ヘルスケア食品の研究開発

生活習慣病の増加や高齢化を背景として、食品の機能性への注目が高まっています。

食品の一次機能「栄養」、ニ次機能「おいしさ」を満足させながら、三次機能「生体調節」を発揮させることができないだろうか。日常、無理なく摂取できる食品を用いて、健康をサポートできないだろうか。こうした考えを基本として、花王はヘルスケア食品研究の取り組みを進めています。

花王と食品の関わりは古く、1920年代まで遡ります。油脂研究に取り組むなかで、パンや菓子に使用するショートニングの開発に成功し、1928年、日本で初めて、業務用植物性ショートニングを発売しました。以来、80年以上に渡り、業務用油脂の研究と生産が続けられています。

転換点を迎えたのは1980年代のことです。食品研究所(当時)は、チョコレート用油脂の研究を行うなかで、食用油脂成分のひとつ「ジアシルグリセロール」に着目しました。消化特性、吸収特性の調査を終えた後、脂質代謝に研究を進め、ジアシルグリセロールに、「食後の血中中性脂肪が上昇しにくく」「体に脂肪がつきにくい」効果があることを発見しました。1,3-ジアシルグリセロールの消化生成物である1-モノアシルグリセロールは、トリアシルグリセロールの消化生成物である2-モノアシルグリセロールと比較して、中性脂肪に再合成されにくい特性をもちます。数々の有効性試験、安全性試験を経て、1999年、ジアシルグリセロールを主成分とした機能性食用油が発売されました。

食品の機能は、摂取、消化、吸収、代謝の過程を経るなかで発揮されます。食品の機能性研究を進めるためには、食品の成分や組成を分析するだけでなく、ヒトの栄養代謝・エネルギー代謝に関する研究が不可欠です。

代謝研究の姿勢は、その後のポリフェノール研究にも生かされました。花王は、100種以上の植物素材を対象として機能性の探索を行うなかで、緑茶に含まれる茶カテキンに、「脂肪を消費しやすくする」効果を見出しました。茶カテキンは、血中に吸収された後、肝臓に到達し、脂肪燃焼酵素の遺伝子発現量の増加を通して、脂肪酸燃焼を促進します。継続摂取することで、脂質燃焼によるエネルギー消費量の増加が継続し、体脂肪低減効果として表れます。2005年、高濃度茶カテキンを含有し、「脂肪を消費しやすくする」効果を持つ緑茶飲料が発売されました。

お茶と並び、世界で飲用されている飲料にコーヒーがあります。花王は、コーヒーポリフェノールの一種であるクロロゲン酸類に、体脂肪低減効果があることを見出しました。クロロゲン酸類は、血中に吸収された後、脂肪燃焼を阻害する酵素の遺伝子発現量の低下を通して、脂肪酸の燃焼を促進します。2013年、クロロゲン酸類を含有し、「脂肪を消費しやすくする」効果を持つコーヒーが発売されました。

花王は、食品の開発だけでなく、食習慣・生活習慣研究にも取り組んでいます。人々の健康に役立つ食品を提供するとともに、食習慣、生活習慣の改善を支援する情報を発信していきたいと考えています。

代謝メカニズムを徹底的に追求する姿勢、そして、有効性試験、安全性試験によって検証を重ねる姿勢がヘルスケア食品の開発を支えています。毎日の生活のなかで食と健康に貢献できるよう、これからも花王はヘルスケア食品研究に取り組んでまいります。

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