サステナブル界面活性剤バイオIOSの開発

油脂科学

花王は、界面活性剤の開発においても、人々の永続的な豊かな生活の実現を目指し、研究を進めています。現在主に使用されているC12~C14(炭素鎖長12~14)といった界面活性剤は、総植物油脂原料のうちわずか5%の原料からつくられており、将来的な供給が課題とされています。一方、C16~C18のような界面活性剤は、アブラヤシの実から食用のパーム油を採取後に残った部分である固体性油脂を原料とすることが可能です。これを利用できれば、他用途との競合性が低く、界面活性剤の安定的な供給が見込めます。
しかし、C16~C18のような長いアルキル鎖を有する界面活性剤は水に溶けにくく、界面活性剤として使いづらいというのがこれまでの常識でした。そこで花王は、長鎖アルキル鎖を有する界面活性剤の分子構造の物性に与える影響について検討を重ね、親水基を内部に位置する界面活性剤「バイオIOS」を開発しました。一般的な界面活性剤は親水基を疎水基の末端に有するのに対して、バイオIOSは、親水基を内部に位置する特徴的な構造を持ち、これに由来した高い水溶性と高い洗浄性能を発揮します。

界面活性剤の分子構造モデル一般的な界面活性剤(左側) バイオIOS(右側)

このように開発したバイオIOSは、既に工場での大量生産、安定供給を実現し、衣料用濃縮液体洗剤『アタック ZERO(ゼロ)』として実用化されています。バイオIOSは、サステナブルな界面活性剤として、人々の豊かな生活に貢献し続けることが期待されます。

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