“手本来の防御力”に着目した新しい手指衛生技術

衛生科学

人類の歴史は感染症との闘いとも言われています。特にインフルエンザウイルスやコロナウイルスなどによって引き起こされる上気道感染症は、ヒトからヒトへの感染が広がりやすく、2020年に流行した新型コロナウイルス感染症をはじめ、何度もパンデミックを引き起こし、社会や人々の生活を苦しめてきました。

感染の伝播を防ぐためには、接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染といった複数の経路を遮断することが重要です。特に「手」は無意識のうちに顔を触れることも多く、目に見えないウイルスに対して、日常生活の中でタイミングよく守り続けるのは非常に困難です。

花王は、接触感染に重要な役割を果たす「手」に着目し研究を開始しました。最初の発見は、「風邪をひきやすい人とそうでない人っているよね?」という研究員の何気ない会話でした。手指に抗菌・抗ウイルス力が備わっていることを発見し、「手指バリア」と名づけて研究を進めました。
その結果、風邪をひきやすい人とそうでない人で「手指バリア」の重要な因子である「乳酸」と「pH」に違いがあることを見いだしました。これらの因子は汗に由来するものであり、「手指バリア」は、人が本来持っている「汗の力」といえるかもしれません。

これらの研究は社内だけでなく社外の専門家とも連携しながら進めています。人々が笑顔で毎日を過ごせるよう、私たちは、高い有効性に加え、日常生活の中で安心して使い続けやすい感染対策を提案していきます。

感染症にかかりやすい意識のある人とかかりにくい意識のある人の手の殺菌力を調べるために、大腸菌を手に乗せて3分後の菌の生存を調べました。その結果、感染症にかかりやすい人の手では直後と3分後でほとんど変化がなかったのに対して、感染症にかかりにくい人の手では、3分後に大腸菌がほとんどいなくなっていることがわかりました。

感染症にかかりやすい意識のあるヒトとかかりにくい意識のあるヒトの手指バリアの違い

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