花王グループは、「人にやさしい情報発信」として、誰にでも使いやすいウェブサイトの実現をめざし、ウェブアクセシビリティ確保と向上に取り組んでまいります。
ウェブに掲載するPDFもウェブコンテンツの一部であるため、アクセシビリティを考慮する必要があります。国際的な指針であるWCAG(ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン)でも、ウェブに掲載するPDFはウェブコンテンツの一部として扱われています。
一方で、PDFはさまざまな環境で一貫したレイアウトと内容を提供できるメディアであり、ウェブデザインとは異なる表現方法が用いられることがあります。この特性により、見出しや本文のみで構成されるようなシンプルなPDFやアクセシブルにすることをはじめから意識して作成されたPDF以外では、アクセシビリティを確保するための作業が難しくなることがあります。
そのため、まずはPDFにせず、伝えたい情報をウェブページで伝えられないか検討してください。PDFにする必要がある場合、アクセシビリティ向上の方法についてはPDFを作る際に利用するアプリケーション・ソフトが提供している参考資料を参照してください。
企画設計の段階からウェブアクセシビリティを考慮することで、制作段階での手戻りを減らせます。さらに、この段階からアクセシビリティを考慮することで、ウェブサイトの構造やデザインを最適化し、利用者の多様なニーズに対応した設計が可能になります。結果としてアクセシビリティの品質を高めることにつながります。
また、「コンテンツ作成」や「ビジュアルUIデザイン」の工程だけでは十分にアクセシビリティを確保できないこともあります。そのため、初期段階からアクセシビリティを組み込むことが不可欠といえます。
ページの情報量は設計フェーズで適切に検討する必要があります。後のフェーズでは、設計に基づいてコンテンツ作成や文書構造の調整を行うため、この段階で情報量の設計を見直すことは、難しくなります。
たとえば、視覚で情報を得る場合と、スクリーンリーダーを利用する場合では、ユーザーが一度に理解できる情報量が異なります。そのため、見出しが適切に配置されていても、情報量が多すぎることでアクセシビリティが低下することがあります。このように、ページごとの情報量が適切かどうかを設計段階で十分に検討することも、アクセシビリティを確保する上で重要です。
ユーザーがどのようにウェブサイトを閲覧し、目的を達成するかを考慮することは、アクセシビリティを確保する上でも重要です。障害のある人や、特定の支援技術を使用する場合、情報の整理や提供方法が適切でなければ、サイトの利用が難しくなる可能性があります。
たとえば、注意事項を説明するページに関係のない情報が含まれていると、必要な情報が探しにくくなります。適切なセクション分けや見出しを設けて情報を整理することで、どのユーザーにとっても分かりやすい構造が実現できます。
ユニバーサルデザインとアクセシビリティは「できるだけ多くの人が利用できることをめざす」という点が共通しています。違いは、アクセシビリティが「利用できることの度合い」を指す言葉であるのに対し、ユニバーサルデザインは「多くの人が利用できるモノや環境、サービスのデザイン」という点です。ユニバーサルデザインの考え方に沿ってつくられたものは、アクセシビリティが向上すると言えます。
また「ウェブアクセシビリティ」とは、多種多様な人が、さまざまな環境や状況で、ウェブサイトにアクセスして利用できることを指します。
ウェブサイトでは、ユーザーが自分に合った方法で情報を得ることができます。
例えば、視覚情報に対して障害がある場合は、スクリーンリーダーを使って音声で情報を得たり、文字や画面の拡大・色の変更などの機能を利用できます。 聴覚情報に対して障害がある場合は、字幕機能や音声の文字起こしソフトを利用できます。このようにユーザーは、障害の有無に関わらず、自分の好きな方法を選択して、様々な環境で閲覧しています。
能力や環境、状況に関わらず、情報を受け取ることができる表現方法を考えていくことで、より多くの人に情報を届けることができます。
基本的な取り組みの考え方に違いはありません。どちらの場合も「アクセシビリティ対応チェックシート」を設計段階から活用し、適切な対応を進めましょう。
花王の「ウェブアクセシビリティガイドライン」と、品質基準の目標としているWCAG(Web Content Accessibility Gudelines) 2.1 のレベルAAの要件を把握することが重要です。WCAGの基準を確認しながら進めるためには「アクセシビリティ対応チェックシート」をご活用ください。
基本的な要件は「花王ウェブアクセシビリティガイドライン」に則り、ウェブサイトの目的やリニューアル時の状況を鑑みて策定してください。
まずは、メディアやコンテンツの役割、ウェブサイトの利⽤状況、施策の予定など事業計画をもとに、ウェブアクセシビリティの取り組みの優先順位をつけましょう。
花王が品質基準の目標とする「WCAG2.1レベルAA」は、短期間で達成するには難しい場合があります。段階的、かつ持続可能となる計画を立てて進めてください。
※段階的な取り組みの目安として「アクセシビリティ対応チェックシート」では、目標レベルとする WCAG の達成基準と達成方法を参考に、難易度や影響範囲を考慮し、対応指標をⅠ〜Ⅲに分類しています。
アクセス数が少なくても、公開されているページであれば、対応は必要です。公開中、またはこれから公開するウェブサイトのすべてのページが対象範囲となります。
ただし、公開中のウェブサイトの場合、一度にすべてのコンテンツのアクセシビリティ向上を図るのは困難な場合があります。優先付けを行い、段階的な対応を計画してください。
ウェブアクセシビリティに対応することは、ビジュアルをシンプルにしたり、視覚的な表現を減らすことではありません。その目的は、より多くの人が情報にアクセスできるようにすることです。せっかくのビジュアルデザインも、特定の人や状況、環境でしか伝わらないものであれば、その効果は十分に発揮されません。たとえば、色のコントラストに関する制約も、より多くの人が情報を得やすくするための配慮です。代替手段の活用も含めて、ビジュアル表現に工夫を取り入れてください。
ブランドサイトと広告を連動させる場合は、ブランドサイトでの利用を念頭に置いて広告の制作段階からアクセシビリティの配慮が必要となります。広告制作段階で配慮すれば、結果として広告自体もより多くの方に情報を入手しやすいものにできます。
とはいえ、すべての広告物を一度に見直すのは難しいため、ブランドサイト用に別途ビジュアルを用意するのも一つの手段です。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通称:障害者差別解消法)では、情報アクセシビリティの向上が「環境の整備」として民間企業を含む事業者に対しても努力義務が規定されており、障害の有無にかかわらず円滑に情報を取得・利用・発信できることが期待されています。ウェブサイトのアクセシビリティに対する具体的な基準や指針は明示されていませんが、ウェブアクセシビリティも、この「環境の整備」のひとつとして、向上、改善が望まれています。
また「障害者差別解消法」は2021年6月に改正(2024年4月1日から施行)され、これまでは国や地方公共団体などに義務付けられていた「合理的配慮」の提供が、民間の事業者に対しても義務化されることになりました。この「合理的配慮」をできるだけスムーズに提供できるように、あらかじめウェブサイトのアクセシビリティを高めておくことが、今後ますます重要になります。
コンテンツの量や種類、ウェブサイトの規模やアクセシビリティ状況によって変わります。「アクセシビリティ対応チェックシート」を使って要件を確認し、作業コストを見積もってください。
リニューアルや大規模な更新を予定しているウェブサイトであれば、アクセシビリティの確保をリニューアル要件に入れて実施する方が、単独でアクセシビリティ対応をおこなうより効率的な場合があります。
花王株式会社のウェブサイトでは、「障害」の表記として、一部のコンテンツで「障がい」を使用しておりますが、本ガイドラインにおいては、スクリーンリーダーでのテキストの読み上げを考慮し、漢字表記としております。