ハイリスクサプライチェーンからの調達

花王は、事業が自然資本に依存していることを認識し、持続可能な天然資源の調達に取り組みます。
特に、界面活性剤の主要原料となるパーム油をはじめ、包装材料やおむつに使用される紙・パルプは、花王にとって最も重要な天然資源と位置づけています。(参考:花王 | 環境に配慮した植物原料の利用 (kao.com))本紙は、そのパーム油、紙・パルプの調達に関する行動指針を規定し、本質的課題解決に向けたアプローチを記載しています。

対象

パーム油:花王グループで使用するパーム油、パーム核油、およびそれらの誘導体
紙・パルプ:花王グループの製品に使用する紙・パルプ、および包装材料

行動指針

  1. 花王は、NDPE*1 を支持し、2025年までの森林破壊ゼロ達成をめざします。
    サプライヤーならびにそのグループ企業*2 に対してNDPEの遵守徹底を求め、以下の項目を遵守するサプライヤーより調達します。また、推進状況を定期的に確認し、必要に応じてサプライヤーに対して第三者監査(SMETA監査)の実施をします。違反がある場合には、改善指導やお取引の中止など適切な対応をします。
    • パーム油に関しては、RSPOの「原則と基準*3 」に合致している。また、紙・パルプに関しては、FSC 等の「原則と基準*4 」に合致している。
    • 生物多様性および、保護価値の高い(HCV)森林、炭素貯蔵量の多い(HCS)森林、泥炭湿地を保全する。
    • サプライチェーンに関わる全ての人の人権尊重(参考:花王人権方針 (kao.com))。労働者及び先住民と地域コミュニティの権利(土地の権利を含む)を尊重し、自由意思による、事前の、十分な情報に基づいた同意(FPIC)を担保している。
    • サプライチェーンにおける人権擁護者に対する暴力や不当告発、脅迫などを容認しない(ビジネスと人権に関する指導原則に基づく)。
  2. 花王は、効果的なモニタリング、デュー・ディリジェンスの手法の一つとして、サプライヤー、農園、NGO/NPO、および第三者機関などと協働し、原産地の森林破壊ゼロの確認、産地までのトレーサビリティの確保に取り組みます。
  3. 花王は、サプライヤー、農園、NGO/NPO、および第三者機関など、さまざまなステークホルダーと連携し、現場における対話を通じたリスク把握を行ない、課題の本質を見極めて、解決に向けた活動に取り組みます。
  4. 花王は、原材料の使用量の削減や、非可食バイオマス由来原材料等への転換に取り組みます。

パーム油調達の取り組み

  1. パーム農園までのトレーサビリティ確保:
    2025年までに小規模パーム農園までのトレーサビリティ100% 完了をめざす。
  2. RSPO 認証油への切り替え: 2025年までに花王グループで使用するパーム油をRSPO 認証油に100% 切り替えをめざす。
  3. 現場での直接支援(トレーニングプログラムの実施):
    2021年~2030年インドネシア独立小規模パーム農園支援を実施。
  4. Grievance Mechanism*5 の導入:
    インドネシア独立小規模パーム農園に対して、Grievance Mechanismを導入し、内容ならびに対応状況を公表。
  5. 森林モニタリングの実施:
    パーム油ミルおよび周辺の森林モニタリングの実施。森林フットプリント*6 の導入。
  6. 業界団体などさまざまなステークホルダーとの協働:
    業界団体などさまざまなステークホルダーとの直接対話を通じた現場の課題認識・認証品の普及活動を実施。

パーム油サプライチェーンの課題の本質解決に向けた重点活動の図:先ずリスク把握・改善に向けて2025年までに農園までのトレーサビリティ100%完了および花王で使用するパーム油をRSPO認証油に100%切り替えを目指す。次に課題の本質解決に向けて、2021年から2030年に小規模農園支援(SMILE Project)を実施し、2022年から小規模農園支援農家を対象にGrievance Mechanismを導入予定。

花王と小規模パーム農園との対話、花王とステークホルダー(NGO・株主・投資家・お客様等)との対話の関係図:農園との対話においては、油脂サプライヤーを介して改善要求と支援を実施し、Grievance Mechanismより農園の課題を把握する。一方、ステークホルダーとの対話においては、社会からの要請を把握すると共に、農家との対話で明らかとなった課題や改善活動を発信する。この二つの対話は花王を介して8の字にリンクする。

紙・パルプ調達の取り組み

  1. 森林までのトレーサビリティ確保:
    森林までのトレーサビリティ100% の継続実施。
  2. FSC 等の第3者認証品への切り替え:
    2025年までに花王製品に使用する紙・パルプを100%認証品に切り替えをめざす。
  3. サプライヤーなどさまざまなステークホルダーとの協働:
    サプライヤーなどさまざまなステークホルダーとの直接対話を通じた現場の課題認識・認証品の普及活動を実施。

運用

  • 本紙は、社会状況の変化や新たな知見に応じて、購買担当役員承認の上、改訂をいたします。
  • 目標に対する進捗を検証し、WEBや毎年発行するサステナビリティレポートにて報告いたします。
  1. *1
    NDPE:No-Deforestation, No-Peat, and No-Exploitationを意味する。AFiの定義に従い、Deforestationは①自然林の農業又は森林以外の土地利用への転換 ②自然林の植林地への転換 ③深刻かつ継続的な劣化による自然林の消失を指す
    Definitions | Accountability Framework
  2. *2
    グループ企業:グループ企業(Corporate group)の定義はthe Accountability Framework initiativeによる
    Definitions | Accountability Framework
  3. *3
    RSPO原則と基準:Principles and Criteria for the production of the sustainable palm oil
    RSPO - Roundtable on Sustainable Palm Oil
  4. *4
    FSC原則と基準:FSC Principles And Criteria For Forest Stewardship
    About us | fsc.org
  5. *6
    森林フットプリント:パーム油や紙パルプ、木材など森林を破壊する恐れのある産品(森林リスクコモディティ)が影響を及ぼす森林と泥炭地の総面積

2024年9月25日
花王株式会社
執行役員
仲本 直史

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