インフルエンザ罹患と内臓脂肪面積との関連が最近研究されています。Kinoshitaら*1 は、横断研究のデータを用いて、日本人成人の内臓脂肪面積(VFA)とインフルエンザ罹患の関連性を調べました。その結果、VFAが200cm2以上のグループでは、インフルエンザ罹患のリスクが有意に高いことがわかりました。
図 内臓脂肪面積とインフルエンザ罹患のオッズ比
臨床において腸内細菌は2型糖尿病およびその寛解と関連していますが、一般集団での関連は不明です。そこで、一般集団における腸内細菌と2型糖尿病およびその寛解との関連を調査することを目的として、1,639人の日本人参加者を対象とした横断的研究を実施しました。参加者のうち、2型糖尿病を有する方は106人、そうでない方は1,533人でした。また、腸内細菌と2型糖尿病寛解との関連について、縦断的解析を実施しました。その結果、6つの細菌属が2型糖尿病と独立して関連しており、Faecalibacterium、Blautia、Roseburia、Oscillibacterが多いほど2型糖尿病のオッズ比が低く、一方でMegasphaeraとLactobacillusが多いほど2型糖尿病のオッズ比が高いことが明らかになりました。これらのうち、Blautiaのみが非寛解群と比較して寛解群で有意に増加していました。寛解群では、Blautiaの増加がアディポネクチン及び骨格筋量の増加と有意に相関しました。本研究により、特定の腸内細菌が2型糖尿病およびその寛解と有意に関連していることが示されました*2 。腸内細菌は2型糖尿病の治療および予防のためさらなる探索の可能性がある分野かもしれません。しかし、これらの知見を検証するためには、プロバイオティクスやプレバイオティクスを用いた大規模コホート研究または介入研究が必要です。