水平リサイクルをめざして

花王では、世界的なプラスチック問題の解決に貢献できるよう、よりリサイクルしやすい包装容器の設計や、再生技術の研究、再生プラスチックを使用した包装容器の開発にも取り組んでいます。
本品容器にくらべてプラスチック使用量を大きく削減できるつめかえパックは、さまざまな中身を、輸送での衝撃や紫外線などの保管環境から中身を守るために、何層もの複合材料からつくられています。そのため、リサイクルすると多種類の成分からなる不均質なプラスチックとなってしまい、再びフィルム容器として利用することは現状ではまだ困難です。これまでこのような不均質なプラスチックは、フォークリフトなどで物を運ぶ時の「荷台(パレット)」や、擬木などにリサイクルされてきました。
このように高度なリサイクルが難しいつめかえパックを原料として利用できるよう、2021年6月より和歌山研究所に導入したフィルム容器リサイクルのパイロットプラントでリサイクル技術の研究を進め、2023年5月に、つめかえパックから再びつめかえパックへ再生する「水平リサイクル」を実現した製品を発売しました。

多層構造のフィルム容器のイメージ図。容器の外側から、基材層、印刷層、接着剤、バリア層、接着剤、接着層の順に薄いフィルムが積み重なって容器を構成している例を示している。

フィルム断面のイメージ

樹脂改質を行なわないまま再生したフィルムの拡大写真。つめかえパックは複数種の素材からつくられているため、不均一で穴が空くなど、フィルムにすることができない。

不均一な再生フィルム

樹脂を改質した再生フィルムの試作品の写真。

樹脂を改質した再生フィルム

和歌山事業場に水平リサイクル研究プラントが完成

2021年、実験用プラントを稼働させました。 最終目標は、パッケージからパッケージに戻す「水平リサイクル」。 持続可能な循環型社会の実現に向けて、私たちはこれからも歩んでいきます。

和歌山リサイクルパイロットブランドの紹介動画

2023年5月に発売した「おかえりつめかえパック」製品の外観と、その構造を示す断面をイメージした図。リサイクル樹脂を容器のポリエチレン層の内層に挟んで使用。

2023年5月に発売した「おかえりつめかえパック」製品。ポリエチレンの内層にリサイクル樹脂を使用。

一般消費者を対象とした製造・販売事業者として初めてプラ新法のプラスチック包装容器の回収における「製造・販売事業者等による自主回収認定」を取得

花王株式会社と花王ロジスティクス株式会社は、2024年3月に経済産業省、環境省より、花王の事業場および鎌倉市で実施しているプラスチック包装容器の回収において、「製造・販売事業者等による自主回収認定」を取得しました。一般消費者を対象とした製造・販売事業者としての認定は初めてとなります。この認定は、2022年4月1日に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラ新法)の措置事項のひとつです。
認定取得により、廃棄物処理法の業許可なく、使用済みのつめかえパックを花王グループ内と鎌倉市で回収することが可能になります。これまでこれらの地域では、使用済みつめかえパックを「有価物」として回収していましたが、認定により「廃棄物」としての回収が可能となります。今後、ほかの地域でも同様の申請・届出により認定ルートを増やすことで、回収地域をスピーディに拡大できる可能性があります。また、既存の事業場間輸送便を活用することで、輸送コストや環境負荷を削減します。

つめかえパックの「水平リサイクル」をめざすプロジェクト
「神戸プラスチックネクスト ~みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル~」に参加

神戸市と18の参加企業が協働して資源循環に取り組むプロジェクトにも参加しています。小売店舗の配送戻り便やリサイクラーとの連携により、効率的に環境負荷を抑えて収集する回収のしくみづくりを行っています。また回収したつめかえパックは、生活に役立つリサイクル品に再生するとともに、再びフィルム容器として利用する水平リサイクルをめざしています。

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