参考資料: 2021年10月28日

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ワンウェイプラスチックの水平リサイクルに向けた資源循環型モデル事業
実証実験の進捗について

花王株式会社(社長・長谷部佳宏)は、ワンウェイプラスチックの水平リサイクル*1 に向けた資源循環型モデルの実現に、他企業・団体と共に取り組んでいます。この事業は、2020年9月に東京都による「プラスチックの持続可能な利用に向けた新たなビジネスモデル」公募に採択されてスタートし、2021年2月の公募対象期間終了後も、市川環境エンジニアリング、NPO法人 地球船クラブ エコミラ江東(エコミラ江東)、ヴィアックスと共に継続しています。現在の進捗を報告します。

  • * 1 同じ用途を持つ製品にリサイクルすること

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東京都「プラスチックの持続可能な利用に向けた新たなビジネスモデル」公募 実証実験参加企業

目的と概要

リサイクルのしやすさを実現する包装容器の開発と共に、使用済み包装容器の資源循環型システムを構築し、社会実装をめざします。

●再生プラスチックを使用したハンドソープ用のボトル容器と、単一素材のフィルムでできたつめかえパックを設計、製造
●江東区の公共施設に空のボトル容器と補充用のつめかえパックを配布。ボトル容器につめかえた上で使用してもらい、回収
●回収した使用済みつめかえパックを、ボトル容器にする水平リサイクルを実施
●将来的には、つめかえパックからつめかえパックへの水平リサイクルの実現をめざす

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再生プラスチックを使用したボトル容器の設計・製造

●ハンドソープ用のボトル容器を市川環境エンジニアリング、エコミラ江東にて設計、製造
●衛生面を考慮し、ボトル容器の構成を「バージン層(ポリエチレン)/接着層/バリア層/接着層/リサイクル層/バージン層(ポリエチレン)」と、内容物と直接接する面はバージン層とした
●リサイクル層は、江東区が回収、エコミラ江東にて分別・ペレット化されている食品トレイ由来の再生ポリスチレンをベースとし、強度を補うため、PCR*2 素材のポリエチレンを使用。ボトル容器に占めるリサイクル層の割合は約50%
●リサイクル材を使用した場合、サイズが大きくなるほど成型性や成型後の強度等に懸念が生じるが、素材の組み合わせ等により解決
●使用者が、このボトルに江東区で回収された食品トレイ由来の材料が使われていることを認知できるよう、ラベルにて表示

  • * 2 家庭から排出される材料、または製品のエンドユーザーとしての商業施設、工業施設及び各種施設から本来の目的のためにはもはや使用できなくなった製品として発生する材料。流通経路から戻される材料を含む

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単一素材のつめかえパックの設計・製造

●ハンドソープ400mlを充填するスタンディングタイプのつめかえパックを凸版印刷にて設計、製造
●ヒートシール性に優れるオレフィン系プラスチックフィルムを使用。容器の側面と底面をヒートシールした
●容器のシール強度と安定生産の両立に向け、温度、時間等の条件を調整しながら、製造行程ごとに細かい品質の確認を実施
●つめかえ時の注ぎ口はハサミでカットする仕様とし、ハサミカット線と製造時に必要な印マーカー2カ所のみ直接印刷
●必要な情報(用途、成分、注意事項、連絡先等)はラベルにて表示。回収後ラベルを剥離し、つめかえパックと分離することで、印刷成分がつめかえパックの再生材の品質(色や物性)に影響を与えないようにした

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モニター調査

現状のつめかえパックの使用実態調査と、今回の単一素材のつめかえパックの使い勝手・受け入れ性確認のため、NPO法人 持続可能な社会をつくる元気ネットが生活者へのモニター調査を行ないました。つめかえパックに関しては、透明であること、デザインがシンプルであること、エコであることがリンクし高評価を得ており、このようなデザインが、エコなイメージに繋がることが確認できています。一方で、注ぎ口をはさみで切る仕様に対し、「面倒」「つめかえやすいと思わない」という声があり、より使いやすい容器設計が必要であることがわかりました。

江東区の公共施設へのボトル容器・つめかえパックの配布・回収

●2021年4月上旬に江東区の区立小中学校、区役所、スポーツ・文化関連の公共施設(合計約90施設)に、ボトル容器(約2,000本)とつめかえパック(約8,000本)を配布
●2021年4月から5月の2カ月間使用後、提供製品を回収
●回収したつめかえパックは、エコミラ江東にて分別。洗浄・ペレット化・ボトル容器への成型を市川環境エンジニアリングが担当して実施
●回収したボトル容器は、破損等課題がないか外観を確認

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課題と今後の展開

●つめかえパックの安定した連続生産に向けて、生産工程に改善が必要
●単一素材のつめかえパックを店頭で提供するためには、より長期間中身を保護する機能が求められる。さらなる材料や容器における技術開発が必要
●各工程での課題を抽出したうえで、回収したつめかえパックのボトル容器への再生に向けた研究開発を継続
プラスチック資源循環の最重要課題はCO2削減と経済性(機能、コストなど)の両立であり、そのためには、安価で無駄のない分別回収システムの開発、プラスチック包装容器の精密な選別手法の開発、環境配慮型容器設計の標準化(基準、規格作り)などが必要です。引き続き、関係する全ステークスホルダーと連携しながら資源循環システムの開発を進め、持続可能な資源循環型社会の構築に貢献してまいります。

花王のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」とプラスチック循環社会に向けた取り組み

花王は、毎日の暮らしの中で使用する製品を提供する企業の責務として、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷の低減に積極的に取り組んでいます。2019年4月にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)を策定し、19の重点取り組みテーマを設定。花王がこれまでの企業活動の中で培ってきた「よきモノづくり」の思想を「ESG視点でのよきモノづくり」へと高め、環境や社会に配慮した取り組みを強化しています。

社会的課題のひとつであるプラスチックごみ問題に対しては、2018年に公表した「私たちのプラスチック包装容器宣言」において、リデュース(減らす)、リプレイス(置き換える)、リユース(再利用する)、リサイクル(再資源化する)の4Rの観点から、包装容器に使用されるプラスチック資源の削減に努めていくことを提示。包装容器の薄肉化、製品の大容量化、内容物の濃縮化、つめかえ用の包装容器で使われている薄いフィルム素材を本品容器として使うことで、プラスチック使用量を大幅に削減する「プラスチックボトルレス化」などの「リデュース」、つめかえ・つけかえの促進による「リユース」、リサイクルしやすい包装容器を開発する「リサイクル」に加え、石油由来のプラスチックから持続可能な原料へ転換を図る「リプレイス」を推進しています。

2019年9月には、「リデュースイノベーション」「リサイクルイノベーション」に基づくさまざまなアプローチを通じて、プラスチック循環社会の実現をめざすことを発表。「リサイクルイノベーション」では、他企業・団体と連携し、プラスチック包装容器の水平リサイクルに取り組んでいます。リサイクルがむずかしいとされる複数素材のフィルム容器のリサイクルをはじめ、フィルム容器を単一素材で作成した場合のリサイクルや単一素材のボトル容器のリサイクルを検証。また、包装容器以外にも、使用済み紙おむつのリサイクルを検討するなど、多くの実証実験を実施しています。

花王は、経営にESGの視点を導入することで、事業の拡大と、消費者や社会へのよりよい製品・サービスの提供をめざしていきます。そして、豊かな共生世界の実現に向けて取り組んでまいります。

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※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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