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高濃度茶カテキンを長期摂取したときの体脂肪量に及ぼす影響について検討しました。日本肥満学会の基準で「普通体重~肥満 (1度):BMI18.5~30」に当たる男女80名を対象に、高濃度茶カテキン飲料 (1本当たりの茶カテキン量:588mg/340ml) を摂取する群と市販緑茶相当の茶カテキンを含む飲料 (1本当たりの茶カテキン量:126mg/340ml) を摂取する群 (コントロール群) の2群に分け、食生活および運動量を日常生活そのままに維持した状態で、1日1本、12週間継続摂取したときの体脂肪量の変化を比較検討しました (試験は、ダブルブラインドの並行試験で行いました)。 その結果、飲用前の値からの変化量で2群を比較したところ、高濃度茶カテキン飲料 (茶カテキン588mg/340ml) を摂取した群は、コントロール群 (茶カテキン126mg/340ml) と比較して、 (1) 腹部CT画像から求められる ・腹部内臓脂肪面積で約9.0cm2 ・腹部全脂肪面積で約24.5cm2 (2) BMIで約0.5kg/m2 (3) 体重で約1.3kg の減少が観察されました。 (土田隆ら, Prog.Med., 22, 2189-2203, 2002) ※ 高濃度茶カテキン群では、71.8%の人に体重が0.5kg以上の減少が認められました。残りは、体重が0.5kg以内の減少、もしくは微増でした。高濃度茶カテキンを継続的に摂取することによる体脂肪低減効果には、食事や運動などの個人の生活スタイルや遺伝的な要因に起因する個人差があります。 この体重減少量から計算すると、高濃度茶カテキン588mg/340mlを飲用することによる、1日当たりのエネルギー消費量の増加は約100kcalと計算されます。これは約10~15分のジョギングで消費されるエネルギーに相当し、米飯では茶碗半杯~1杯弱のカロリーに相当します。
体内での脂質代謝の変化について、肥満モデル動物を用いた実験を行いました。高濃度茶カテキン摂取時、肝臓での脂肪燃焼酵素(β酸化関連酵素:ACO*1 、MCAD*2 )の遺伝子発現量が40%近く増加していること、さらに脂質のβ酸化活性が約3倍に上昇していることが報告されました。 (Murase T. et al., Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord., 26, 1459-1464, 2002) この結果は、高濃度茶カテキンを摂取することにより、肝臓での脂質代謝が活発になり、結果として脂質の燃焼によるエネルギー消費の増加が起こっていることを示唆しています。 *1 ACO : acyl-CoA oxidase (ペルオキシソームβ酸化酵素の1つ) *2 MCAD : medium-chain acyl-CoA dehydrogenase(ミトコンドリアβ酸化酵素の1つ) 以上のことから、高濃度の茶カテキンは、エネルギー消費量を増加させることにより、体脂肪を低減する効果が発現しているものと推察されます。
普段の食生活および日常生活をそのままに維持した状態で、高濃度の茶カテキンを飲料 (1本あたり茶カテキン量588mg/340ml) の形態で、1日1本、12週間飲み続けた時、腹部脂肪、BMI、体重が統計的に有意に減少することを観察しています。 (土田隆ら, Prog.Med., 22, 2189-2203, 2002)
茶カテキンを投与して行ったこれまでのヒト臨床試験の結果では、BMI 25-30kg/m2の被験者において有意に認められ、BMI 18.5-25kg/m2の被験者においては低いものでした。 (Hase T. et al., J.Oleo Sci., 50, 599-605, 2001)
(1)長い食経験 茶カテキンは緑茶に含まれる成分の一つです。緑茶は、世界で最も長い歴史のある飲み物の一つであり、わが国でも1000年以上の非常に長い飲用経験があります。 現在の日本人は、緑茶を日常的に飲んでおり、静岡、埼玉などの緑茶生産地では、1日に10杯以上を飲む方がいると報告されています(茶カテキン換算1000~1500mg)。疫学研究において、家庭で入れたお茶や市販されている茶飲料の摂取により、健康への悪影響が生じないことが報告されています。 (2)茶カテキンの安全性試験 茶抽出物に関する安全性評価試験として、これまで数多くの試験(反復投与毒性試験、変異原性試験、発がん性試験、ヒト長期摂取試験など)が行なわれており、いずれの試験においても安全性上問題ないことが報告されています。 (3)茶カテキン含有飲料の安全性(とくに肝機能との関係) 花王の茶カテキン含有飲料は、厚生労働省(現在は消費者庁へ移管)の評価を受けて特定保健用食品の許可を得たものです。2003年の販売開始以来、10年以上にわたり販売しており、その飲用による肝機能への障害性は認められていません。 また、反復投与毒性試験等の動物を用いた安全性試験に問題がないこと、および医師により監修された種々のヒト臨床研究において、肝機能を含む検査項目に悪影響が無いことを確認しています。 茶カテキンの安全性についての詳しい説明はこちらです。
必ず医師とよくご相談の上、その指示に従って下さい。