女性活躍推進の取り組み

最も多くの人財に関わるダイバーシティ要素として、女性の活躍は花王の成長に不可欠という考えのもと「すべての社員が思い込み*1 を超えて、個人の意欲と能力が十分に発揮され、性別によらず自分らしく活躍できる職場環境の整備と風土醸成」という方針を掲げ、女性活躍推進活動を進めています。女性管理職比率と女性社員比率に差のある日本においては、さまざまな意思決定の場に多様な視点が入ることをめざし、3つの重点アクション「リーダーをめざす、担える人財の育成」「意欲高く働くための育児両立支援」「バイアスのない育成や登用を実現する環境創り」に取り組んでいます。

  • * 1 性別役割分業意識、リーダー像など

リーダーをめざす、担える人財の育成

女性リーダー研修(日本花王グループ)

リーダーとしてのスキル向上、及び視野を広げ、視座を高める機会として外部団体主催の女性リーダー研修への派遣を行っています。2023年から、育児中社員も参加しやすい短期型研修、部長職層・経営層候補を対象とした女性研修への派遣を開始し、派遣対象と人数を拡大することで各階層の女性社員の戦略的育成につなげています。参加者からは、「自分の行動指針ができた」「異業種とのネットワーキングにより視野が広がった」などの反響があったと共に、職場からも参加者のよい変化に関する評価を得ています(2016年以降計62名派遣、うち31名登用)。

キャリCafé(Women’s Career Café)(花王(株))

女性社員が前向きに「リーダーになりたい」と思える気づきを得て、自分らしいリーダー像について考えると共に、共感し合える仲間をつくることをねらいとして実施している元女性役員と課長職候補者との少人数座談会「キャリCafé」において、2023年は過去参加者を対象としたアルムナイを実施しました。当日はリアルで集まり、キャリCafé参加時からの変化や新たな悩みを共有し、一人ひとりが今後のワンアクションを宣言しました。参加者からは、「自分を振り返り、周囲から刺激とヒントを得ることができた。実践につなげたい」「部門を超えて近い立場の仲間と知り合えるよい機会となった」などの声が寄せられ、女性社員のキャリア意識の定着と行動変容につながっています(参加者の100%が満足、キャリアへの前向きな意識の変化あり)。

女性リーダーキャリアパネルディスカッション(日本花王グループ)

キャリCaféにおいて得られた当事者の声から、女性社員自身が男女の役割やリーダー像に関するアンコンシャスバイアスを抱え、それが自信のなさや遠慮につながり、前向きなキャリアイメージを持ちにくいという課題が明らかになりました。そこで、日本花王グループ女性社員全体のキャリア意識の底上げをめざし、職種の異なる3名のグループ内女性リーダーを招き、キャリアへの考えや、両立の工夫、リーダーを担うことの面白さなどについて語るパネルディスカッションを開催しました。「仕事と育児のどちらも諦めなくていいと気づき、そのために何ができるか考えたい」「多様なリーダーがいていい、それが組織の強みになると感じた。周囲や自身との対話から自分の強みを考えたい」など、参加者に高い満足度と意識の変化をもたらしました(録画配信含め1,300回以上視聴、参加者の93%が満足、73%が前向きな意識の変化あり)。

女性マネージャー異業種勉強会(花王(株))

女性活躍を進めたい異業種の企業と共に、自主的に企画・運営している勉強会に参画しています。2023年は計25名の女性社員が、他企業のロールモデルとなる女性の講演や同じ階層の女性との意見交換に参加し、管理職としての意欲向上や異業種ネットワークの構築につながりました。

女性向け公募型セミナーへの費用補助(日本花王グループ)

部長職・課長職層として、より活躍するために必要なスキル・マインドの向上に向け、自ら学ぶことを後押しするしくみとして、女性向け公募型セミナーへの費用補助を開始しました。「自身のマインドやキャリア形成、チームづくりに実践できる学びがいくつもあった」など、意欲ある女性社員の成長につながっています(対象セミナー2回、計40名参加)。

多様性推進プロジェクト(花王グループカスタマーマーケティング㈱(KCMK)グループ)

同質化された組織風土から、多様性・柔軟性・公平性を備えた上で変化に対応し創造性を発揮できる変革型の組織風土への転換をめざし、2021年より選抜型の多様性推進プロジェクトを実施しています。女性を中心とした参加メンバーに対し、自身の成長につながるさまざまな場を提供することで高い視座、経営視点の形成を図り、「KCMKグループ変革の先駆者・先導者」としての“チャレンジ”実践を促すと共に次世代を牽引する人財として育成しています。その成果として、2023年1月にKCMK3名、花王ビューティブランズカウンセリング(株)1名の女性執行役員が選任され、次に続く社員の新たなロールモデルとなっています。

Kao Network of Women (Kao Now)(Americas*2

Kao Nowは、すべての女性社員のエンゲージメントを高め支援するコミュニティとして活動しています。2023年は、国際女性デー、女性の歴史月間、女性の平等の日などに連動したさまざまなイベントを開催しました。女性の平等の日には、外部スピーカーを招き、女性の可能性を最大限に発揮することを妨げる思考や、それらの思考に対するためのいくつかの実用的な戦略について議論しました。

  • * 2 Americas:コンシューマー向け製品に関連するアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのグループ会社

バイアスのない育成や登用を実現する環境創り

ダイバーシティマネジメント教育(日本花王グループ)

管理職が多様なメンバーに対し、バイアスなく育成や登用を進めるためには、一人ひとりと対話し、本人の考えを汲み取りながらマネジメントすることが重要です。そのための重要な要素として、管理職が心理的安全性やアンコンシャスバイアスに関する理解を深める活動を進めています。

国際女性デー連動企画(日本花王グループ)

女性活躍推進に関する社員の理解促進を目的に、3月の国際女性デーに合わせて、DE&Iポータル内で特設ページを開設しました。花王グループの女性活躍推進の考え方や啓発動画、社員へのインタビュー記事、職場での好事例など、女性活躍推進に関するこれまでの取り組みをまとめて公開しました。「女性活躍推進が女性だけのメリットではなく、男性を含めたすべての人の活躍を応援する活動であると理解した」「いつか女性活躍という言葉が必要なくなることを願ってというメッセージが響いた」など多くの反響が寄せられました。

Gender Pay Indicators

女性活躍のひとつの指標であるGender Pay Gap*3 は花王グループグローバルで86.3%(管理職103.4%、非管理職99.4%)となっています。花王では、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないため、この差は、特に日本において給与が高くなる傾向にある勤続年数の長い社員における男性比率が高いこと、また、給与の高い職群の社員における男性比率が高いことによるものと考えています。そのため、Gender Pay Gap解消の方針として、女性活躍推進の取り組みにより、女性社員の定着をさらに向上させると共に、管理職や上級管理職、役員の女性比率を女性社員比率に対して適正に上げることを実行していきます。

  • * 3 基本給+その他現金インセンティブ年間平均額の男性に対する女性の比率
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