生命科学
微生物制御は、世界の人々の安全・安心、健康で衛生的な暮らしの創造に必要不可欠な技術です。昨今の安全・衛生意識の高まりやライフスタイル・ニーズの多様化に応えるユニークな新製品では、微生物制御技術を活用した新しい防腐設計が求められます。また厳格化する各国の法規制などに柔軟に対応する必要もあり、高度な微生物制御技術が不可欠となっています。
微生物の制御研究では、対象のありのままの姿・本質を捉える解析・評価が鍵となります。花王では、MALDI-TOF MSを用いた抗菌成分耐性菌の同定・識別や、次世代シークエンサーを用いた環境菌の菌叢解析、共焦点レーザー顕微鏡を用いた視覚化、シングルセルレベルでの動的挙動解析などに注力しています。
その一例として、シングルセル解析技術を活用した研究を紹介します。製品を安心して使い続けていただくために必要となる防腐剤は油性成分や粉体原料などによって効果が低下することが知られています。植物エキスの中にも、その種類と量によっては大きく防腐性を低下させるものがあります。花王は、処方中の微生物細胞をタイムラプス観察することにより、防腐剤によって死滅する細胞数よりも植物エキスによって増殖する細胞数の方が多くなる現象が防腐力低下の本質であることを見出しました。この発見を通じて、防腐剤ではない素材で防腐効果を著しく向上させることに成功しています。
今後も、人と製品と環境を守る微生物制御技術を深化させていきます。
花王のESGの取り組み Kirei Lifestyle Plan
持続可能な開発目標(SDGs)