精密工業・エレクトロニクス
スマートフォンなどに内蔵される電子部品の製造時には、花王の洗浄剤が使用されています。今後もさらなる小型化・高性能化・低コスト化が求められ、近年、微細な電子回路の形成にドライフィルム(DF)を使用した工法(図1)が注目されています。
樹脂フィルムで形成されたミクロンスケールの型枠に金属配線を形成しますが、不要となった樹脂フィルムは、誤作動防止のため完全に剥離除去する必要があります。特に微細配線領域での樹脂フィルムの剥離は、洗浄剤を浸透膨潤させるため溶剤系が使用されており、環境視点で課題となっています。花王は、界面制御による高速浸透技術で他社品よりも高い樹脂剥離性能を示しながら(図2)、部品基幹部分の樹脂や金属配線には影響を与えない選択剥離除去技術を開発しました。
また、他社品と比べ2倍の高いスタミナ性によって洗浄剤交換頻度を低減し、低コスト製造へ寄与しています。さらにこれらを低環境負荷の水系洗浄剤で実現しており、界面現象に着目した配合設計により達成しています。
今後も、界面科学に基づいた高度情報化社会を支える精密洗浄技術を追求してまいります。
図1 ドライフィルムを使用した工法による電子回路形成工程
図2 剥離評価(配線幅15μm、浸漬3分)
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