アスファルトは道路や駐車場などに広く利用されていますが、荷重や経年劣化によってくぼみが生じるなど、耐久性には課題があります。
花王のケミカル事業ではこの課題を解決するため、耐久性を向上させるアスファルト改質剤の開発に取り組んできました。さまざまな試行錯誤を重ねた末に鍵となったのが、廃棄ペットボトルをはじめとした難処理PET素材(廃PET* )の活用です。廃PET由来の改質剤をアスファルトに1%添加するだけで、アスファルト舗装の耐久性を最大5倍にまで高めることに成功しました。
開発のきっかけは、取引先から寄せられた「アスファルトをもっと硬くしたい」という相談でした。これを機に、アスファルトの耐久性を高める改質剤の開発プロジェクトがスタート。開発を進める中で、道路の補修作業や舗装材の製造過程で生じる環境負荷を低減したいというニーズにも応えようと試行錯誤を重ね、その結果たどり着いたのが廃PETの活用でした。

廃棄されてしまう難処理PET素材(廃PET)
ペットボトルの原料に使われるPETの多くは再資源化されますが、品質のばらつきや異物混入などの理由で再資源化できないものも少なくありません。花王は、そのような行き場のない廃PETを「ケミカルリサイクル」という考え方で再利用。廃PETを細かく砕いて化学処理し、長年培ってきた界面科学技術を応用して、アスファルト改質剤として生まれ変わらせました。
PETは高い親水性を持つことから、アスファルトと石をつなぐには最適な素材です。従来のアスファルトにこの廃PET由来の改質剤を1%添加するだけで、アスファルト舗装の耐久性が最大で5倍に向上。その結果、補修頻度の低減や資源使用量の削減につながり、結果として環境負荷の低減も実現しました。



従来のアスファルト舗装(左)と高耐久性アスファルト舗装(右)
高耐久性と環境負荷低減を両立する廃PET由来のアスファルト改質剤は、国内にとどまらず海外での活用も期待されています。
海外では交通量や車両の使用環境によって舗装への負荷が大きく、道路の寿命延伸へのニーズは年々拡大。こうした背景から、耐久性を向上させるアスファルト改質剤の可能性はグローバルに広がっています。
また、自動運転の技術が急速に進化し、道路にはこれまで以上に高い耐久性が求められています。廃PET由来のアスファルト改質剤は、自動運転社会の実現に貢献する素材としても期待が高まっています。
花王は、廃PET由来のアスファルト改質剤のさまざまな可能性を追求し、人と環境にやさしい道路舗装を実現することで、「豊かな共生世界」を足元から支えていきます。