泡研究の最前線

界面化学・物理化学

泡は、「しっかり洗えている感覚」を与えることができるため、洗浄を快適に行うためになくてはならないものとなっています。一方で、すすぎ時においては、排水口に残らずパッと泡消えすることが求められます。

花王では、心地よい泡を自在かつ効率的につくる・消す技術の開発や、泡の新しい可能性の探究に取り組んでいます。そのために界面活性剤の分子構造や界面物性などの化学的な視点に加えて、泡全体を構造体としてとらえた物理的な視点を組み合わせ、泡の本質理解をめざしています。
このような本質研究の中で、きめ細かい泡がつぶれることなく自発的に油を吸い込む現象を発見しました*1 。この現象は、単純な毛細管現象ではなく、気泡が密に詰まった多角形の泡(動画左 気相率>84%)が、その気液界面の歪みを解消しようとするために生じる吸引圧に由来するもので*2 、これまでの常識を大きくくつがえしました。

本技術に加え、化学的・物理的両面から得られた泡立ちや泡感触の知見は、洗顔料やシャンプーなどの全身洗浄剤や食器用洗剤などに応用しています。
これからも、花王は、生活者の日々の洗浄を快適にするために、泡を自在にデザインする研究を続けていきます。

  • * 1 Sonoda, J. et al., (2014). Liquid Oil That Flows in Spaces of Aqueous Foam without Defoaming, The Journal of Physical Chemistry B, 118(31), 9438-9444.
  • * 2 Kusaka, A. et al., (2018). Dynamics of Liquid Oil that Flows Inside Aqueous Wet Foam, The Journal of Physical Chemistry B, 122(42), 9786-9791.

油を吸う泡

次の動画には音声がありません。動画の映像情報を書き起こしたテキストを用意しています。

動画のテキスト版はこちら

・この動画は気相率84%以上の泡と、84%以下の泡が油に接触した際の様子を比較しております。
・左は気相率84%以上の泡です。油との接触前の泡の形は密に詰まった多角形であり、泡が油を吸い込むことでこの歪みを解消しています。
・右は気相率84%以下の泡です。油との接触前にも泡は歪んでおらず、泡に油は吸い込まれません。

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