界面化学・生物化学
自然環境・気象が地球規模で劇的に変化する中で、持続可能な食糧安全保障を考えていくことが急務となっています。花王は食糧の安定生産・増産技術の構築をめざしています。
花王では、食糧生産に欠かせない農薬の効果を最大化して、使用量を大幅に削減することが可能な補助剤(アジュバント)の開発を進めています。農薬液滴が疎水性界面の植物葉を濡らして被覆するためには、液滴の表面張力を低下させる必要がありますが、従来の界面活性剤ではその効果に限界がありました。
花王では、液体の表面張力を下げるだけではなく、疎水固体表面に効果的に作用する基剤の探索を行い、液体と固体との界面張力を大幅に低下させる画期的な技術を開発しました。この技術により、高いぬれ性を発現する機能性アジュバントの実用化に成功しました(図1)。
図1:機能性アジュバントのぬれ性と機能発現メカニズム
本技術に「蒸発抑制技術」並びに「ドリフト(飛散)抑制技術」を新たに開発して複合化することで、次世代農業の省力化に寄与するドローン用アジュバントの開発も行っています(図2)。
図2:機能性アジュバントの特性を応用したドローンのドリフト(飛散)抑制技術
今後、土壌改良剤、海洋養殖飼料など多角的な観点から界面制御技術を駆使した製品開発に取り組み、食糧安全保障への貢献を通して、持続可能な食の未来を支えていきます。
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この動画は、植物の葉に滴下した際のぬれ性を比較しています(標準速度)。
左図は水のみを使用した液体で、ぬれ広がりません。右図は花王の機能性展着剤を添加した液体で、すばやくぬれ広がる様子を示しています。
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この動画は、高さ2m、横風3mの条件下で散布した際の様子を示しています。
左図は水のみを使用した液体で風に飛ばされやすく(ドリフトしやすい)、右図は花王の機能性展着剤を添加した液体で風に飛ばされにくい(ドリフト抑制される)ことがわかります。