内部補修
花王の毛髪内部補修技術についてご紹介します。
・空洞補修技術
・脂質補修技術
毛髪内の空洞では、光が散乱して、ツヤにつながる光の反射が弱くなります。人種によらずどのような髪でも、ダメージを受けて内部に微小な空洞が増加すると、影響が増大して髪のツヤや髪色の鮮やかさが低下することが花王の研究で明らかになりました。
参照文献:「毛髪内部構造と外観」
J. Cosmet.Sci., 53, 89-100 (2002) / J. Cosmet.Sci., 53, 387-402 (2002) / J. Cosmet.Sci., 54, 353-366 (2003)
花王の空洞補修技術は、単に空洞を埋めるのではなく、毛髪組織のタンパク質に直接働いて組織を膨潤させ、空洞を少なくします。施術後の毛髪の空洞が減少している様子が、電子顕微鏡や原子間力顕微鏡で確認できます。
花王の空洞補修技術(HBT)処理毛は、ドライヤーの熱によるキューティクルのめくれ上がり(リフトアップ)を抑えることが確認されました。
補修効果を髪の芯まで行き渡らせるために、特定の有機酸(例えば、リンゴ酸、乳酸など)と浸透促進剤の組み合わせを基本の構成とし、コンディショナーとトリートメントに適用しました。後にシャンプーにも適用し、洗いながら空洞を補修する効果を強化しました。さらにヘアカラーにも応用し、ダメージを受けた後の即時補修を実現しています。
この空洞補修技術によって、毛髪1本1本の見え方を改善するだけでなく、毛髪内部の水素結合を強化する効果があることが検証され、洗い流さないトリートメント剤やスタイリング剤にもこの技術を適用しています。
空洞補修技術で処理した髪は、処理前に比べて色がクリアで透明感が増し、美しいツヤと奥行き感、コントラストが得られます。特にヘアカラーやブリーチで明るくした髪では、空洞が多い髪と少ない髪の、色の美しさの違いがよくわかります。カラーリングがベーシックな美容になっている現在、重要な美髪技術であるといえます。
[参考] 髪のしくみ/毛髪のツヤ
毛髪の水素結合を強化する働きによって、嫌な硬さをともなうことなく髪の弾力がアップし、しなやかなハリが生まれます。また、湿度が高くなった場合のヘアスタイルのくずれを抑える効果もあります。
このように、空洞補修技術は、髪の健康的な美しさにかかわる根幹の技術になっています。
コルテックス部分に含まれる脂質は、ダメージによって減少し、髪はしなやかさが失われてごわつきます。
独自に開発したセラミド機能物質*1を、髪の内部に浸透させると、失われた脂質の存在した部分に補われ、髪のしなやかさ・柔らかさが回復します。