機能性食品素材の体内動態の研究

安全性科学

食品成分は、主に小腸から吸収された後に体内に分布していき、肝臓での代謝などを経て排泄されます。このような、成分が体内に入ってから排泄されるまでの一連の動きを体内動態といいます。
体内動態は、個人差や、食品もしくは飲料などの摂取方法により変動する場合があることから、食品成分の体への作用を評価する重要な項目のひとつです。しかしながら、医薬品と異なり、食品成分は科学的知見が多くありません。花王では、食品の安全性や有効性の理解のために、食品成分の体内動態を予測する技術開発に取り組んでいます。
たとえばこれまでに、緑茶に含まれる茶カテキンの体内動態を、細胞内外への輸送を行なうトランスポーターや細胞内でその構造変化に関与する代謝酵素などを同定することにより、分子レベルで捉えることに成功しました。さらに、その情報と、食品成分の構造に由来する物理化学的情報、体重や血流速度などの生体情報を使って、コンピューターで体内動態を予測する生理学的薬物動態モデル(PBPKモデル)を構築しました。
このような技術は、食品成分の体内動態の予測だけでなく、その食品成分が他の食品成分や医薬品と同時に摂取された場合の体内動態の解析にも応用されています。さらに、食品成分の安全性や有効性についての個人差や人種差の理解にも活用されています。

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