サステナブル界面活性剤の開発

使うときの環境への影響を少しでも減らそうと考えて、
製品開発を進めています。

洗浄力と環境負荷低減を両立した界面活性剤を開発

花王は、長年にわたり、アブラヤシの実から工業用高級アルコールを生産してきており、その生産規模は世界最大級です。これをグローバルな産業界に向けて供給しているほか、花王グループのさまざまな家庭用製品の原料としても使っています。新たな液体濃縮洗剤の主原料である、新規界面活性剤「バイオIOS」は、この製造工程で生まれる、これまでは活用が難しかった炭素数の多い高級アルコール(C16、C18)に、独自の技術で新たな価値を加えたものです。

アブラヤシの実

これまで用途の限られていた原料を、洗剤の新たな主原料にできたことは、世界的に今後の人口増に伴う洗浄剤不足などが懸念される中で、将来に向けて、新たな可能性の道を拓いたと言えます。
この「サステナブル界面活性剤バイオIOSの開発」により、公益社団法人新化学技術推進協会の第20回(2020年度)グリーン・サステイナブルケミストリー賞「経済産業大臣賞」を受賞しています。

画期的な洗浄基剤が実現した、すぐれた洗浄力と節水性能

かつて、衣類の素材は木綿が中心で、汚れは皮脂や泥などのシンプルなものでした。ところが、ここ数年、さまざまな機能をもつ合成繊維が誕生し、汚れも複雑化してきました。一方で、ライフスタイルの変化によって、衣類のまとめ洗いやドラム式洗濯機が増えてきたことで、少量の水で多量の衣類を詰め込んで洗うという状況が、洗濯において日常化してきています。これにより、洗剤の機能が十分に発揮できず、汚れが衣類に蓄積してしまうという課題が出てきました。

洗浄力と環境負荷低減の両立をめざした研究

こうした課題に対して、新濃縮液体洗剤「アタックZERO」の界面活性剤である「バイオIOS」は、大きな効果を発揮します。それは、特長ある分子構造によって、油汚れになじみやすく、水にも溶けやすいという、相反する効果を持つため、落ちにくい汚れも臭いも落とし、しかも「すすぎ1回」で、これまで以上に洗剤残りがない状態にすることができるからです。さらに、すすぎが2回必要な従来型液体洗剤と比較した場合、ライフサイクル*全体のCO2排出量で32%も削減することができたのです。

  • * ライフサイクル……原料調達から製造、輸送、廃棄にいたる、製品に関わる工程と各家庭で洗濯をする際の電力、水に関わる工程のすべて

バイオIOSの分子構造モデル

花王は、日常の家事における、洗浄力と環境負荷低減の両立をめざして、これからも研究に取り組んでまいります。

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