新型コロナウイルスの環境除染方法

「接触感染経路のリスク制御に向けた新型ウイルス除染機序の科学的基盤」の情報をもとに、環境表面に付着したコロナウイルスがもたらす接触感染リスクについて、世界中の科学的知見をまとめています。

感染症対策の3原則は、①感染者への対策 ②感染源への対策 ③感染経路への対策、とされています(厚生労働省感染対策の基礎知識; Spicknall et al., 2020)。しかし、新型ウイルスによる感染症が発生した場合、多くの人間は新型ウイルスに対する免疫を持っておらず、またワクチンや特効薬も存在しないため、感染拡大を抑えるには、③感染経路への対策こそが重要です。そこでリスクガバナンスの観点から、③感染経路への対策に焦点をあて、有効な手段を体系化するためシステマティックレビューにより既存知見を網羅的に統合しました。調査対象は、SARS-CoV-2とヒトに感染する既存コロナウイルスを主とし、補足情報として同様の感染経路を示すインフルエンザウイルスの情報を参照しました。③感染経路の対策を考える科学的基盤として、(a)感染経路 (b)ウイルスの構造と不活性化機序 (c)ウイルスを不活性化する化合物、の各知見を体系化しました。これらの知見は、with新型コロナの時代に人々が社会生活を維持し生活を営むために、③感染経路の対策を駆使して、職場、公共空間、日常生活環境をリスクマネジメントする上で必要不可欠な科学的基盤となると考えています。

Reference

  • 横畑綾治,石田悠記,西尾正也,山本哲司,森卓也,鈴木不律,蓮見基充,岡野哲也,森本拓也,藤井健吉(2020)接触感染経路のリスク制御に向けた新型ウイルス除染機序の科学的基盤~コロナウイルス,インフルエンザウイルスを不活性化する化学物質群のシステマティックレビュー~ ,リスク学研究 30(1): 1–24
  • 厚生労働省,感染対策の基礎知識, https://www.mhlw.go.jp/content/000501121.pdf(アクセス日:2020年5月28日)
  • Spicknall, I. H., Koopman, J. S., Nicas, M., Pujol, J. M., Li, S., and Eisenberg, J. N. S. (2010) Informing optimal environmental influenza interventions: How the host, agent, and environment alter dominant routes of transmission, PLoS Computational Biology 28(6). DOI: 10.1371/journal.pcbi.1000969
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