花王は、持続可能なパーム油調達に向けて、油脂サプライヤーならびにグループ企業に対してNDPE方針*1 、HCSA*2 の考え方の遵守徹底と確認を進めています。また、2025年に向けて、RSPO*3 認証油の使用拡大、およびパームサプライヤー、NGOと協働で小規模農園までのトレーサビリティ完了をめざしています。
一方、インドネシアの独立小規模農園(推定200万農園)は、パーム栽培技術も低く、収穫量も少ないため、経済的にも厳しい状況に置かれています。花王はこのような、パーム油サプライチェーンをハイリスクサプライチェーンと位置づけ、2021年よりインドネシア独立小規模パーム農園に対してパートナー*4 と協働で、課題の本質解決に向けた直接支援活動(トレーニングプログラム)を開始いたしました。(SMILE Project*5 )
この活動では、2030年までに約5,000農家を対象に、教育専門チームが生産性向上(目標収率2倍)に向けた技術指導、RSPO取得に向けた教育(RSPO基本理念、安全教育、収量管理方法)を行ないます。仮にすべてのインドネシア独立小規模農園のパーム生産性が2倍になった場合、ボルネオ島に現存するパーム農園と同等面積(約400万ヘクタール)に相当する新たな森林伐採を抑制する効果が期待できます。
さらに2022年より、人権問題への迅速な対応手段として、独立小規模農園にGrievance Mechanism*6 導入に向けた準備を進めています。Grievance Mechanismとは、現場(農園)の課題(苦情)をNGOと共に確認・調査し、解決に向けた対応を主体的に行ない、フォローアップするまでの取り組みです。
このように、花王は現場(農園)での対話を起点に、サステナビリティ向上に向けて、本質課題解決への活動を強化してまいります。そして、その活動内容を社外のステークホルダー(NGO等)に発信し、対話を通してさらなる改善につなげていきたいと考えています。
持続可能なパーム油調達への取り組み
小規模パーム農園支援活動の全体像
花王では、SBTi*1 「1.5℃目標」に合わせ、2019年に設定したESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」の「脱炭素」の中長期目標である「スコープ1+2 CO2排出量(絶対量)を2030年までに22%削減(基準年2017年)」に向けて活動を進めてまいりました。購買部門では、脱炭素への取り組みを加速し、自家消費用太陽光発電設備の導入と、購入電力の再生可能エネルギー化を推進した結果、グローバル全拠点の温室効果ガス排出量を2030年までに55%削減(2017年比)と目標を大幅に見直すことができました。
購入電力については、2023年までに日本の全拠点、また2025年までにグローバル全体ですべての再生可能エネルギーに切り替えるため、自家消費太陽光発電導入、再生エネルギー導入最適化(再エネ電力証書、電力会社の再エネメニュー、PPA*2 など)を進めます。
さらに、アジア拠点へのバイオマスボイラーの導入、各生産拠点のコジェネ発電設備の最適化によりCO2削減を進めます。
製造会社の所在地 | 原料 | 包装材料 | 最終製品 | 委託 | 合計*4 | 購入額比率 |
日本リージョン*1 | 543 | 223 | 227 | 40 | 835 | 55% |
アジアリージョン*2 | 660 | 265 | 70 | 13 | 951 | 29% |
EMEAリージョン*3 | 441 | 36 | 40 | 6 | 490 | 10% |
アメリカリージョン | 273 | 22 | 14 | 3 | 298 | 6% |
合計 | 1,917 | 546 | 351 | 62 | 2,574 | 100% |