蚊の基礎情報
蚊がヒトを探索するための高度な感覚システムや 蚊の感覚器の詳細についてご説明します。
蚊はヒトを探索するために、極めて高度な感覚システムを有しており、ヒトが出すシグナルを鋭敏に検知します。蚊が最初に検出するのは、ヒトの呼気に含まれるCO2です。大気中のCO2濃度が0.04%であるのに対し、ヒトの呼気には1~10%のCO2が含まれています。呼気に含まれるCO2量は、人によっても、また同じ人でも活動によって異なります。
蚊はヒトから10m以上離れた場所でCO2を感知し、飛行行動を活性化します。その後、蚊は視覚情報と匂いを頼りにヒトに近づきます[1]。最終的には熱と水分を検知し、ヒトに降り立ちます。ヒトに降り立った後は、味覚でヒト皮膚の味を感知します。
蚊がヒトを探す行動は、このように複数の感覚刺激が順番に関わる複雑な行動です。これらの感覚刺激を適切に認識し処理するために、蚊は非常に優れた感覚システムを備えています。
図は蚊の感覚器と、それらが受容する感覚を表したものです[2-6]。これらの感覚器には、それぞれの感覚刺激を受け取るセンサー(受容体)があります。たとえばネッタイシマカには、匂いを受け取る嗅覚受容体が129種類あります[4,7]。蚊の嗅覚受容体は、触角や小顎肢の他、意外なことに唇弁や脚にも存在しています。