デング熱の基礎情報
デング熱に関するWHOの見解[1]としては、 近年、急速に広い地域に蔓延している一方で、 安全かつ効果が高いデング熱のワクチン開発には至っていません[2]。 デング熱の感染を防ぐにはウイルスを媒介する蚊に刺されないようにすることが重要です。
蚊の対策には、対策製品(忌避剤、殺虫剤、蚊取り線香、蚊屋、網戸)による予防、また長袖で肌の露出を抑えることなどが有効です。殺虫剤や忌避剤は有効性試験によって十分な忌避効果が認められていますが、デング熱が多い地域においては、効果のみならず毎日負荷なく継続できる使いやすさも重要です[3]。
東南アジアでは蚊の生態環境がヒトの生活環境に溶け込んでおり、インドネシアのフィールド調査で屋内外のネッタイシマカの数を調査した結果、43%のネッタイシマカは屋内(浴室やキッチンなど)で捕獲されたことも報告されています[4]。そのため東南アジアにおいて屋内での蚊対策は重要です。
屋外でも蚊が産卵できるような水たまりや水桶を家の周りからなくすといった環境整備も重要です。場合によっては、貯水槽に殺ボウフラ剤(Larvicide)を使用して蚊の発生を防ぐこともあります。
デング熱対策をメタ解析によって評価した論文では、コミュニティー全体で産卵場所を減らす、殺ボウフラ剤を使用するといった取り組みが非常に有効であると示しています[5]。このような蚊の生態を理解し、デング熱が発生しにくい環境を維持することが大切です。
またデング熱のような蚊を媒介する感染症は、感染者がさらに蚊に刺されることで感染が再拡大します。そのため感染者が出た場合、周辺に媒介蚊が広がらないようにすることが必要です。保険局によるデング熱発生エリアの殺虫剤散布が一般的に行なわれます。