワッサン、ビスケット、ピザ)、健康バー、ミール リプレイスメント | 2003/6/6 | 2004/10/6 |
EU | Novel Food | 食用油、マーガリン/スプレッド、ドレッシング/マヨネーズ、ベーカリー製品、健康バー、健康ドリンク(ミール リプレイスメント)、ヨーグルト | 2002/9/2 | 2006/10/23 |
ブラジル | Novel Food | 食品素材:マーガリン/スプレッド、ドレッシング、マヨネーズ、ベーカリー製品、ピザ、朝食スナック/パワーバー、スープ/グレイビー、ミール リプレイスメント、冷凍食品 | 2003/1/13 | 2004/11/29 |
DAG:ジアシルグリセロール