アレルギー
花王の製品はその多くが皮膚に触れるため、配合する原料の皮膚アレルギー性(感作性)評価は非常に重要です。花王では、2000年から現在まで、動物を用いない精緻な皮膚感作性評価技術の開発を進めています。
2016年には、皮膚免疫細胞のはたらきに着目して(株)資生堂と共同開発した代替試験法「h-CLAT」が、高い信頼性を有する世界標準法(OECDテストガイドライン、TG442E)として承認されました。近年では、感作成立の際に角化細胞で生じる抗酸化応答および炎症応答に着目し、人工皮膚モデルに評価したい原料を塗布した際のマーカー遺伝子の発現応答から皮膚感作性を判定する代替試験法「EpiSensA」を開発しました。
「EpiSensA」で使用する人工皮膚モデルは、実際の皮膚と類似の構造を有することから、原料を皮膚に塗布する場合と同じように評価することが可能です。既存代替試験法の課題であった油溶性原料の評価が可能となり、2024年に、既存代替試験法に比べて高い適用性と予測性を有する世界標準法(TG442D)として新たに承認されました。
「h-CLAT」、「EpiSensA」は全世界で広く使用され、産業界の新規化学物質の開発に大きく貢献すると考えます。
感作成立までに重要な細胞応答に着目した、「h-CLAT」や「EpiSensA」などの技術を組み合わせた評価体系を構築することで、感作という複雑な生体現象を正確に捉えることができます。
今後は、国際的な安全性の協力機構であるInternational Collaboration on Cosmetic Safety(化粧品の安全性に関する国際協力)とも連携しながら、適時・適切な評価体系の開発、標準化、普及を進めていきます。
EpiSensAの試験イメージ