乳脂肪球皮膜(MFGM; Milk Fat Globule Membrane)は、牛乳に含まれる成分です。牛乳に含まれる脂質の大部分は、平均直径約4μmの微小な油滴の状態で水相に分散しています(図-1)*1 。この球状の粒子を乳脂肪球と呼びます。乳脂肪球は、脂質と水相の仕切りの役割をする界面層である乳脂肪球皮膜によって安定に保持されています*2 。牛乳に含まれるMFGMの量は、牛乳100gあたり約200mgとわずかです。
図-1 牛乳中のMFGMの模式図
MFGMには、スフィンゴイド塩基を有するスフィンゴ脂質であるスフィンゴミエリンが含まれています。スフィンゴミエリンは、図2に構造例を示すように、アルキル鎖の鎖長の異なる化合物群です*3 。スフィンゴミエリンは、神経細胞の軸索を覆うミエリン鞘を構成していることでも知られています。花王では、スフィンゴミエリンの持つ様々な機能に着目して研究をしています。
図-2 スフィンゴミエリンの構造例
Rはアルキル鎖を示す。