蚊の吸血行動に着目した忌避研究
自然界での例として、カバの赤い汗にも 蚊の降着抑制効果があることがわかっています。
研究を進める中で、濡れ現象を利用して蚊よけを行なっている例が、自然界にも存在するのではないかと考えました。汗や分泌液を出す動物はいくつか知られていますが、その中でもカバが肌上に分泌する“赤い汗”には、紫外線防御(日やけ止め)効果や、保湿の効果に加え、蚊から身を守る働きもあるのではないかと推測しました。
そこで、和歌山県のアドベンチャーワールドからカバの分泌液を入手し、分泌液の物性に近いシリコーンオイルを比較例として、それぞれを塗布した基板に蚊を止まらせる実験を行ないました。その結果、どちらの液体も蚊の降着抑制効果を持つことが明らかとなりました(図)。
図 カバの分泌液を
脚の接触時間 (花王ニュースリリースより) 塗布した基板への
(Iikura et al., Sci Rep 10, 14480(2020)を改変して引用)