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「帯状疱疹と帯状疱疹ワクチンについて」

50歳以上の方は帯状疱疹予防のためのワクチン接種ができるようになりました

 帯状疱疹は、水痘(みずぼうそう)の原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって起こる皮膚疾患です。水痘が治った後も、ウイルスは主に脊髄後根神経節(三叉神経節を含む知覚神経節)に潜伏しており、加齢や免疫の低下などによってウイルスが再活性化することで、帯状疱疹を発症します。症状としては、水疱が皮膚に分布している神経に沿って帯状に出現し、痛みやかゆみを伴います。身体の右側または左側どちらか一方に症状が出るのが特徴です。通常は2〜4週間程度で皮膚症状が治りますが、皮膚症状が治った後も長期間痛みが残る帯状疱疹後神経痛(Postherpetic Neuralgia:PHN)になる可能性があります。
 国立感染症研究所による帯状疱疹大規模疫学調査「宮崎スタディ」によると、1997年から2017年の21年間で、帯状疱疹の発症数・発症率ともに増加傾向にあることがわかっています(図1)。

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 また「宮崎スタディ」では、50代から急激に増加し、発症数のピークは男女とも60代で、発症率のピークは女性が70代、男性は80代であることも報告されています。また、加齢とともにPHNになりやすいこともわかっていますので、高齢者は後遺症への注意が必要です。
 帯状疱疹の予防方法としては、バランスのとれた食事、適度な運動と十分な睡眠といった健康的な生活習慣を心がけることが重要です。加齢や疲労、ストレスなどによる免疫力の低下が発症の原因となることもありますので、心身を健やかに保ちましょう。さらに、2016年から、50歳以上の方は帯状疱疹予防のためのワクチン接種ができるようになりました。帯状疱疹ワクチンは、厚生労働省によって使用が認められているものの、予防接種法に基づき公費負担される「定期接種」ではなく、個人の希望と医師の判断によって接種する「任意接種」に位置付けられており、多くの自治体が接種費用を一部助成しています。ワクチンには「ビケン」「シングリックス」の2種類があり(表1)、効果や接種回数、費用などが異なります。

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