花王は、事業が自然資本に依存していることを認識し、持続可能な天然資源の調達に取り組んでいます。特に、界面活性剤の主要原料となるパーム油をはじめ、包装材料やおむつに使用される紙・パルプは、花王にとって最も重要な天然資源と位置づけています。
花王は、持続可能な調達のため原産地の森林破壊ゼロを支持し、すべての森林リスクコモディティのサプライヤーとそのグループ企業*1 に対し、森林リスクコモディティを含むサプライチェーンにおけるNDPE*2 方針の採用を義務とし、その遵守徹底の確認を進めるとともに、サプライチェーンに関わるすべての人の人権を尊重し、労働者および先住民と地域コミュニティの権利を尊重し、自由意思による、事前の、十分な情報に基づいた同意(FPIC)の確認を要求します。また花王のサプライチェーンにおける人権擁護者に対する暴力や不当告発、脅迫などを容認しません。未遵守サプライヤーに対し、花王社内の手順(プロトコル)に従い、取引中止も視野に入れ適切に対応します。
花王は、持続可能なパーム油調達に向けてNDPEを支持し、油脂サプライヤーならびにグループ企業に対し、森林リスクコモディティを含むサプライチェーンにおけるNDPE方針、HCSA*3 の考え方の採用を義務とし、その遵守徹底の確認を進めています。またNDPE方針とHCSA、開発のための火入れ禁止、FPIC(Free Prior Informed Consent)を遵守するサプライヤーからの購入を優先し、未遵守サプライヤーに対し取引中止も視野に入れた改善要求と改善状況の確認を行ないます。
また、2025年に向けて、RSPO*4 認証油の使用拡大、およびパームサプライヤー、NGO/NPOと協働で農園までのトレーサビリティ完了をめざしています。
一方、インドネシアの独立小規模パーム農園(推定200万農園)は、パーム栽培技術も低く、収穫量も少ないため、経済的にも厳しい状況に置かれています。花王はこのような、パーム油サプライチェーンをハイリスクサプライチェーンと位置づけ、2020年よりインドネシア独立小規模パーム農園に対して現地パートナー*5 と協働で、課題の本質解決に向けた直接支援活動(トレーニングプログラム)を開始いたしました。(SMILE Project*6 )
この活動では、2030年までに約5,000農園を対象に、生産性向上(目標収率2倍)に向けた技術指導、RSPO認証取得に向けた教育(RSPO基本理念、安全教育、収量管理方法)を行ないます。仮にすべてのインドネシア独立小規模パーム農園のパーム生産性が2倍になった場合、ボルネオ島に現存するパーム農園と同等面積(約400万ヘクタール)に相当する新たな森林伐採を抑制する効果が期待できます。
さらに2022年より、人権問題への迅速な対応手段として、独立小規模パーム農園を対象にしたGrievance Mechanism*7 を導入します。Grievance Mechanismとは、現場(農園)の課題(苦情)をNPOと共に確認・調査し、解決に向けた対応を花王が主体的に行ない、フォローアップするまでの取り組みです。また森林破壊モニタリングの一環として、花王のサプライチェーンにおける森林フットプリントの2023年実施に向け準備を進めています。
このように、花王は現場(農園)での対話を起点に、サステナビリティ向上に向けて、本質課題解決への活動を強化してまいります。そして、その活動内容を社外のステークホルダー(NGO等)に発信し、対話を通してさらなる改善につなげていきたいと考えています。
製造会社の所在地 | 原料 | 包装材料 | 最終製品 | 委託 | 合計*4 | 購入額比率 |
日本リージョン*1 | 537 | 222 | 215 | 37 | 822 | 48% |
アジアリージョン*2 | 681 | 265 | 71 | 15 | 974 | 34% |
EMEAリージョン*3 | 441 | 37 | 40 | 6 | 490 | 11% |
アメリカリージョン | 288 | 22 | 13 | 2 | 315 | 8% |
合計 | 1,947 | 546 | 339 | 60 | 2,601 | 100% |