眼刺激性試験の動物実験完全代替に向けた取り組み

安全性科学

人が得る情報の8割は視覚に由来すると言われており、目は非常に重要な器官です。そのため、化粧品や住居用製品などが目に誤って入ってしまった際の影響を評価する眼刺激性試験は、安心安全な製品をお客さまに届けるために不可欠な評価項目です。花王では2000年から独自に角膜培養細胞を用いたin vitro眼刺激性試験「Short Time Exposure (STE)」を開発。「STE」は、公的機関による厳しい審査を経て、経済協力開発機構 (OECD)の試験ガイドラインに収載されました(OECD TG 491)。現在、国内外で広く用いられていますが、単一のin vitro試験だけで複雑な生体応答を完全に代替することには限界があります。
眼刺激性は物質が目に接触した時点で始まり、短時間で表面の角膜上皮細胞を傷害します。さらにその影響が強い場合は、より内部へと浸透して角膜実質細胞を傷害します。このような生体応答に着目して、花王では弱い眼刺激性を高精度で評価できる「STE」と強い眼刺激性を高精度で評価できる「Bovine Corneal Opacity and Permeability (OECD TG 437)」を組み合わせた眼刺激性評価アプローチを構築しました。現在、この評価アプローチを世界中に普及させるため、欧州化粧品工業会 (Cosmetics Europe)と協同でOECDの試験ガイドライン化を進めています。この「STE」の開発から一連の取り組みは、花王だけでなく世界の動物実験削減と眼刺激性評価における完全代替への貢献につながる重要な研究活動と考えています。

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