炭酸による抗インフルエンザ活性の高い舌顎下腺唾液の分泌促進

ヘルス&ウェルネス

インフルエンザは毎年流行し、その罹患者数は減る傾向が見えません。花王は、ヒトに生来備わっている生体バリアに着目して、安心・安全に毎日できるインフルエンザや風邪などの上気道感染症の予防技術の開発に取り組んでいます。そのひとつとして、着目しているのが唾液の機能です。健常なヒトは1日1~1.5リットルの唾液を分泌します。唾液には、消化作用、洗浄作用、咀嚼補助作用があると同時に、抗菌・抗ウイルス作用があることが報告されています。
花王はこれまでの基盤研究から、ヒトの唾液の抗インフルエンザウイルス作用には唾液に含まれるタンパク質に結合したシアル酸(結合型シアル酸)量が重要であること、さらに、結合型シアル酸が耳下腺よりも舌下腺および顎下腺(舌顎下腺)(図1)から多く分泌されることを確認しています*1 。この知見から、インフルエンザの感染予防には舌顎下腺からの唾液分泌を促進させることが効果的だと考えました。

図1 ヒトの唾液腺

そこで、舌顎下腺唾液を分泌させる方法を探索し、口腔内で発泡して炭酸を生成する炭酸発泡刺激が唾液分泌を有意に促進させること(図2)、さらに舌顎下腺唾液を選択的に分泌させる方法として優れていることを見出しました(図3)*2
これらの研究開発を通じて、ワクチン接種、手洗い、マスクに加えて、生活の中で簡単・快適に実施できる新しい予防習慣の提案を目指しています。

  • * 1 花王株式会社 第52回 日本小児呼吸器学会
    唾液抗インフルエンザウイルス活性の因子解明と炭酸発泡刺激による制御
  • * 2 Journal of Functional Foods 74 (2020) 104173

図2 唾液分泌量

図3 分泌された唾液における舌顎下腺唾液の割合

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