蚊の吸血行動に着目した忌避研究

蚊が止まれなくなる表面とは

蚊の降着行動に影響をもたらす、
脚と濡れ性の関係についての実験結果をご紹介します。

蚊の脚と濡れ性の関係

蚊の脚と液体の濡れ性の関係は、蚊の降着行動にどのような影響をもたらすのでしょうか?蚊の脚への濡れ性の低いグリセリンの場合では、脚と液体が接触した際の力はゼロであり、押し込むほど斥力が発生します。一方で、低粘度のシリコーンオイルにおいては、強い引力(メニスカスフォース)が脚と液体が接触することにより即座に生じます(図)。すなわちシリコーンオイルの塗膜表面に降着した蚊は塗膜から脚を通じて強い引力を受けます。たとえば前脚、中脚の計4本で降着した場合、仮に測定した引力がこの4本すべてにかかると、その合計値は4.96μNとなり、これは蚊が受ける重力の87%に相当する力であり、このメニスカスフォースは、蚊にとって無視できない引力であると考えられます。

図 蚊の脚が液体に
接触した際に生じる力

負の値が液体に引き込まれる方向に働く力
(a)グリセリンとシリコーンオイルを接触させた際に発生する力
(b)形成するメニスカス形状の模式図(Iikura et al., Sci Rep 10, 14480(2020)を改変して引用)

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