茶カテキンの安全性

ふだん何気なく飲んでいるお茶は、私たち日本人にとって大変身近で、1000年以上も昔から愛飲され続けてきた、世界で最も長い歴史を持つ飲み物の一つです。
お茶に含まれる成分には、茶カテキン類、カフェインなどの苦味・渋味成分、テアニンなどのアミノ酸類の甘味・旨味成分などがあります。中でも、茶カテキン類は緑茶に多く含まれます。お茶に含まれる成分は、茶葉の種類、製茶法、抽出法などの違いにより、その成分割合が異なります。
茶カテキン類を豊富に含む茶および茶抽出物について、花王だけでなく外部研究機関において、安全性や有効性に関する研究が報告されています。その主な報告の概要を以下にまとめました。

茶および茶抽出物の安全性に関する報告

  • 緑茶は、世界で最も長い歴史のある飲み物の一つであり、わが国でも1000年以上の非常に長い飲用経験があります。
  • 現在の日本人は、緑茶を日常的に飲んでおり、静岡、埼玉などの緑茶生産地では、1日に10杯以上を飲む方がいると報告されています(茶カテキン換算1000~1500mg)*1~4
  • 疫学研究において、家庭でいれたお茶や市販されている茶飲料の摂取により、健康への悪影響が生じないことが報告されています*5~8
  • 茶抽出物に関する安全性評価試験として、これまで数多くの試験(反復投与毒性試験、変異原性試験、発がん性試験、ヒト長期摂取試験など)が行われており、いずれの試験においても安全性上問題ないことが報告されています*9~16
  • 茶抽出物は、米国において、FDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)により、GRAS(一般に安全と認められる食品)リストに登録されています*17
  • 花王の茶カテキン含有飲料は、2003年に厚生労働省(現在は消費者庁へ移管)の評価を受けて特定保健用食品として表示を許可されました。1日の摂取目安量あたりの茶カテキン量は540mgです。

花王の茶カテキン含有飲料に用いられている茶抽出物の安全性に関する報告

  • 花王の飲料に用いられている茶抽出物は、急須でお茶をいれるのと同様に、茶葉からお湯を用いて抽出したものです。
  • 花王の飲料の1日当たりの摂取目安量は1本です。1本に含まれる茶カテキン量540mgは、緑茶10杯に相当する1000~1500mgを下回っており、食経験の範囲内です。
  • 茶抽出物の安全性評価試験および関連試験として、花王および外部専門機関において、変異原性試験、反復投与毒性試験が実施され、いずれの試験においても、実質的に問題のないことが確認されています。

① 遺伝毒性試験:
細菌、培養細胞あるいは動物を用いて、茶抽出物が、がんの発生の原因となる遺伝子の損傷を引き起こす可能性があるか否かを確認する目的で行った試験。
【試験結果】実質的に問題となる遺伝毒性は認められなかった*18
② 反復投与毒性試験:
動物を用いて、茶抽出物を毎日摂取した場合の全身的な影響を確認する目的で行った試験。
【ラット経口28日試験結果】投与量2000mg/kg(体重60kgの人で120gに相当)まで全身的な影響は認められなかった*19
【ラット経口6か月試験結果】投与量400mg/kg(体重60㎏の人で24gに相当)まで全身的な影響は認められなかった*20 
③ 催奇形性試験:
動物を用いて、妊娠中の女性が茶抽出物を摂取した場合に、生まれてくる子供(胎児)に有害影響が現れる可能性があるか否かを確認する目的で行った試験。
【試験結果】胎児への有害影響は認められなかった*21

  • これまでに実施されたヒト試験において、被験者の血液および身体上の検査において問題は認められないことが確認されています(表1)。
  • 花王の茶系飲料を、より高用量(茶カテキンとして900~2700mg)で1週間、1か月間、3か月間摂取する過剰摂取試験においても、安全性上問題ないことが医師により確認されています。

表1 ヒト試験 一覧

引用文献番号 被験者概要 摂取期間 1日当たりの
茶カテキン摂取量
文献22 成人男性 : 12名 12週間 483 mg
文献23 成人男性 : 9名 20週間 583 mg
文献23 成人男性 : 10名 12週間 555 mg
文献23 成人男性 : 8名 12週間 902 mg
文献24 成人女性 : 19名 8週間 562 mg
文献25 成人男女 : 39名 (男性20名、女性19名) 12週間 588 mg
文献26 成人男性 : 25名 12週間 845 mg
文献26 成人男性 : 71名 12週間 570 mg
文献27 成人男性 : 10名 12週間 570 mg
文献28 成人男性 : 17名 12週間 690 mg
文献29 成人男性 : 7名 2か月 570 mg
文献30 成人男性 : 6名 12週間 593 mg
文献31 成人男女 : 107名 (男性54名、女性53名) 12週間 540 mg
文献32 成人男女 : 123名 (男性72名、女性51名) 12週間 583 mg

茶カテキン含有飲料の安全性(とくに肝機能との関係)

緑茶は、世界で最も長い歴史のある飲み物の一つであり、わが国でも1000年以上の非常に長い飲用経験があります。現在の日本人は、緑茶を日常的に飲んでおり、静岡、埼玉などの緑茶生産地では、1日に10杯以上を飲む方がいると報告されています(茶カテキン換算1000~1500mg)*1~4
花王の飲料に用いている茶カテキンは、急須でお茶をいれるのと同様に茶葉からお湯を用いて抽出したものであり、1日当たりの摂取目安量である1本中の含有量540mgでは上記の摂取量1000~1500mgを下回っており、食経験の範囲内です。

疫学研究において、家庭でいれたお茶や市販されている茶飲料の摂取により、健康への悪影響が生じないことが確認されていることから、緑茶やその飲料は安全であると考えられます*5~8
しかし、近年、海外において、茶抽出物を含むサプリメントによる健康影響が疑われる事例や、茶カテキンを大量に投与した動物実験での肝機能への影響がいくつか報告されています。以下にそれらの内容と、花王の茶カテキン含有飲料の安全性についてご説明します。

茶抽出物を含むサプリメントが肝機能に影響を及ぼすとされる報告
2003年にフランス、スペインにおいて、茶抽出物を含む医薬品を摂取し、肝機能障害が生じた事例が報告されました。フランス当局は、「抽出方法(水アルコール抽出)の特殊性から本製品のみに関した特別な問題である」との見解を示しています。
また、2007年にカナダ保健省は、茶抽出物を含むサプリメントを摂取した方のうち、肝機能障害が生じた事例を報告しました*33 。他にもいくつかの類似した報告がありますが、いずれの報告も、肝機能障害と茶カテキンとの因果関係は明らかになっていません。

茶カテキンは、動物を用いた安全性試験のほとんどで肝機能への影響を含めた安全性上の問題がないことが報告されています*10,12,34 。大量に投与された試験の一部で肝機能に影響が認められたとする報告がありますが、その投与量は、一般的にヒトが緑茶を飲用して摂取する場合と比べて60倍以上と大きくかけ離れた用量です*35,36

茶カテキン含有飲料の肝機能への安全性
花王の茶カテキン含有飲料は、厚生労働省の評価を受けて特定保健用食品の許可を得たものです。2003年の販売開始以来、10年以上にわたり販売しており、その飲用による肝機能への障害性は認められていません。
また、反復投与毒性試験等の動物を用いた安全性試験に問題がないこと*18~21 、および医師により監修された種々のヒト試験(上記表1)において、肝機能を含む検査項目に悪影響がないことを確認しています。

以上のことから、花王の茶カテキン含有飲料の肝機能への安全性は、緑茶などの長い摂取経験と数多くの安全性試験によって確認されています。

引用文献

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