セルロース誘導体の進化

高分子

植物由来のセルロースは、資源を枯渇させない(化石燃料ではない)、使用時の二酸化炭素を増加させない観点から注目されています。花王では、セルロースを用いた新しい原料(セルロース誘導体)の開発とその製造技術開発を行っています。近年開発したセルロース誘導体『AC-HEC』と『C-HPC』は、使いやすさや高機能性を付与するもので、花王の製品にとって重要な原料となっています。

『AC-HEC』は衣類洗剤の原料として用いられます。従来の界面活性剤による汚れを「落とす」に加えて、「落としやすくする」機能を洗剤に付与できるようになりました(動画)。

『C-HPC』はシャンプーの原料に用いられます。泡を安定化させ、泡の量を増やす効果に加えて、シャンプー中のオイル成分を毛髪上に均一に広げ、髪をまとまりやすくする効果もあります。

製造工程においては、使用エネルギーや原料を低減することで、二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいます。特に、『C-HPC』の製造では、反応性の乏しいセルロースから均質な誘導体を製造するため、水素結合を物理力で切断する非晶化技術を導入しました。さらに、反応剤の拡散と反応速度を踏まえた条件を設定することで、溶媒や反応剤を大幅に低減しました。

花王では、化学と工学の両面から生産技術開発を行うことにより、製品の機能・性能向上と環境負荷低減を図っています。

反応性の乏しいセルロースは、機械力により粉末・非晶化し、C-HPCを製造する

『C-HPC』 製造技術 粉末・非晶化

花王 AC-HEC技術

次の動画には音声がありません。動画の映像情報を書き起こしたテキストを用意しています。

動画のテキスト版はこちら

この動画は、未処理布とAC-HEC処理布に油汚れを塗布したのち、その後の洗浄時の汚れの様子を比較しています。
左の未処理布(AC-HECなし)では、汚れに変化はない。
右の新技術処理布(AC-HECあり)では、油汚れが布から落ちていく。

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