泡研究の最前線

界面科学

泡は、様々な洗浄場面において、使用者に「心地よさ」や「しっかり洗えている感覚」を与えます。泡が立たない、すぐ消えてしまう場合には、「洗いにくい」、「洗えている実感がわかない」など、使用者のストレスに繋がることもあり、泡は日々の洗浄を快適に行うために重要な役割を果たしています。一方で、すすぎ場面においては、排水口に残らずパッと泡消えすることが求められます。
花王では、快適な泡を自在かつ効率的につくる・消す技術の開発や、泡の新しい可能性の探究に取り組んでいます。泡というと化学的な研究がイメージされがちですが、このような視点に加えて、泡全体を構造体としてとらえた物理的な視点を組み合わせ、幅広い視点から研究することによって、泡の本質理解を目指しています。
このような研究の中で、きめ細かい泡がつぶれることなく自発的に油を吸い込む現象を発見*1 。この現象は、単純な毛細管現象ではなく、気泡が密に詰まった多角形の泡(図1. (c)(d))が、その気液界面の歪みを解消しようとするために生じる吸引圧に由来することを見出しました*2 。この現象の発見は、これまでの常識を大きく覆すものです。
その他、化学的・物理的両面から泡立ちや泡感触の本質解明に取り組んでおり、得られた知見は洗顔料やシャンプーなどの全身洗浄剤や食器用洗剤などに応用しています。

  • * 1 The Journal of Physical Chemistry B, 118, 9438 (2014)
  • * 2 The Journal of Physical Chemistry B, 122, 9786 (2018)

図1.泡を油(橙色に着色)に接触させたときの様子

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