数理解析
「モノづくり」において現物・現場は非常に重要ですが、現物・現場で検証すると時間的・金銭的コストがかかります。花王では、熱流体・構造力学・粉粒体などのさまざまな「シミュレーション技術」を活用して、より効率的な生産プロセスの確立や商品設計の評価を行っています。
撹拌装置の熱流体シミュレーションを行い、装置性能(混合性、伝熱性能、乳化性能など)を評価しています。たとえば、液滴分裂シミュレーションを活用することで、装置スケールの変更やプロセス条件の変更によって液滴径がどう変わるのかがわかります。シミュレーションで乳化性能を評価できるため、実生産装置での試作にかかるコストや原料使用量の削減につながります。
歯ブラシの構造力学シミュレーションでは、歯間への到達性や刷掃力に及ぼす影響を評価できます。ブラシの形状や歯の形状が変わった時の影響が試作レスで評価できるため、商品開発サイクルの高速化に役立ちます。
ムーアの法則で表されるように、計算機能力は目覚ましい向上を続けています。今後のさらなるハードウェアの進歩やアルゴリズムの高度化により、今までは不可能だった精度でのシミュレーションや、センサーデータと物理シミュレーションのシームレスな融合(デジタルツイン)が可能となると考えています。花王では、シミュレーション技術をはじめとしたさまざまなデジタル技術を活用して、高効率で環境への負荷を最小限に抑えた「よきモノづくり」の実現をめざしています。
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この動画は、撹拌装置内の液滴分裂挙動をシミュレーションした結果を示しています。初期条件として、撹拌槽下部に球形状で油を模した液(油相)を配置しています。油相は、中心で高速で回転する撹拌翼に巻き込まれ、分裂して細かい油滴になっています。
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この動画は、歯ブラシを歯・歯茎に当て、1往復刷掃させる構造力学シミュレーションの結果を示しています。形状A、Bの2つの異なる歯ブラシ形状について、歯間への到達性と刷掃力(摩擦力)を評価しています。歯ブラシ形状が異なると歯間への到達性や刷掃力が異なることがわかります。