頭皮のキホンと年齢変化、効果的な洗浄のコツ
頭皮は、身体中で最も皮脂腺が多く、汗腺は手のひら足の裏に次いで3番目に多い、すなわち皮脂や汗の分泌量が多い部位です。また毛髪に覆われていることで他の部位と大きく異なる環境になっています。
頭皮自体は、顔などの露出部分と比べて乾燥しやすい性質ですが、皮脂などの油性成分が多いことに加え、毛髪に覆われているため、外気の乾燥や紫外線の影響から保護されていて、水分量やうるおいは保たれやすい環境です。
皮脂や汗は、皮膚の常在菌(表皮ブドウ球菌、アクネ菌など)に分解されたり、酸化されたりして脂肪酸などになります。
脂肪酸が生成されることにより皮膚表面は弱酸性に保たれ、バリア能が維持され、病原菌(黄色ブドウ球菌など)の繁殖が抑えられています。
しかし、生成物の中には、オレイン酸などのように皮膚を刺激し赤みやかゆみを引き起こす物質や、頭皮においの原因になる物質(イソ吉草酸、酢酸など)もあります。
頭皮はトラブルの原因物質の元となる皮脂や汗が比較的多く供給され、常在菌が増殖したり、皮脂の分解が進みやすい、高温高湿になりがちな環境のため、赤み(かゆみ)や頭皮においといったトラブルにつながりやすいのです。
また、頭皮は毛髪に覆われていることから、トラブルや不調は自覚しにくく、さらに指で触れたり目視しながら、洗ったりすすいだりできないため、洗髪頻度が高くてもトラブルの原因物質を洗い残ししやすい。これが頭皮トラブルが完全になくならない原因になっています。
さらに、皮脂や脂肪酸などは、頭皮に広がりきったあと毛髪に移り、髪のべたつきの原因になります。
頭皮の日常の血流量が多いと髪にハリコシがあり、太い傾向です(グラフ)。このことから、頭皮の血流量が髪の成長に関与していると考えられます。ただし、年齢と血流量についての相関は確認されていません。
頭皮の荒れが進むと、髪の成長に影響を及ぼすという報告があり、「健康な髪は、すこやかな頭皮から」という表現などで関連性が示唆されています。
髪や頭皮のエイジングは、30歳頃から感じ始めます。具体的には、髪は、徐々に細く少なく、細かいうねり毛や白髪の割合が増えます。徐々に、成長している毛髪の割合が減り、伸びる速さが遅くなります。頭皮は薄く硬く動きにくくなり、皮脂の分泌が少なく、室温で固形の皮脂の割合が増える傾向です。発汗は活動量に因るため個人差が大きいのですが、一般的に少なくなる傾向と考えられます。
髪や頭皮のエイジングは遺伝的要素が大きいのに加えて、ホルモンバランスの変化も影響していると考えられます。
夏より気温が低い冬の方が皮脂の流動性が低く頭皮上に留まりやすいため、頭皮トラブルが起こりやすいのです。年齢とともに、皮脂の分泌量は減少する傾向ですが、室温で固体の皮脂の割合が増え汗をかく機会が減ると、頭皮上に残りやすくトラブルが起こりやすくなると考えられます。このことは、年齢とともに頭皮においが気になる原因にもなっていると考えられます。また、頭皮が薄く硬く動きにくくなって、頭皮の不調やコリと感じることもあるようです。
また、髪が細く少なくなるだけでもボリュームが出にくく保ちにくいのに、皮脂が髪に移行すると、それを助長してしまいます。
以前は年齢が高くなると洗髪頻度が低い傾向でした。これは、洗髪時の抜け毛を気にしたり、カラーリングした毛髪が絡まりやすく洗髪しにくいなどが主な理由と考えられます。現在は年代が高い方が頭皮ケアや頭皮クレンジングの意識が高く、洗髪頻度も若い世代と同様に高くなっています。洗髪・乾燥時の抜け毛は成長を終えた毛髪という理解が広まり、ヘアケア製品の性能が向上してカラーリング毛でも洗髪しやすくなり、年齢が高くて活動的な人が増えたなど、状況が変わってきています。
頭皮クレンジング:かゆみなどの頭皮への刺激や、ニオイのもととなる皮脂や汗を頭皮に長時間放置しない
血流:頭皮マッサージなどで、血流の良い状態を保ち、頭皮の回復力、髪の成長を維持する
脂肪酸などのトラブルの原因物質やそのもととなる皮脂や汗を特に頭皮上から取り除く。
髪が長い場合は、髪の重なりの多い部分の頭皮を意識し洗い残しがないようにしましょう。
取り除きたい皮脂や脂肪酸は水やお湯だけでは落としきれません。
皮脂には40℃でも固形のものもあるので、洗浄成分で捕まえて洗い流します。
◇こんな機能の製品を活用
洗髪時にリフレッシュしたい方におすすめです。なめらかな泡が頭皮にだいたい行き渡って、すすぐ前に行います。
手のひらで頭皮をはさんだり、指で頭皮をつかむようにして、頭皮を押しながらもみほぐします。頭皮をこすらずに手の位置を変えて全体に行うといいでしょう。
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