歩行や運動習慣に関する論文情報

論文タイトル 地域在住尿失禁中高年女性を対象とした非対面での歩行・筋力トレーニングの効果について:無作為比較試験による検討
掲載誌 日本公衆衛生雑誌(71巻、第1号、2024年)
著者名 亀尾 洋司, 須藤 元喜, 山城 由華吏, 宮村 猛史, 金 憲経
要旨 本研究は、地域在住中高年尿失禁女性68名を対象として非対面の歩行や筋力トレーニング指導による尿失禁の頻度,量およびQOL改善効果を明らかにした研究である。対象者を無作為割付にて,介入群(n=34)と対照群(n=34)に振り分けた。介入群に対しては歩行および筋力トレーニングについてビデオを活用した非対面指導を行った。介入12週間後の尿漏れ頻度スコア,尿漏れ量スコア,ICIQスコアのすべてにおいて,群間比較での有意差を確認した(P<0.05)。地域在住尿失禁中高年女性を対象として,非対面で行う指導であっても,歩行および筋力トレーニングによる介入は,尿もれ症状の改善および尿もれによるQOL阻害程度の改善に有効であることが示唆された。
抄録 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/advpub/0/advpub_23-030/_article/-char/ja
論文タイトル 職域における歩行習慣改善支援プログラムの試行と健康増進の効果検証
掲載誌 日本健康教育学会誌, 30 巻 3 号 p. 230-239(2022)
著者名 熊谷 美香, 片嶋 充弘, 須藤 元喜, 橋本 祐樹, 木下 佳大, 村下 公一, 中路 重之
要旨 本研究では、特定の企業で実施した歩行習慣改善支援プログラムの成果を調査し、職場で健康促進プログラムとしての可能性を検討した。本試験では、自動車運送会社で3か月間の介入を行い、歩行習慣の改善を調査した。結果として、プログラムの継続率は80%以上で、歩行量と質の改善が健康に良い影響を与えることが示された。このプログラムは、職場での健康促進プログラムの一部として有用である可能性がある。
抄録 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/30/3/30_300308/_article/-char/ja/
論文タイトル Difference in sarcopenia characteristics associated with physical activity and disability incidences in older adults
掲載誌 J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2021
著者名 Ippei Chiba, Sangyoon Lee, Seongryu Bae, Keitaro Makino, Yohei Shinkai, Osamu Katayama, Kenji Harada, Naoto Takayanagi, Hiroyuki Shimada
要旨 本研究は、高齢者2149人を対象に、加速度計で測定した身体活動量(低強度の身体活動[LPA]、中強度の身体活動[MVPA])と5年間の障害発生率との関連を調べることで、サルコペニアの特徴に応じた最適な身体活動強度を明らかにした研究である。サルコペニアの高齢者では低強度身体活動(LPA)時間が障害リスクの低下と関連した。一方で、健常高齢者や低身体機能高齢者では中強度身体活動(MVPA)時間が障害リスクの低下と関連した。今回の結果から、筋肉の状態に応じた障害予防のための個別アプローチの必要性と最適な身体活動強度が示された。
抄録 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34612020/
論文タイトル Screening prefrailty in Japanese community-dwelling older adults with daily gait speed and number of steps via tri-axial accelerometers
掲載誌 Scientific Reports, 11(1), 18673, 2021
著者名 Naoto Takayanagi, Motoki Sudo, Yukari Yamashiro, Ippei Chiba, Sangyoon Lee, Yoshifumi Niki, Hiroyuki Shimada
要旨 本研究では、3軸加速度計を用いて測定した日常歩行速度と歩数が、プレフレイルのスクリーニングに有用であるかどうかを検証した。1692人の高齢者について健常群(1032名)とプレフレイル群(660名)に分類し、日常歩行速度と歩数について比較したところ、どちらのパラメータにおいてもプレフレイル群は低値を示した。また、ROC曲線から算出したこれらのパラメータのカットオフ値をもとに二項ロジスティック回帰解析を行ったところ、どちらか一方のパラメータを用いることと比較して、両方のカットオフ値を組み合わせることがプレフレイル状態の高齢者をスクリーニングするのに有効であることが示された。
抄録 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8455598/
論文タイトル IoTセンサを用いた高齢者の介護予防を目指した取り組みについて
掲載誌 老年医学, 58(12), 1091-1094, 2020
著者名 山城由華吏
要旨 介護予防において歩行速度は高齢者のADL低下予測の重要な指標であることから、歩行速度を日常的にモニタリングすることで高齢者の健康支援に有用である可能性がある。本稿では三軸加速度センサを用いて日常歩行速度を含むモニタリングと、ネットワークを組み合わせたホコタッチシステムについて紹介する。さらにホコタッチシステムを自治体に導入したところ、ホコタッチ継続利用者群(1,106名)と非利用者群(1,106名)をプロペンシティスコアによるマッチングを行い比較した結果、継続利用者群は12か月後の要介護発生を0.14倍に抑制した。
論文タイトル Relationship between Daily and In-laboratory Gait Speed among Healthy Community-dwelling Older Adults
掲載誌 Scientific Reports, 9(1), 3496, 2019
著者名 Takayanagi N, Sudo M, Yamashiro Y, Lee S, Kobayashi Y, Niki Y, Shimada H
要旨 高齢者の生活機能低下に重要な研究施設内の歩行速度と、近年計測可能になってきた日常生活中の歩行速度を比較検証した。研究施設内歩行速度はシート式圧力センサで測定し、日常歩行速度は腰に装着した3軸の加速度センサで測定した。日本の愛知県高浜市に在住の60歳以上の高齢者1965人を最終解析対象とした。研究施設内歩行速度と日常歩行速度の2つの歩行速度は相関係数0.33の低い相関関係を示した(p<0.05)。さらに、日常歩行の平均速度は、研究施設内の平均歩行速度に比べて統計的に有意に遅かった。しかしながら、研究施設内と日常生活上の2つの歩行速度は、加齢とともに低下した。今回の結果は、研究施設内歩行速度に加えて、日常歩行速度にも、高齢者の生活機能低下を予知する指標としての有用性がある可能性を示した。
抄録 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6401058/
論文タイトル Effects of promoting daily physical activity on physical and mental health in older individuals
掲載誌 Journal of Physical Therapy Science, 30(10), 1315–1322, 2018
著者名 Naoto Takayanagi, Katsuro Kitamura, Takeshi Yamauchi, Ichiro Tokimitsu
要旨 個人の生活状況に合わせた日常的な身体活動の促進が、高齢者の身体的・精神的健康指標に及ぼす影響について検証した。介入群(21名)と対照群(18名)に分類し、介入群は、12週間の試験期間中に加速度計で測定された身体活動レベルに基づいて、日常の身体活動を増やすようにアドバイスを行った。介入群では歩数が有意に増加した一方、対照群では低強度活動時間の有意な減少が見られた。また、健康関連のQOLに関しても、精神的側面のQOLスコアで有意な交互作用が認められた。上記結果から、個人の生活状況に合わせた日常的な身体活動の促進は、精神的な健康についても持続的に効果があることが示された。
抄録 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6181653/
論文タイトル Foot pressure analysis of gait pattern in older Japanese females requiring personal care support levels
掲載誌 Journal of Physical Therapy Science, 30(3), 461-466, 2018
著者名 Takayanagi N, Sudo M, Fujii M, Sakai H, Morimoto K, Tomisaki M, Niki Y, Tokimitsu I
要旨 32人の高齢女性を要支援、要介護のグループに分け、要介護グループの歩容と足圧特徴について検証した。5m歩行時の歩容(速度、ケイデンス、歩幅、歩隔、歩行角度、つま先角度、両脚支持期、遊脚期、立脚期)と足圧を計測し、2グループで比較した。その結果、要介護グループの両側の両脚支持期と右足の立脚期は、要支援グループに比べて長かった。一方で、要介護グループの右足の遊脚期は、要支援グループに比べて統計的に有意に短い値を示した。加えて、要介護グループの左足の後足部の圧力ピーク時間は、要支援グループに比べて有意に遅れていた。また、要介護グループの立脚終期の左足の前足部の圧力は要支援グループに比べて有意に低い値を示した。時間的パラメータと片側の足圧が2つのグループ間で有意な差を示し、要介護高齢者の歩き方の特徴を示す可能性が示唆された。
抄録 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpts/30/3/30_jpts-2017-593/_article
論文タイトル シート式下肢荷重計ウォークway MW1000を用いた歩容と行動体力の関連性の検証
掲載誌 日本生理人類学会誌, 23(1), 17-22, 2018
著者名 須藤 元喜, 山城 由華吏, 太田宜康, 曽我聡子, 仁木 佳文, 宮地 元彦
要旨 シート式圧力センサを用いて歩き方(歩容)と行動体力との関連を調査した。被験者は22から85歳の210名の健常日本人が試験に参加した。握力、チェアスタンド、反復横跳び、動的重心動揺、静的重心動揺の行動体力テスト結果は、歩容データにより推定が可能であった。一方で、柔軟性のテスト結果は歩容データでは推定が出来なかった。このことにより、圧力センサによる歩容の解析は、敏捷性、筋力、バランス能力の評価に有用である可能性が示された。
抄録 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpa/23/1/23_17/_article/-char/ja
論文タイトル 高齢転倒経験者における歩行中のつま先高さの軌跡の特徴
掲載誌 日本転倒予防学会誌, 4(1), 33-42, 2017
著者名 小林 吉之, 高柳 直人, 須藤 元喜, 仁木 佳文, 持丸 正明
要旨 裸足歩行時のつま先高さの推移の特徴について、転倒経験の影響を明らかにすることを目的とした。66歳から77歳までの高齢者88名(転倒経験者32名、転倒非経験者56名)が試験に参加した。複数回歩行時の歩行周期を正規化し、つま先の高さの平均値と標準偏差を主成分分析にかけ、第1から第11主成分までの各主成分得点について、転倒経験と性別を要因とした二要因多変量分散分析を実施した。その結果、転倒経験者と非経験者の最少つま先クリアランスは、遊脚期の最小値では大きな差は認められないが、歩行周期全体のつま先軌跡に着目すると、大きな違いがあることが示された。
抄録 http://ci.nii.ac.jp/naid/40021248854
論文タイトル 日本人女性における日常歩行速度と歩容との関連
掲載誌 日本生理人類学会誌, 20(4), 197-205, 2015
著者名 高柳 直人, 須藤 元喜, 山城 由華吏, 仁木 佳文, 金 美芝, 金 憲経
要旨 157名の日本人女性の日常生活の歩行速度と、短距離の歩容を比較した。短距離歩行では速度を含む21の歩容変数を歩行時の圧力データから取得した。日常の歩行速度は、腰に装着した加速度計から推定した。相関解析の結果、短距離の歩行速度よりも、日常の歩行速度の方が高い年齢相関を示した。また、歩行速度が3.6km/h以下の群は、歩行速度が3.6km/hを超える群よりも、歩幅とストライドが短かった。この結果により、日常歩行速度を測定することは、日々の歩行能力の低下をモニタリングするのに有効であることを示した。
抄録 http://ci.nii.ac.jp/naid/110010015755
論文タイトル Changes in Walking Styles in the Elderly after the Presentation of Walking Patterns
掲載誌 Advances in Exercise and Sports Physiology, 21(3), 59-65, 2015
著者名 Furui Y, Kim H, Mitsuya Y, Takayanagi N, Miyanaga M, Sudo M, Niki Y, Tokimitsu I
要旨 60歳以上の地域高齢者、男女計40名を対象とした歩行支援プログラムによる歩行改善効果を検証した。最初に健康セミナー、歩行測定、体組成測定を行った。歩行測定の結果に基づいて歩容に関するアドバイスを提供した。被験者は7週間、加速度計を装着した。3週間目に加速度計から得られた歩数および活動量のデータに基づいて日常歩行に関するアドバイスを実施した。7週間目に歩行測定を実施した。プログラム完了者は27名であった。日常歩行に関するアドバイスの後、歩数と活動量は有意に増加した。7週間後、歩行速度と歩幅は有意に増加し、歩隔と歩行角度に減少傾向が認められた。歩幅増加および歩行角度減少の効果は10週間のフォローアップ期間後も持続した。また、フォローアップ期間後に骨格筋量の有意な増加が認められた。これらの結果は歩行支援プログラムが高齢者の健康の増進に有用であることを示唆する。
抄録 http://ci.nii.ac.jp/naid/110010022639
論文タイトル 要支援・軽度要介護高齢者における活動量計を活用した歩行支援プログラムの有用性の検討
掲載誌 体力科学, 64(2), 233-242, 2015
著者名 宮永真澄, 藤井将彦, 酒井宏和, 森本恵子, 須藤元喜, 仁木佳文, 時光一郎
要旨 要支援・軽度介護高齢者を対象として、通所型個別リハビリテーションに加え、在宅での日常歩行習慣に活動量計を用いて介入を行う歩行支援プログラムを提供し、その効果について検討した。対象者は介護老人保健施設のリハビリテーションに通う50歳以上90歳未満の61名のうち、独歩可能、要介護度2以下、認知症および重度の疾患を有さない38名とした。全参加者に歩行パラメータ測定とADLおよびQOL調査を行った。介入群は活動量計を装着し、目標設定、フィードバックを行った。介入期間は4週間とした。最終測定まで終了した28名(平均年齢77.9±7.5歳)を解析対象とした。介入群における日常生活の歩数は1週目2821±1921歩/日から、4週目3850±2811歩/日に増加した。介入群は歩幅が有意に増加し、歩行角度と立脚期割合、両脚支持期割合が有意に減少した。要支援・軽度要介護高齢者においても、個別リハビリテーションと活動量計を用いた歩行支援プログラムの提供により、歩行パラメーターに効果が認められ、歩行機能の向上が可能であることが示唆された。
抄録 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/64/2/64_233/_pdf
論文タイトル 歩行と健康リスク(転倒)予防プログラムの活用について
掲載誌 バイオメカニズム学会誌, 38(4), 259-264, 2014
著者名 須藤元喜
要旨 転倒予防システムとして、高齢者の歩行スタイルの改善および定着を目的とし、日常の歩数、歩行速度により日常生活での歩行状況や、歩行のビデオ画像および歩行速度、歩幅、歩隔、歩行角度、ケイデンス等の歩行パラメーターにより個々の歩行特性をわかりやすく提示することで歩き方の指導を行う歩行支援プログラムを開発した。この歩行支援プログラムを活用して、自治体、運動教室、流通、職域、高齢者施設など異なる分野での活用を試みた結果について報告する。
論文タイトル 活動量計を用いた日常歩行速度とADL低下に関する研究
掲載誌 厚生の指標, 61(4), 15-20, 2014
著者名 高柳直人, 山城由華吏, 須藤元喜, 仁木佳文, 時光一郎, 金美芝, 金憲経
要旨 虚弱後期高齢者における6カ月後の日常歩行速度変化とADL変化との関連性を調査することで、日常生活をもとにした将来のADL低下リスクの推定について検討することを目的とした。21歳から51歳の健常者50名に関して活動量計を用いることで、ケーデンス(歩行ピッチ)と加速度変化をもとにした指標である運動強度を測定し、歩行速度との関連性を調べた。また、虚弱後期高齢者87名に関して日常生活における歩行速度を測定し、6カ月後に歩行速度が低下した群と上昇した群の2群に分類することで各群における6カ月後のADL変化を測定した。運動強度と歩行速度との相関係数を算出したところ非常に高い相関が認められたため、重回帰分析を行うことで日常生活における歩行速度の推定式を確立した。この推定式を用いて虚弱後期高齢者における6カ月間の日常歩行速度とADLの変化を調べたところ、歩行速度低下群は上昇群と比較して「知的能動性」が有意に低下し、「老研式活動能力総得点」は低下傾向を示した。日常生活における歩行速度は老研式活動能力指標により測定したADLの低下と関与していることが明らかとなった。今回の結果から、日常生活の中で歩行速度の低下をモニタリングすることで、ADL低下の恐れがある対象者に関して老年症候群への予防対策の可能性が示唆された。
論文タイトル シート式圧力センサーを用いて計測した歩容左右差による年齢の推定
掲載誌 日本生理人類学会誌, 18(3), 125-132, 2013
著者名 須藤元喜, 山城由華吏, 上野加奈子, 金憲経
要旨 シート式圧力センサーを用いて左右差を含めた歩容変数と年齢の相関性を検討した。対象者は東京近郊に在住する21歳から88歳までの独立歩行が可能な成人女性353名とした。10mの歩行路の中央2.4mにシート式圧力センサーを設置した。歩行を制限する服装を避け、靴下での歩行とした。計測は4回行い、平均値を求めた。測定44項目中、36項目が年齢と有意に相関した。最も年齢と相関の高い項目は、身長及び歩行比(歩幅とケーデンスの除)であった。平均相対歩幅は加齢とともに短縮し、ケーデンスは加齢とともに増加した。歩幅左右差、歩隔左右差、歩行角度左右差は、加齢に伴い増加した。年齢を説明変数、選出された歩容指標を目的変数として重回帰分析を実施した。4つの歩容変数による推定年齢と実際の年齢の相関係数はr=0.618となり、スピードと年齢の相関係数r=-0.418を上回った。高齢者のスクリーニングに歩行比が有用である可能性が示唆された。
論文タイトル 都市部在住高齢女性の膝痛,尿失禁,転倒に関連する歩行要因
掲載誌 日本老年医学会雑誌, 50(4), 528-535, 2013
著者名 金憲経, 鈴木隆雄, 吉田英世, 島田裕之, 山城由華吏, 須藤元喜, 仁木佳文
要旨 都市部在住の高齢女性の膝痛、尿失禁、転倒の徴候と歩容との関連を検討し、歩容から老年症候群の予測が可能であるかを検討した。2009年度に70歳以上の高齢女性を対象に実施した包括的健診の参加者971名のうち聞き取り調査、歩行測定、認知機能低下の疑いがなかった870名を対象とした。聞き取りでは、膝痛有無、尿失禁有無、転倒有無などを調査した。歩容は、ウォーク Way より、歩行速度、ケイデンス、ストライド、歩幅、歩隔、歩行角度、つま先角度、左右差(ストライド、歩幅、歩隔、歩行角度、つま先角度)を求めた。膝痛、尿失禁、転倒の徴候の有無、徴候の程度を従属変数と歩容変数を独立変数とした多重ロジスティック回帰分析を施した。膝痛、尿失禁、転倒の徴候を有する群では、歩行速度が遅く、ケイデンス、ストライド、歩幅が減少し、歩隔、歩行角度が増大した。多重ロジスティック回帰分析の結果、軽度の徴候には、歩行速度が有意に関連した。一方、中程度以上の徴候の場合、膝痛では歩隔、歩行角度が、尿失禁では歩行速度、歩行角度、歩行角度左右差が、転倒では歩幅、歩行角度左右差が有意に関連した。歩行速度と歩容要因を組み合わせることで徴候の早期発見に活用できる可能性が強く示唆された。
抄録 https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/50/4/50_528/_pdf
論文タイトル Effects of exercise and tea catechins on muscle mass, strength and walking ability in community-dwelling elderly Japanese sarcopenic women: a randomized controlled trial
掲載誌 Geriatr Gerontol Int, 13(2), 458-65, 2013
著者名 Kim H, Suzuki T, Saito K, Yoshida H, Kojima N, Kim M, Sudo M, Yamashiro Y, Tokimitsu I
要旨 虚弱高齢女性の筋肉量、筋力および歩行能力における運動と茶カテキンの効果を検討した。75歳以上の虚弱日本人女性128名は無作為に、運動+茶カテキン群、運動群、茶カテキン群、健康教育群の4群に割り付けられた。運動群は週2回60分のトレーニングプログラムに参加した。茶カテキン群は3ヶ月間毎日、茶カテキン飲料350mlを摂取した。体組成はインピーダンス法で測定した。問診、筋力、バランス能力、歩行能力の測定を試験開始前および介入3ヶ月後に行った。アップ&ゴー時間、通常歩行速度、最大歩行速度の変化量に有意な群間差がみとめられた。足の筋肉量と通常歩行速度の改善に関し、運動+カテキン群は健康教育群に対して有意に高いオッズ比を示した。運動と茶カテキン摂取の組み合わせが身体機能の向上に有用であることが示唆された。
抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22935006
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