動物を用いずに複雑な発生毒性を予測する

安全で安心な製品を消費者に届けるためには、製品を使用される方のみならず、次世代に対する安全性を確認することも重要です。花王では、次世代への影響予測においても、動物を用いずに評価する手法の開発に挑戦しています。
胎児の体の各臓器・部位が形成される発生過程は非常に複雑であることから、生体外で影響を予測することは最も難しいと言われています。花王では、この課題に対し、ゼブラフィッシュ初期胚を用いて迅速かつ精緻に影響を予測する手法の開発に取り組んでいます。
これまでに、形態変化を捉えにくいと考えられてきた頭部顔面異常に対し、共焦点レーザー顕微鏡を活用したイメージング技術を用いることで、異常の有無に加えて異常を定量的に評価可能な系の確立に成功しています。また、次世代シーケンサーを用いたRNAシーケンスにより、遺伝子発現変動を網羅的に捉えて解析することで、異常誘発に至る分子メカニズムの理解にもつなげています。
これらの技術を全身臓器の形成に対する影響評価へと拡大し、世界に受け入れられる科学的な予測手法の確立をめざしています。世界中の消費者に科学的知見に基づく安全・安心な製品をお届けするとともに、得られた知見は、発生異常の早期診断や治療薬・予防薬の開発など、診断・創薬分野へも活用していきます。